ものづくり補助金をエステサロンは利用できる?申請の条件と事例を解説
2024/04/17
2022/12/19
エステサロンで使える補助金を探している人の中には、ものづくり補助金の利用を考えている人もいますよね。その際、実際にどのような事業者が対象なのか、エステでの採択にはどのような事例があるのか、気になる人もいるでしょう。
当記事では、ものづくり補助金を利用できるエステサロンの条件と、エステサロンの採択事例を紹介します。エステでものづくり補助金を検討している人は、当記事を参考にしてみてください。
なお、当記事は18次ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の公募要領を元に作成しています。
Contents
ものづくり補助金でサロン独自の新メニューや製品開発ができる
ものづくり補助金は、革新的サービスや製品開発のための機械設備やシステムを導入するエステサロンを支援する補助金です。そのため、ものづくり補助金を検討している人は、自社が導入するエステ機器やシステムが「革新的サービスや製品」につながるのかを確認してみましょう。
たとえば、15次ものづくり補助金の場合、エステに新たな価値「フェムテック」を取り入れた新サービスが採択されました。フェムテックとは女性の月経や更年期などに対しテクノロジーを介してアプローチするという概念で、近年さまざまな分野で注目されています。
また、16次ものづくり補助金で採択されたエステサロンの場合は、ヒトに流れる微弱電流を活かした「エナジーテラピー」の技術と「ハンド周波療法健康エステ」という新しいサービスによる効率化が採択につながりました。
ものづくり補助金で採択されるエステサロンは、新しい製品やサービスを実現するために機械設備やシステム導入が必要となるエステサロンです。ものづくり補助金で採択を目指すときは、まず新しい製品やサービス開発の計画を立て、計画に必要な設備と経費を考えてみましょう。
補助対象経費にや業務用エステ機器導入も含まれる
ものづくりの補助対象経費には、脱毛器や業務用エステ機器導入費用が含まれます。そのため、エステサロンがものづくり補助金に採択されると、申請した新しい補助事業で必要な経費の一部が補助されます。
【ものづくり補助金の通常枠の補助対象となる経費】
対象経費区分 | 例 |
機械装置・システム構築費 | 痩身用キャビテーションの導入費 |
技術導入費 | インターネット活用のハイブリッドエステ導入費 |
運搬費 | 脱毛機器やラジオ波機器導入時の運搬費 |
原材料費 | オリジナルデトックスティー開発用原材費 |
専門家経費 | セルフエステ導入のためのコンサルティング費 |
クラウドサービス利用費 | ZOOM有料プラン導入費 |
外注費 | 脱毛効果の測定のための外部分析企業への発注費 |
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
ものづくり補助金では、エステサロンに必要な機械設備だけでなく、新メニュー開発のためのコンサルティング費用も専門家経費として補助されます。
ただし、補助対象経費は税抜き単価50万円以上が対象で、ものづくり補助金に申請する補助事業でのみ使える機器やシステムでなければなりません。エステでものづくり補助金に申請する際は、「これから新しく行う事業」で使う「税抜き50万円以上の機械やシステム」が対象と、覚えておきましょう。
タブレットやホームページは補助対象外
ものづくり補助金では、タブレットやホームページの制作費が補助の対象外です。そのため、エステサロンで使うタブレットや、お店のホームページ制作費で使える補助金を探しているときは、他の補助金を検討してみましょう。
補助金の名前 | 補助金の目的 | 補助対象経費の例 |
IT導入補助金 | 自社のニーズや課題解決のためのITツール導入の支援 |
|
小規模事業者持続化補助金 | 販路開拓の支援 |
|
参考1:IT導入補助金 公募要領 通常枠|IT導入補助金
参考2:小規模事業者持続化補助金<一般型> 第 15 回公募 公募要領|小規模事業者持続化補助金(一般型)
たとえば、IT導入補助金の場合、インボイス枠(インボイス対応類型)から申請する場合はITツールとしてパソコンやタブレットが補助対象です。そのため、インボイス枠(インボイス対応類型)の要件を満たせば、タブレットの補助を申請できます。
また、小規模事業者補助金の場合、お店の宣伝を含む販促費が補助されるので、要件を満たせば、ホームページ制作費の補助を受けられます。
エステサロンで補助を受けたい経費がタブレットやホームページ制作費なら、ものづくり補助金ではなく、他の補助金を検討してみましょう。IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金など、タブレットやホームページ制作を対象とする補助金はエステサロンも利用できます。
なお、小規模事業者持続化補助金もIT導入補助金も、それぞれに申請要件や対象者の要件が定められています。まずは、今の状況で補助金を利用できるかどうかを無料診断で確認してみましょう。
無料診断最大8,000万円まで補助される
ものづくり補助金の18次公募では、申請枠によって機械設備やシステムの導入費用などの経費が最低100万円~最大8,000万円まで補助されます。
【ものづくり補助金の申請枠ごとの補助金額と補助率】
省力化(オーダーメイド枠) | |||
補助金額 |
補助率 |
||
従業員数 5 人以下 :100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上 :100万円~1,250万円 51~99人 :100万円~5,000万円 100人以上:100万円~8,000万円
|
補助金額が1,500万円まで |
1,500万円を超える部分 |
|
|
|
||
