補助金ガイド

小規模事業者持続化補助金の審査基準と不採択になる理由を解説

2024/04/22

2022/2/2

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

自営業や個人事業主の中には、売上減少や物価高騰の影響により、小規模事業者持続化補助金(通称:持続化補助金)の申請を検討中の人もいますよね。その際、小規模事業者持続化補助金の審査基準が知りたい人もいるでしょう。

当記事では、小規模事業者持続化補助金の審査基準と不採択になる理由を解説していきます。審査に通るコツも解説しているため、小規模事業者持続化補助金の審査に関する不安や疑問がある人は参考にしてみてください。

小規模事業者持続化補助金の審査基準は非公開

小規模事業者持続化補助金の審査基準は非公開です。審査基準が非公開となる以上は「事業再構築補助金よりも審査が甘い」「ものづくり補助金よりも審査が厳しい」など、その他の補助金と比較することはできず、審査難易度を一概に言うこともできません。

言えるのは、審査は必ず実施されるという点です。助成金や給付金の場合は審査が実施されないものもありますが、小規模事業者持続化補助金の場合は審査が実施されることになるため、申請者の条件や審査員の判断によっては不採択になる可能性もあります。

また、公募要領には「申請受付締切後、審査委員会が申請内容を審査の上、総合的な評価が高い案件から順に採択案件を決定します。そのため、補助要件に合致していたとしても不採択となる場合があります」といった旨が明記されています。

小規模事業者持続化補助金の審査は申請内容から総合的に判断され、補正予算が組まれている関係上、補助要件に合致していたとしても不採択になる可能性があります。小規模事業者持続化補助金の審査基準や審査難易度が知りたかった人は、まずはその点を留意しておきましょう。

なお、小規模事業者持続化補助金の採択率が気になる人は、「小規模事業者持続化補助金の採択率と採択事例を解説」を参考にしてみてください。

不採択になる理由は審査要件を満たしていないから

小規模事業者持続化補助金が不採択になる理由のひとつは、所定の審査要件を満たしていないからです。小規模事業者持続化補助金の公募要領には、審査の観点として審査要件の項目があるため、まずはそれぞれの項目を確認してみましょう。

  • 補助対象者の要件に合致すること
  • 必要書類がすべて提出されていること
  • 提出内容に不備や抜け漏れがないこと

小規模事業者持続化補助金の公募要領には、審査要件として「次の要件を全て満たすものであるか審査を行います。要件を満たさない場合には失格とし、その後の審査を行いません」といった旨が明記されています。

そのため、どれかひとつでも審査要件を満たしていない場合には、審査員の判断により不採択になると考えられます。小規模事業者持続化補助金の審査に不安がある人や審査に落ちた人は、それぞれの項目を確認してみましょう。

補助対象者の要件に合致すること

小規模事業者持続化補助金の公募要領には、審査要件のひとつとして「補助対象者の要件に合致すること」といった旨が明記されています。それにより、補助対象者の要件を満たしていない場合には、審査員の判断により不採択になる可能性があります。

たとえば、小規模事業者持続化補助金の公募要領には、補助対象者の要件のひとつとして「小規模事業者であること」といった旨が明記されています。小規模事業者に該当しない場合は補助対象者の要件を満たしておらず、不採択の原因になります。

また、個人事業主は補助対象者の範囲に含まれますが、一般社団法人や公益社団法人は補助対象者の範囲に含まれません。農事組合法人や社会福祉法人も補助対象者にはならず、開業していない創業予定者も補助対象者から外れます。

なお、小規模事業者持続化補助金の公募要領には、補助対象者の要件に加え、その他の要件や注意事項が明記されています。今回紹介したのは一例となるため、小規模事業者持続化補助金を検討中の人は、最新の公募要領から補助対象者の要件や範囲を確認しておきましょう。

必要書類がすべて提出されていること

小規模事業者持続化補助金の公募要領には、審査要件のひとつとして「必要な提出資料がすべて提出されていること」といった旨が明記されています。それにより、未提出の必要書類がある場合には、審査員の判断により不採択になる可能性があります。

項目

一例

共通

・<様式1>小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書

・<様式2>経営計画書兼事業計画書①

・<様式3>補助事業計画書②

法人の場合

・貸借対照表 + 損益計算書(直近1期分)

個人事業主の場合

・確定申告書(直近分)

参考:「応募時提出資料・様式集」|小規模事業者持続化補助金

たとえば、持続化補助金に申し込む場合には、「小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1)」や「経営計画及び補助事業計画(様式2)」の提出が必要です。これらは法人や個人事業主などの条件に関わらず、全事業者の共通書類となります。 

