小規模事業者持続化補助金は展示会の費用に利用できる?
2024/07/08
2024/7/5
小規模事業者や個人事業主の中には、展示会に出展する際に補助金の利用を検討している人がいるのではないでしょうか。小規模事業者持続化補助金は小規模事業者や個人事業主向けの補助金制度であり、展示会に出展する時にかかる費用の一部も補助対象となります。
当記事では、小規模事業者持続化補助金を展示会の費用に利用する方法を解説します。展示会費用の補助を受けるにあたって必要となる証拠書類についても解説するため、小規模事業者持続化補助金で展示会費用を申請したいと考えている人は参考にしてみてください。
なお、当記事は小規模事業者持続化補助金の第16回公募要領をもとに作成しています。
販路開拓につながる展示会の費用に利用できる
小規模事業者持続化補助金は販路開拓につながる展示会の費用に利用できます。小規模事業者持続化補助金は販路開拓や業務効率化(生産性向上)のための事業を支援する制度であり、展示会への出展が事業の販路開拓につながると認められる場合は、展示会にかかる出展料や運搬費等が補助対象となります。
【補助対象となる展示会費用の具体例】
- 展示会の出展料
- 商談会の参加費
- 運搬費
- 通訳料・翻訳料
たとえば、新市場の開拓にむけて展示会へ出展することは販路開拓につながります。新商品の認知度を向上させることを目的に展示会へ出展することは販路開拓につながるため、小規模事業者持続化補助金の補助対象となる可能性があります。
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓のための展示会に出展する際に必要な費用を補助することが可能です。そのため、販売のみを目的とした展示会費用等、販路開拓に繋がらないとみなされる場合は補助対象外となります。
なお、小規模事業者持続化補助金では展示会出展を単に行うのではなく、経営改善や販路拡大などの創意工夫した取り組みが書類審査において評価されます。小規模事業者持続化補助金の目的に沿った事業計画を立て採択される可能性を高めましょう。
対象外となる展示会費用
小規模事業者持続化補助金には補助対象外となる展示会費用があります。申請した経費の半分以上が補助対象外に該当した場合、補助事業を円滑に実施することが難しいと判断され、不採択または採択取消となります。
補助対象外の展示会費用 |
概要 |
一部助成を受けた展示会費用 |
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補助事業実施期間外の展示会費用 |
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選考会等の参加・申込費用 |
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その他展示会費用 |
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補助対象外として挙げられる展示会費用は、国を財源とするほかの支援制度により出展料等の一部支援を受けているものです。小規模事業者持続化補助金は、補助金などの他の支援制度と重複して受給することはできません。
また、補助対象外として挙げられる展示会費用は、補助事業の実施期間外に支払ったものです。請求書の発行日や出展料等の支払日が補助金の交付決定日より前の場合は補助対象とならないため、交付決定日前に発注や申込みをしたテント、テーブル等の設備や装飾は補助対象外となります。
ただし、展示会等の出展の申込みは、請求書の発行と支払日が交付決定日以降であれば交付決定前に申し込んだ場合でも補助対象となります。交付決定前に出展申し込みをする場合は、請求書に記載されている発行日と支払いの証明書に記載されている支払日が補助事業の実施期間内であるか確認してください。
なお、補助事業の実施期間以降に開催される展示会等にかかる費用は補助対象外です。小規模事業者持続化補助金の公募要項には補助対象外の経費すべてが記載されていないため、補助対象外となる展示会費用がわからない場合は商工会議所に問い合わせてみましょう。
展示会に要した費用は展示会等出展費として申請する
展示会費用は、小規模事業者持続化補助金にある10種類の補助対象経費の中の展示会等出展費として申請します。販路開拓のために新商品等を展示会等に出展または商談会に参加に要する経費の一部が補助されます。
補助対象経費 |
活用例 |
①機械装置等費 |
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②広報費 |
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③ウェブサイト関連費 |
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④展示会等出展費 |
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⑤旅費 |
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⑥新商品開発費 |
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⑦資料購入費 |
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⑧借料 |
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⑨設備処分費 |
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⑩委託・外注費 |
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国内や海外の展示会や見本市への出展、商談会への参加等が展示会等出展費の補助対象です。展示会の出展料に加えて、関連する運搬費や通訳料・翻訳料も補助対象となります。
ただし、展示会等に出展する際にかかるレンタカー代やガソリン代、駐車場代等は補助対象外です。展示会に出展する会場との往復の公共交通機関の交通費や宿泊施設の宿泊代は旅費に該当します。
