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PROFILE
株式会社大進双建
代表取締役 髙橋博之
17歳で学生時代の先輩からの誘いをきっかけに建設業界へ。大創工業と有限会社 双進技建の親方に師事。様々な公共工事に携わり、24歳で独立。総合防水工事をメインとした外装工事全般に特化。一級建築施工管理技士の資格を取得し、現在、役所の工事を直接入札で取れることを目指す。「スタッフに最後までいい思いをさせたい」という「人」思いの経営姿勢で、業界革新に挑む。
お話を伺ったのは、総合防水工事を軸とした建設業を営む株式会社大進双建の代表取締役の髙橋博之さん。建設業界の課題「人手不足」に対し、スタッフの専属化や給与水準の向上、生涯の生活保障など「人を思う」経営で挑む髙橋さんの、経営哲学と挑戦を辿ります。
総合防水工事をメインに外装工事全般に対応
- ― まずは、事業内容についてお聞かせください。
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髙橋氏: 当社は建設業で、マンションの外部に足場を立てて行うような外装工事全般を手掛けていますが、メインは総合防水工事です。
新築もやりますが、メインはリフォーム改修工事で事業全体の9割以上を占めていますね。
尊敬する親方から受け継ぐ社名に込めた思い
- ― 会社名「大進双建」の由来についても教えていただけますか?
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髙橋氏: 元々、個人事業主で「大進」という名前でやっていたんです。
由来は、2つの親方の屋号から。最初に務めた個人経営の会社「大創工業」の親方に拾ってもらった形なので、1文字をいただきました。その後、次に入った会社「有限会社 双進技建」の親方を本当に深く尊敬しているので、もう1文字もいただいて「大進」という形にしました。
法人化する時に「双建」を付けたんですが、「2番目に入った親方の会社よりも大きくなりたい」という成長への思いが込められています。
- ― そもそも、事業を始められたきっかけは何だったのでしょうか?
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髙橋氏: きっかけは学生時代の先輩からの誘いでした。当時は深い考えがあったわけではなく、身近に職人の方々が数多くいる環境に背中を押される形で、まずは飛び込んでみようと決めました。17歳からアルバイトを始めたのですが、選んだのは以前から興味を抱いていた建設業界でした。好きな分野だったこともあり、仕事に入ることに全く抵抗はありませんでしたね。
その後、いろいろな公共工事に携わり、現場のスキルを磨いてきました。24歳を迎える頃には、現場全体を自分の手で動かしてみたいという気持ちが芽生え、独立をしました。
「人」と自社施工にこだわることで、お客様の信頼を獲得
- ― 他社との差別化になる自社の強みは何だと考えていますか?
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髙橋氏: 当社の最大の強みは「施工を自社で完結できる体制」ですね。建設業の多くは元請けが仕事を下請けに丸投げするのが一般的です。でもそれだと、現場に入る職人さんによって仕上がりにバラつきが出て、品質が一定じゃないんです。
当社は、自社だけで施工できるよう専属の職人を何人か抱えて、普段から一緒に仕事をしています。当社で完全に教育して仕事をしてもらっているので、本当に専属の職人です。現場では全員が同じルールを共有し、高い基準を持って仕事に向き合う。そうすることで、私が求める品質をどこでも高いレベルで維持できる。これこそが、他には真似できない一番の『強み』なんです。
- ― 経営の中で1番大切にしていることは何ですか?
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髙橋氏: お金はもちろんのことですが、スタッフですね。
人数が少ないからこそ、一致団結していないと会社は大きくしていけません。全員が同じ方向を向いて、チームワークとコミュニケーションを何より大切にする。誰かが現場で困っていたら、迷わず助けに行く。そうやって仲間を支えれば、巡り巡って必ず自分に返ってきます。仲間を信じて、横の繋がりを大事にする……それが当社の基本です。
それと、スタッフ教育で徹底しているのが、最低限のマナーです。悲しいことに、職人ってまだどこかで見下されたり、柄が悪いイメージを持たれたりしがちですよね。だからこそ、挨拶をしっかりする、お客さんの家でゴミが落ちていたら拾って帰る、といった『人として当たり前のこと』の積み重ねを大切にしています。
施工のミスはやり直しが利きますが、一度失った信頼やイメージは二度と取り戻せません。礼儀を尽くして仕事に向き合うことで、ありがたいことに、お客様からもマナーについて高い評価をいただけるようになりました。
「気合いと根性」で困難を乗り越え、我慢強いタイプに
- ― 失敗や壁にぶつかった時、どのように乗り越えてきたのでしょうか?
- 髙橋氏: 気合いと根性ですね。それしかないです。「とことん落ち込んで、その後、切り替える」という感じで。簡単には切り替えられませんが、気合いと根性でやるしかないですよね。経営者って、『土日は完全に休みがいい』なんて言っていられる立場じゃないと思うんですよ。極端な話、1年を通して365日ずっと仕事のことを考えていられるくらいじゃないと、多分務まらないんじゃないかな。
- ― 仕事のオン・オフはスムーズに切り替えられるほうですか?