また、決算期を迎えている法人の場合には、「貸借対照表+損益計算書(税務署に提出したもの)」もしくは「貸借対照表+確定申告書 別表1(収受日付印のある用紙)+別表4(簡易様式)」などの書類提出が必要です。

一方、個人事業主の場合には、「確定申告書(第一表、第二表)」に加え、「納税証明書(その2)」や「収支内訳書(1面、2面)」などの決算に関する書類提出が必要です。また、申請者の条件によっては、「所得税青色申告決算書(1面、2面)」が必要になる場合もあります。

なお、小規模事業者持続化補助金の公募要領には、必要書類に加え、記入例や注意事項が明記されています。今回紹介したのは一例となるため、小規模事業者持続化補助金を検討中の人は、最新の公募要領から必要書類の記入例や注意事項を確認しておきましょう。

提出内容に不備や抜け漏れがないこと

小規模事業者持続化補助金の公募要領には、審査要件のひとつとして「提出した内容に不備・記載漏れがないこと」といった旨が明記されています。それにより、提出内容に不備や抜け漏れがあった場合には、審査員の判断により不採択になる可能性があります。

【申請書類における不備の一例】

項目 一例
共通
・書類の日付が間違っている
・決算書関連の書類が揃っていない
・社名や代表者名の記入漏れがある
・社名や代表者名が書類ごとに異なる
・添付ファイルの形式が間違っている
・添付ファイルにパスワードを設定している
・添付ファイルがアップロードできていない
法人の場合 ・「経営計画及び補助事業計画」の中身が記入されていない
・「貸借対照表」または「損益計算書」が添付されていない
・「貸借対照表」と「損益計算書」の両方が添付されていない
個人事業主の場合 ・税務署の収受印が不鮮明になっている
・決算書関連の書類に税務署の収受印がない
・開業届などの書類にマイナンバーが記載されている
・確定申告書などの決算書関連の書類が添付されていない

法人や個人事業主などの条件に関わらず、どのような申請者でも共通してあるのは「書類の日付が間違っている」「決算書関連の書類が揃っていない」「社名や代表者名の記入漏れがある」といった事例です。

また、「添付ファイル形式が間違っている」「添付ファイルにパスワードを設定している」など、添付ファイルをアップロードする際の不備も事例としてあります。似たような事例では、添付ファイルを上手くアップロードできなかった事例もあります。

なお、持続化補助金の提出資料は、小規模事業者持続化補助金<一般型>の公式サイトに記載されています。今回紹介したものは一例となるため、小規模事業者持続化補助金を検討中の人は参考にしてみてください。

審査に通るコツは確認不足を防ぐこと

小規模事業者持続化補助金の審査に通るコツは確認不足を防ぐことです。確認不足を防ぐことにより、小規模事業者持続化補助金の審査に落ちるリスクを回避できる可能性があります。

【確認不足を防ぐ方法の一例】

  • 公募要領から補償対象者を確認する
  •  公募要領から補償対象事業を確認する
  •  公式サイトから必要書類の記入例を確認する
  •  公式サイトから採択事例や注意事項を確認する
  •  公式サイトから「よくあるご質問」を確認する
  •  不明点がある場合は問い合わせ窓口から担当者に相談する

小規模事業者持続化補助金の審査に不安がある人は、まずは最新の公募要領から補償対象者や補償対象事業を確認してみることを検討してみてください。また、公募要領の内容に不明点がある場合には、公式サイトにある「よくあるご質問」を確認してみる方法もあります。

これらはあくまでも一例ですが、小規模事業者持続化補助金の審査に不安がある人は参考にしてみてください。なお、問い合わせ窓口に関する情報が知りたい人は、「小規模事業者持続化補助金の相談窓口はどこなのか?」を参考にしてみてください。

審査に不安がある人は加点措置を確認してみる

小規模事業者持続化補助金の審査に不安がある人は、公募要領から加点措置に関する内容を確認してみてください。申請者の状況によっては、加点措置が適用されることにより、優先採択される可能性があるからです。

