建築デザインで、企業の「らしさ」を引き出すブランディングを

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建築デザインで、企業の「らしさ」を引き出すブランディングを

株式会社ONE STONES代表取締役 吉安 孝幸

PROFILE

株式会社ONE STONES

代表取締役 吉安 孝幸

25歳で実家の熊本のゼネコンを継承し、社長に就任。公共工事から住宅事業への転換を決断するも、解任。その後、36歳で立ち上げた住宅会社では10年間に約1,000棟を引き渡す実績を上げるが、2020年に事業が行き詰まり、大きな負債を抱えて会社を畳むこととなる。この経験を活かして、2021年「ONE STONES」を設立、建築を通じた「企業ブランディング」に特化したサービスを提供する。武蔵野美術大学通信課程で デザインの本質を学びながら、顧客に提供する価値をより深く追求し続ける。

公式HP
office:
神奈川県逗子市小坪7-2-16-101

お話を伺ったのは、コンサルティング事業とデザイン事業の中間的存在として活躍する、株式会社ONE STONES 代表取締役の吉安 孝幸さん。

現在「建築を通じた企業ブランディング」を行う吉安さんの、会社設立に至るまでの挑戦の軌跡を辿ります。

建築デザインで企業の個性を引き出す「プロデューサー」

― まずは、株式会社ONE STONES の事業内容についてお聞かせください。
吉安氏:私たちは、建築を通じて「企業のブランディングをすること」に重点を置き、コンサルティング事務所とデザイン事務所の中間的な存在として活動しています。

おもに住宅会社のブランディングやモデルハウス・ショールームの企画、設計などを行い、数百万円のマンションなどのリノベーションから、数億円規模の特殊建築物(最近の事例ではモダンなお寺なども)の設計まで、幅広い建築関連の仕事を手がけています。

私たちは建築を単なる箱として設計するのではなく、その空間が生み出す体験や価値までプロデュースする立場だと考えています。単に建築物を完成させるのではなく、クライアントの「らしさ」や「個性」を引き出すことを大切にしているんです。

― 具体的にどのような関わり方をされているのでしょうか?
吉安氏:クライアントと建築家の間に立って、通訳のような役割を果たします。自分で図面を描くことは今はほとんどありませんが、アイデアを出し、コンセプトを練る段階でのデザインの重要なプロセスに積極的に関わっていますね。

住宅業界の「組織作り」から離れた独立を決意

― 株式会社ONE STONESの設立前に住宅事業をされていたそうですが…?
吉安氏:はい、25歳で熊本にある実家のゼネコンを継ぎ、主に公共工事を手がけていたのですが、正直やりがいを感じられず。バブル崩壊後の公共工事の発注額が減少していく時代背景の中で「民間工事にシフトしよう」と思い立ったことが住宅事業を始めたきっかけでした。

ただ、徐々に住宅事業に移行していく中で、内部の意見が割れてしまい、36歳で社長を退くことになったんです。その後、新会社を自ら立ち上げ、10年間で1000棟の住宅を引き渡すなど、多くの成果を積み重ねてきたものの、経営環境の変化やさまざまな要因が重なり、最終的には大きな負債を抱えて事業の継続が困難になる局面を迎えることとなりました。

「事業に失敗し、会社を手放した」という自負から、組織作りから完全に離れて「自分一人でどこまでできるかを試したい」と思うようになり、株式会社ONE STONESを立ち上げました。

― どんなときも前に進もうとする経営者としての姿勢、素晴らしいですね!モチベーションはどこから来るのでしょうか?
吉安氏:前職時代に数多くの企業買収や、さながら乗っ取りのような形の事業譲渡などを目の当たりにしてきた経験があることもあり、自然と「もしダメでも次に行けばいい」と考えるようになりました。たとえばゲームは、諦めなければ、失敗から学び、何度でもやり直せますよね。もちろん、現在はどんな状況でも倒れないような経営を行っていますが。

