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PROFILE
株式会社float
代表取締役 加藤 優季
ドキュメンタリー制作会社へADとして入社。働きながら自身の作品を作る中で、撮影に不可欠な車両や機材などインフラ確保の壁とコストを痛感する。その課題を解決すべくロケバス会社での勤務を経験し、現在映像ディレクター業と並行して、映像事業者向けレンタル事業を行う株式会社floatを立ち上げ代表を務めている。
今回お話を伺ったのは、映像制作の現場を支えるレンタルサービスを展開する株式会社floatの加藤優季様。現役ディレクターとしての経験を背景に、都心での車両・機材提供という形で「撮影のインフラ」に向き合い続けています。自主制作で感じた課題を起点に、クリエイターの挑戦を支える仕組みを構築してきた加藤様の歩みを辿ります。
現場の「あったらいいな」を形にした、都心発のレンタルサービス
- ― まずは、事業内容についてお聞かせください。
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加藤氏:品川区の東五反田を拠点に、映像業界で働く方々に向けた専門のレンタカーとカメラ機材のレンタル事業を展開しています。
主力は普通免許で運転できる、人と機材がたっぷり乗る10人乗りのハイエースを2台を用意しています。
特徴は制作会社が集まる都心に拠点を置いている点です。ロケ前に郊外まで取りに行く必要がなくなり、その分を準備に充てていただけます。機材はハイエンドカメラのボディ貸し出しに特化し、柔軟に使える形にしています。
オリンピックを機に映像業界へ。自主制作で痛感したインフラの壁
- ― 映像業界に入られた経緯についても教えてください。
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加藤氏:学生時代は映画研究会で自主制作をしていましたが、大学院では人類学を学び、東南アジアでの研究を計画していました。
ただ、コロナ禍でフィールドワークができなくなり、進路を見直すことになりました。
そんな大学院1年の時、東京オリンピックの海外放送局の日本人クルーのアルバイト募集があり、応募したのが大きな転機になりました。
- ― そこから映像業界へシフトされたのですね。
- 加藤氏:結局オリンピックは延期になりその仕事はなくなりましたが、思い切って大学院を退学し、ドキュメンタリー制作会社にADとして飛び込んだんです。
- ― 働きながら、ご自身でも作品を作られていたそうですね 。
- 加藤氏:はい。ADとして働きながら、祖父の四十九日を題材に自主制作のドキュメンタリーを制作しました。その時痛感したのが、映像制作には車両や機材といったインフラが不可欠で、そこには非常にお金がかかるという現実でした。 だからこそ、その土台を自分たちで用意できれば、クリエイターにとって大きな価値になると考え、事業化を決めました。
柔軟な発想で、良質な機材を身近な選択肢へ
- ― 機材レンタルでも工夫されていると伺いました。
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加藤氏:従来は、機材チェックのための広大なスペースが必要でその維持費が価格に反映されていました。
一方で、案件は多様化し、限られた予算での制作が求められています。
そこで、ハイエンドカメラのボディ貸し出しに特化し、周辺機器はお客様の手持ちと組み合わせる形にしました。これによりコストを抑えながら、質の高い機材を使える環境を提供できるようになりました。
お客様の夢を乗せる「最初の箱舟」
- ― これまで事業を進められる中で、特に心に残っている出来事はありますか?
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加藤氏:ある日、お客様が「これから夜通し撮影します!」と、夕方にハイエースを借りに来られました。
後日、その方々がその車を使って制作したホラー映画が、小さな映画館で上映され、その後、評価されて次のステップに進まれたと聞きました。
あの時、重い機材を積み込んで夜の撮影へと向かっていった姿を思い出して、胸が熱くなりました。私たちの車が、彼らの夢を乗せる「最初の箱舟」になれたのかもしれないと思うと、本当にこの事業をやっていて良かったと感じました。
- ― 現場を知る加藤様だからこその視点ですね。
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加藤氏:映像制作はアイデアだけでは完結せず、実際に現場に行き、時間と場所を共有して初めて成立します。その過程すべてが作品に凝縮されるからこそ、この「紙の上ではできない映像制作ならではのプロセス」 を支えることに価値があると考えています。
まずは手を動かしてみる。作り手の心に寄り添うパートナーとして
- ― これからの展望について教えてください。
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加藤氏:撮影現場で必要になるものはたくさんあります。
「 撮影のためのインフラ」をキーワードに、クリエイターの方々の作品づくりを支えられるよう、レンタカーや機材レンタルに留まらないサポート体制を作っていきたいと思っています 。
また、ホームページやSNSも刷新しましたので、これまで接点のなかったお客様にも認知を広げていく予定です。
- ― 最後に、読者へのメッセージをお願いします。
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加藤氏:大切にしているのは「まず手を動かすこと」です。
実際に触れてみることで見えることがあると感じています。 車も実際に自分で洗車して触ることで、初めてお客様が気にするポイントが見えてきます。
私自身、現場で経験を積んできたからこそ、制作に向かうときの気持ちも理解できます。これからも作り手の想いに寄り添いながら、安心して現場に向かえる環境を提供していきたいと思っています。機材や車のことでお困りの際は、ぜひ気軽にご相談ください。
【会社情報】
Instagram:https://www.instagram.com/float_film_rentals/
【加藤様自主制作作品】
株式会社float
東京・東五反田を拠点に、映像業界向けのレンタカーと機材レンタルサービスを展開 している。都心の制作会社が集まるエリアからの「利便性」を最優先し、普通免許で運転可能な10人乗りハイエースや、コストを抑えたハイエンドカメラボディ単体でのレンタルなど、現場のニーズに即した柔軟なサービスを提供する。予算や環境の変化が激しい現代の映像制作において、移動と機材の両面からクリエイティブの土台を支える「制作インフラ」として、表現者の挑戦をバックアップする。