なお、商品PRイベントの実施や展示会を開催する会場を借りる費用は「展示会等出展費」ではなく「借料」として申請します。小規模事業者持続化補助金には10種類の経費項目があり、展示会に係る費用であっても「展示会等出店費」以外の項目に該当する場合もあることに留意しましょう。
実施報告時には展示会に係る証拠書類が必要となる
補助事業の終了後に実施する実績報告では、実施報告書とともに証拠書類を提出する必要があります。定められた提出期限までに実施報告書を提出できない場合は、審査において採択されていたとしても補助金を受け取ることはできません。
証拠書類(提出する際はこの順番で添付する) |
概要 |
①見積書 |
【提出が必要となる場合】 大企業との取引または100万円以上(税込)の取引があった場合 【内容】
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②相見積書 |
【提出が必要となる場合】 発注総額が100万円以上(税込)の取引があった場合 【内容】
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➂発注書・申込書・契約書 |
【提出が必要となる場合】 すべての申請者 【内容】
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④請求書 |
【提出が必要となる場合】 すべての申請者
【内容】
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⑤支払の証明書 |
【提出が必要となる場合】 すべての申請者 【内容】
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⑥出展記録(成果物) |
【提出が必要となる場合】 すべての申請者 【内容】
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⑦出展要項 |
【提出が必要となる場合】 すべての申請者 【内容】
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⑧収益納付に係る報告書 |
【提出が必要となる場合】 参加した展示会で商品を販売した場合等 【内容】
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⑨海外取引の追加必要書類 |
【提出が必要となる場合】 海外の展示会へ出展した場合等 【内容】
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たとえば、展示会出展料を申請する場合、料金の記載のある展示会の案内チラシや展示会申込書、開催者からもらう請求書、銀行振込領収書などが必要です。展示会主催者が作成した出展要項や規約が記載された書類を提出する際は、展示会名や会期、会場がわかる展示会案内チラシやWebサイト画面のコピーを提出することも可能です。
また、海外の展示会に出展するときや海外出張時の現地通貨での旅費の支払いを行った場合には追加書類を提出する必要があります。海外展示会の申込書や請求書、出展要項等の外国語で記載された書類と日本語で要約や説明した書類等を提出しましょう。
なお、実績報告時に提出が必要な証拠書類は申請者の補助事業の実施内容によって異なります。小規模事業者持続化補助金の公式サイトにある補助事業の進め方から、提出が必要となる証拠書類を事前に確認して準備しておきましょう。
展示会費用に利用した事例
展示会費用に小規模事業者持続化補助金を利用した事例を把握しておきましょう。過去に採択された事業がどのような内容か知ることで、補助事業の計画の立て方の参考になります。
事業内容 |
事例 |
酒造店 |
【取り組み内容】
【効果】
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醤油醸造元 |
【取り組み内容】
【効果】
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畳製造業 |
【取り組み内容】
【効果】
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たとえば、酒造店において、輸出売上増加を目指して海外展示会へ出展やインバウンド旅行者の訴求力向上のために英語版パンフレットとホームページを作成した事例があります。海外で行われた展示会への出展により輸出先との良好な関係が構築でき、販売促進につながりました。
また、醤油醸造元において、新たな商品を開発をして展示会、催事の出展や新商品パッケージの開発、ギフト展開等の広報活動を行った事例があります。チラシ配布や催事出展で広報活動を行ったことにより、問い合わせ、予約件数をあげることができ、販路の拡大につながりました。
そして、畳製造業において、商品の認知度向上を目的に展示会への出展やパンフレット、チラシ配布が行われた事例があります。展示会に出展したことやパンフレット、チラシ配布をしたことにより、消費者の認知度向上や新規顧客を獲得することができ、受注率の増加につながりました。
なお、小規模事業者持続化補助金は、補助事業終了後から1年以内に売上げにつながることが見込まれる事業や市場取引の達成が見込まれる事業等が補助対象です。申請する際には、さまざまな用途で活用されている展示会等出展費の採択事例を参考にしてみてください。
この記事のまとめ
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓に取り組む小規模事業者や個人事業主向けの補助金制度であり、展示会の出展費用も補助対象となります。国内の展示会に限らず、海外やオンラインでの展示会に出展および参加する際にかかる費用も申請することが可能です。
ただし、補助対象外となる展示会費用があり、補助事業の実施期間外の展示会費用等は対象経費と認められません。販売のみを目的とした展示会費用や市場取引の達成が見込まれない展示会の費用等も補助対象外に該当します。
なお、展示会を申請者自身が開催する場合に会場を借りる費用や、展示会の出展する際に活用するポスター・チラシ等の作成費用は展示会等出展費ではなく他の対象経費項目に該当します。展示会等出展費を利用できる展示会費用がわからない場合は、商工会議所に問い合わせてみましょう。