「唯一無二のブランド」のため実務経験に基づいた提案

― 住宅業界に対し、課題と感じる部分はありますか?
吉安氏:成果につながらない高額なコンサルティング商品が流通している点には、強い課題感を持っています。だからこそ私は、コンサルティングの現場においては、これまでの実務経験に基づき、他のコンサルタントにはない具体的で実践的なアドバイスを提供することを大切にしています。

また、モデルハウスの企画・デザインの現場では、クライアントが一般的に要望する間取り(例えば3LDK)や仕様、設備にとらわれず、まずは「誰のために、なんのためにこの住宅は存在するのか」というようなコンセプトに基づいた空間構成を提案することで、例えば3LDKを期待されていたものが、広大なワンルームになる場合もあります。最初は驚かれますが、プレゼンを通じて、その意図や本質を理解していただくケースが多いです。

私の考えでは、建築家が検討している要素は、単に間取りを考えることの10倍、あるいは100倍にも及びます。つまり、間取りそのものの優先順位は決して高くありません。同じ間取りであっても、意図した空間の質を実現するために必要なコストは大きく変わるためです。

こうした背景から、私たちが目指す設計は、ハウスメーカーのようにシステマチックに住宅を量産する手法とは、本質的な「質」が大きく異なると考えています。空間の価値や体験を丁寧に積み上げることで、唯一無二のブランドをつくることができると思っています。

― 具体的に、どのようなサービスを提供しているのでしょうか?
吉安氏:小規模な住宅会社向けに、住宅事業立ち上げに適したノウハウをミニマルに集約した商品の提供を始めました。一方、大規模な住宅会社向けには、より包括的なサービスを展開するため、モデルハウスのデザインだけでなく、本社ビルの新築や既存の社屋改修など、オールインクルーシブで企業ブランディングに必要な提案をする機会が増えております。

私が提供する価値は「唯一無二のブランドを作る」ことです。

たとえば、ワークショップを通じて、経営層から一般社員までが会社の魅力や強みを言語化できるようにすることで、採用や集客がうまくいくと考えています。実際に、小規模企業からは、広告費をかけずに会社に合った顧客や人材が集まるようになったという評価をいただいています。

株式会社ONE STONES代表取締役 吉安 孝幸

顧客に提供する価値をより深く。美大に通い、デザインの本質を学ぶ

― 吉安さんは現在、武蔵野美術大学の通信課程に在籍されているとお聞きしました。なぜそのような選択を?
吉安氏:住宅業界にはデザインを学んだ経験がある人がほとんどいないから、ですね。私自身、デザインを体系的に学んだことがなかったので、前職を退くのと同時に美大の通信課程に入りました。今も現役の学生として勉強しています。
― 美大では、どのようなことを学んでいますか。
吉安氏:技術というよりも「思想や哲学」を学ぶ場にいると考えています。ものづくりや、グループワークなどを通して、デザインの「本質」を深く掘り下げて考える修練をしているのだと思います。それが、顧客に提供する価値をより深いものにしてくれるのです。

経営の本質は「良い人を作り、良い物を作ること」

― 今後の展望についてお聞かせください。
吉安氏:顧客の要望の「根本的」な部分を見据え、50年後も愛着を持てるような、あるいは孫の代まで受け継げる「いい建築」を追求する必要があると考えています。「家を売る」だけでなく、「住まい方を一緒に考える」という切り口でビジネスを展開していくことに、挑戦できればと考えています。
― 最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
吉安氏:経営において大切なのは「本当に良いものを作る」・「良い人を作る」こと。目先の利益に追われ、魂を悪魔に売るようなことは絶対にしないと決めています。お客様には、想像をはるかに超える「驚き」を提供したい。顧客自身の思考を拡張するような「新しい価値観に気づいてもらう」ことが私たちの最大の喜びです。

株式会社ONE STONES

建築に、企業の本質を引き出すデザインを。

建築を通じた「企業ブランディング」を専門とする。コンサルティングとデザイン事務所の中間的存在として、住宅会社のモデルハウス・ショールーム企画から大手企業の本社ビル設計まで幅広く手掛ける。クライアントの「らしさ」を言語化し、採用・集客を加速させる唯一無二のブランド構築を実現。

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神奈川県逗子市小坪7-2-16-101