製品・サービス高付加価値化枠 |
|||
補助金額 |
補助率 | ||
通常類型 |
成長分野進出類型(DX・GX) | 通常類型 |
成長分野進出類型(DX・GX) |
従業員数 5人以下 :100万円~1,000万円 6~20人 :100万円~1,500万円 21人以上 :100万円~2,500万円 |
従業員数 5人以下 :100万円~1,000万円 6~20人 :100万円~1,500万円 21人以上 :100万円~2,500万円 |
|
|
グローバル枠 | |||
補助金額 |
補助率 |
||
100万円~3,000万円 |
|
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、省力化(オーダーメイド)枠から5,000万円の機械設備を申請する場合、1,500万円を境に補助率が変わります。小規模事業者がエステ機器を導入する際、1,500円までの部分は2/3が戻りますが、1,500万円を超える部分は補助率が変わり1/3の補助になります。
エステ機器の導入でものづくり補助金を利用する際は、どの申請枠を選ぶのかが重要です。申請枠により提出書類や要件、補助金額や補助率が異なるので、ものづくり補助金を使ってエステ機器を導入したい人は申請枠ごとの違いにも注目してみてください。
なお、ものづくり補助金で補助金を受け取れるのは、補助事業が完了したあとです。事業者は採択されたあとすぐにエステ機器の支払いをするので、まとまった資金を準備してからものづくり補助金に申請しましょう。
利用条件は対象者が要件を満たす事業計画書を作成すること
ものづくり補助金を利用するには、対象事業者の条件を満たし、要件を満たす事業計画書を作成すれば申請できます。そのため、ものづくり補助金を検討している人は、まずものづくり補助金の対象者の条件を確認しましょう。
【ものづくり補助金の主な対象事業者】
|
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、従業員数が5名のエステサロンの場合、小規模事業者は補助対象なので対象になります。
エステ事業者がものづくり補助金を受けるには、自社の従業員数や資本金が条件を満たすかを確認し、申請要件を満たす事業計画書を作成しましょう。
なお、これからエステサロンを開業する事業者はものづくり補助金を使えません。開業後であれば1年程度の事業歴が短い事業者でも利用できます。開業後に、エステの機械設備やシステムを入れる新たな事業を予定している人は、ものづくり補助金の利用を検討してみましょう。
ものづくり補助金の主な要件は2つある
ものづくり補助金の主な要件は、「基本要件」と「申請枠ごとの要件」の2つです。基本要件はものづくり補助金に申請する人すべてが満たすべき条件で、申請枠ごとの要件は該当者のみが満たすべき条件となります。
基本要件は、「付加価値額要件」「給与支給総額要件」「事業場内最低賃金要件」の3つです。
これに対し、申請枠ごとの要件は、、省力化(オーダーメイド)枠では「労働生産性が2倍以上となる事業計画の策定」、グローバル枠では「補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補 助対象経費となる」などのテーマに沿った個別の要件が設定されています。
たとえば、ものづくり補助金の一般型の「通常枠」に申請する場合、通常枠には申請枠の要件がないので、基本要件を満たす事業計画を作成すれば申請できます。
一方、ものづくり補助金の「製品・サービス高付加価値化枠」の通常類型に申請する場合は、基本要件に加えて2つの追加要件が課されます。一方、同じ申請枠の成長分野進出類型(DX・GX)に申請する場合は基本要件以外に3つの追加要件が課されます。
ものづくり補助金の要件は、申請者が満たさなければならない条件で、主に基本要件と申請枠の要件の2つです。ものづくり補助金に申請するエステ事業者は、基本要件に加え、各申請枠の要件も満たす必要があると覚えておきましょう。
なお、ものづくり補助金の要件や要件を満たすための計算例を知りたい人は、「ものづくり補助金の要件とは?基本要件の詳細も解説」を見てみてください。
ものづくり補助金の事業計画書は3つに分かれている
ものづくり補助金の事業計画書は、「その1」「その2」「その3」の3つに分けて作成します。そのため、ものづくり補助金でエステの事業計画を作る人は、3つの内容を意識しながら事業計画書を作ってみてください。
【事業計画書で書くべき3つの内容】
種類 |
概要 |
その1: 補助事業の具体的取組内容 |
|
その2: 将来の展望 |
|
その3: 会社全体の事業計画 |
基本要件について、算出根拠を記載しながら基本要件をそれぞれ説明する |
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、エステサロンがセルフエステ事業に切替える事業計画をつくる場合、「その1」には「円安で消耗品の価格が高騰した」のような理由を記載し、「その2」には「データを根拠にした潜在顧客数」や「詳細な事業実施計画」などの説明を記載します。
ものづくり補助金においてエステ事業の事業計画を作成する際は、競合他社の製品やサービスの市場分析をして、根拠のある事業計画書を作成してみましょう。
なお、ものづくり補助金の事業計画の作成方法は、「ものづくり補助金で採択される事業計画書の書き方」を参考にしてみてください。
この記事のまとめ
ものづくり補助金の趣旨にそっていれば脱毛機器やセルフエステ導入費用は補助される可能性があります。
たとえば、これまでエステサロンでは自社の技術を生かした新しいシミ改善サービスや、セルフ脱毛機器などの事業計画が採択されています。
ものづくり補助金では最大8,000万円までの補助金額が補助率1/2~2/3で補助されます。申請する際は、対象者の要件や申請要件を確認し、事業計画書を作成しましょう。