- 髙橋氏:意識してオンとオフを切り替えることはできますよ。でも、頭の中が完全にオフになることはまずありませんね。一息ついている時でも、やっぱり心のどこかでは仕事のことを考えている時間が多いです。でも、それくらい夢中になれる仕事だっていうことでもあるんですよね。
- ― 経営を続ける中で、自分自身が変わったと感じることはありますか?
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髙橋氏: 一番変わったのは、我慢強くなったことですね。正直、昔はかなりの短気で、気に入らないことがあればすぐに投げ出してしまうタイプだったんです。若い頃なら、頭にきて現場を放り出してしまうこともあったかもしれません。でも今は、『一度引き受けた以上、最後までやり遂げる』という姿勢に変わりました。
特に法人化してからは、自分一人じゃない、従業員の生活を背負っているんだという意識が強くなりました。たとえ納得いかないことがあっても、ぐっと堪える。本当に、我慢強くなったと思います。でもそれは、守るべきものができたからこその変化なんだと感じています。
建設業の「金銭面のリスク」に対応する仕組みを創りたい
- ― 事業を進める中で、印象的な出来事はありますか?
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髙橋氏: 現場はいくらでもあるんですよ。建設業は本当に腐るほど仕事があります。どの現場もそれなりに大変なんですが、1番しんどいのは「お金がもらえない」ことですね。「入金されない」とか、「仕事をもらった先の会社が潰れてしまう」とか、そういった金銭面での問題が1番つらいです。
昨年も経験しましたが、信用していた人から弁護士経由で「会社が潰れた」という連絡が来るとか、よくあるんですよ。あと、この業界は詐欺のようなケースも多く、ブローカーが金銭を受け取って逃げてしまうこともあります。
だから今は、二度と同じ思いをしないよう、帝国データバンクを活用して相手の信用情報を徹底的に調べるようにしています。
- ― 建設業は人手不足と聞きますが、どのようにお考えですか?
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髙橋氏:建設業の人手不足の原因は、結局のところ『給料面』なんです。
昔は給料が良かったから黙ってても人は集まってきたけど、でも今は朝は早いし体もきつい、その割に給料は低い。これじゃ『やりたくない仕事』って言われても仕方ないし、そりゃあ人は来ませんよね。でも、会社としてしっかり給料を出せれば、人は絶対についてくるはずなんです。例えば『年収1,000万円』を保証できれば、志のある人は必ず集まってきますよ。
当社はまだ若い会社ですから、これからを担う20代の従業員をどんどん入れていきたい。18歳や20歳で入ってきた子たちに、年収600万~700万円は払えるようにしてあげたいんです。そのためには、自分たちで直接仕事を受注できるような、強いポジションに会社を持っていかないといけない。
私が目指しているのは、給料や退職金はもちろんその先の生活まで含めて、社員がずっと安心していられる『絶対に潰れない会社』です。 給与体系を整えるのはもちろん、不動産を持つとか何かしら仕組みを作って、60歳で終わりじゃなく70歳、80歳になっても生活に困らない形を築いてあげたい。引退した後も、ちょっと現場を手伝いに来たら小遣いを稼げるようなそんな場所でありたいんです。今、当社を支えてくれているスタッフには、最後まで『この会社で良かった』って、思って欲しいですから。
『人手不足だ』って嘆いてるだけじゃ、何も変わりません。周りとは違うことをして、この業界の常識をひっくり返していきたいですね。
- ― 今後の展望についてもお聞かせください。
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髙橋氏: 今後は総合防水工事を軸に据えつつ、役所の工事を直接請け負える『元請け』としての体制を強化していきたいと考えています。その第一歩として、私自身が『一級建築施工管理技士』の資格を取得しました。この1年間は、人生で一番勉強したと言えるくらい追い込みましたね。現場に出ながらだったので正直ハードでしたが、毎日夜10時から朝5時まで机に向かって。ストレートで合格できた時は、本当に嬉しかったです。
将来的にスタッフ全員が一級建築施工管理技士を持っていれば、全国探してもそんな会社はほとんどないと思うので、新しい強みにもなるはずです。
元請けとして安定して受注し続けられれば、会社の価値が上がり、雇用も増え給料もさらに良くしていける。そうすれば仲間も辞めないし、絶対に倒れない会社になれる。私は、思いついたら即実行することを大事にしています。失敗を恐れず、まずは動く。そのために『ゴールから逆算して、今何をすべきか』を1年単位で落とし込み、みんなで一歩ずつ実行していきたいですね。
長期的な目標を立てて「気合いと根性」でやり抜こう
- ― 最後に、これから経営を始めたいという方に向けたメッセージはありますか?
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髙橋氏: 気合いと根性でやり抜くことですね。長期的なゴールを決めて、それを逆算して1年ごとの具体的な目標を設定することが大事です。
例えば僕なら、資格を取る、従業員を1人増やす、建設業許可の業種を増やすとか。そういう細かいことを1個ずつ達成していく。長期目標が見えないと辛いですからね。
株式会社大進双建
「人と自社施工にこだわる」
総合防水工事を軸とした外装工事全般を手掛ける建設企業。リフォーム改修工事を主軸としながら、マンションの外装工事全般に対応。自社施工による品質管理と専属の職人による一貫体制で、安定した高品質な施工を実現。業界の深刻な人手不足という課題に、スタッフの専属化や給与水準の向上、生涯の生活保障など「人を思う」経営で挑む。