【小規模事業者持続化補助金における政策加点審査の加点項目】

加点項目 加点対象
重点政策加点
赤字賃上げ加点
賃金引上げ枠に申請する事業者のうち赤字である事業者
事業環境変化加点
ウクライナ情勢や原油価格、LPガス価格
などの高騰で影響を受けている事業者
東日本大震災加点
福島第一原子力発電所の影響を受け、避難
指示の対象となった地域の事業者、被害を
受けた水産加工業者
くるみん・えるぼし加点
1. 次世代育成支援対策推進法(次世代法)
に基づく「くるみん認定」を受けている事者
2. 女性の職業生活における活躍の推進に関
する法律(女性活躍推進法)に基づく
「えるぼし認定」を受けている事業者
政策加点
パワーアップ型加点
・地域資源型
地域資源等を活用し、地域外への販売や
新規事業のたち上げを行う計画
・地域コミュニティ型
地域の課題解決や暮らしの実需に応える
サービスを提供し、地域内の需要喚起を
目的とした取組などを行う計画
経営力向上計画加点
中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上
計画」の認定を受けている事業者
事業承継加点
年齢が満60歳以上となる代表者で、かつ、
後継者候補が補助事業を中心になって
行っている環境の事業者
過疎地域加点
過疎地域の持続的発展の支援に関する
特別措置法に定める過疎地域に所在し、
地域経済の持続的発展につながる
取り組みを行う事業者
一般事業主行動計画策定加点
1. 従業員100人以下の事業者で
「女性の活躍推進企業データベース」に
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者
2. 従業員100人以下の事業者で
「両立支援のひろば」に次世代法に基づく
一般事業主行動計画を公表している事業者

参考:「小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック」|小規模事業者持続化補助金

たとえば、地域の発展を目的とした事業計画に対する取組みを行うことで、パワーアップ加点として加点できる可能性があります。審査に不安がある人は、事業環境や事業内容に該当する加点項目に申請し、加点審査を検討する余地があります。

ただし、加点項目はいろいろありますが、申請時に別途追加書類が必要になる傾向があります。加点項目が更新される可能性もあるため、優先採択のための加点措置が気になる人は問い合わせ窓口から担当者に相談することも検討してみましょう。

必要書類の作成に不安がある場合は専門家のサポートを受ける

小規模事業者持続化補助金の必要書類の作成に不安がある場合は、専門家のサポートを受けるのも一つの手段です。

実績がある専門家なら採択された必要書類がどのようなものかを理解しているので、審査でポイントになる点を抑えた書類の作成をサポートできるでしょう。

当サイトを運営する株式会社SoLaboは、小規模事業者持続化補助金の申請をサポートしています。現状の準備で審査に通過しそうか無料診断もしておりますので、当社のサービスに興味のある人は以下の診断からお問い合わせください。

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小規模事業者持続化補助金の審査におけるQ&A

口コミサイトやQ&Aサイトには、いくつかの審査に関する投稿が見受けられました。今回はそれらの質問に回答しているため、小規模事業者持続化補助金を検討中の人はそれぞれの質問と回答を参考にしてみましょう。

質問

回答

審査期間はどれくらいなのか?

審査期間は締め切りから2ヶ月~3ヶ月程度

審査結果の連絡は全員に来るのか?

不採択の場合も審査結果の通知は来る

口コミサイトやQ&Aサイトには、審査期間や審査結果に関する投稿が見受けられました。小規模事業者持続化補助金を検討中の人は、申請前にそれぞれの項目を参考にしてみてください。

審査期間は締め切りから2ヶ月~3ヶ月程度

小規模事業者持続化補助金の審査期間は締め切りから2ヶ月〜3ヶ月程度です。数日や数週間の審査期間になるとは考えにくいため、小規模事業者持続化補助金を検討中の人は注意が必要です。

実際、小規模事業者持続化補助金<一般型>の公式サイトにある「よくあるご質問」には、「件数にもよりますが、審査期間は概ね締切から2ヶ月〜3ヶ月程度です」といった旨が明記されています。

審査期間は応募件数に加え、申請者の条件や審査員の状況によっても異なりますが、小規模事業者持続化補助金の審査期間は締め切りから2か月程度を目安として考えましょう。

不採択の場合も審査結果の通知は来る

小規模事業者持続化補助金は不採択の場合も審査結果の通知が来ます。採択が決定した場合に加え、不採択になった場合にも審査結果の通知が来るため、小規模事業者持続化補助金を検討中の人はその点を留意しておきましょう。

実際、「小規模事業者持続化補助金<一般型>第15回」公募要領には「応募事業者全員に対して、採択または不採択の結果を通知します」といった旨が明記されています。

審査に落ちた理由は明記されませんが、不採択の場合も審査結果の通知は来ます。採択結果の全体発表は受付締切日から約2~3ヶ月後となるため、小規模事業者持続化補助金の審査結果を待っている人は、「小規模事業者補助金の採択日と採択結果を解説」も参考にしてみてください。

この記事のまとめ

小規模事業者持続化補助金の審査基準は非公開ですが、申請内容から総合的に判断される点や審査要件を満たしていない場合は不採択となる点は公開されています。

とくに、「補償対象者の要件に合致していない」「未提出の必要書類がある」「提出内容に不備や抜け漏れがある」といった場合には、審査員の判断により不採択になる可能性があります。

小規模事業者持続化補助金の審査に不安がある人は、公募要領や公式サイトを入念に確認しておきましょう。また、どうしてもわからない点がある場合には、問い合わせ窓口から担当者に相談することも検討してみてください。

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