補助金ガイド

IT導入補助金で薬局が導入できるITツールと補助金額を解説

2024/04/16

2023/7/19

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

薬局で使うシステムを購入したい人の中には、IT導入補助金を利用できるなら申請したいと考える人もいますよね。その際、具体的に対象となるITツール名やもらえる補助金額など、具体的な情報を知りたい人もいるでしょう。

当記事では、IT導入補助金で対象となる薬局向けのITツール名を紹介します。申請時にいくらまで補助されるのかも解説しますので、IT導入補助金に関心のある人は、当記事を参考にしてみてください。

なお、当記事はIT導入補助金2024公式サイトの「資料ダウンロード」にある公募要領をもとに作成しています。

薬局はIT導入補助金を使って服薬指導やクラウド薬歴システムを導入できる

薬局はIT導入補助金を使って服薬指導やクラウド薬歴システムを導入できます。IT導入補助金はその名の通り、中小企業者や小規模事業者がITを事業に取り入れる際に利用できる補助金です。薬局の場合も、IT導入補助金を使ってさまざまなITツールを導入できます。

【薬局がIT導入補助金で申請できるITツール】

ITツール名  概要
ASKAN 正確な在庫管理と業界初のAIによる需要予測で、薬局におけるムダを圧倒的に削減する在庫管理・発注システム

薬局不動薬受発注システムMEDISTORY
(月10回まで利用版)

薬局経営における在庫の適正化、仕入コストの圧縮を同時に行う業務効率化支援システム
調剤薬局ソリューションシステム エリシアS 処方入力・電子薬歴のみならず収支シミュレーション機能・適正在庫シミュレーション機能などをもつ調剤システム
DrugstarLeadクラウド薬歴 スマホで薬歴の確認やメモができ、患者と対面で画面を見ながら服薬指導ができるクラウド薬歴システム
調剤薬局向けPOSレジシステムFULLHOUSE-P レセプトコンピュータと連動し、患者の会計情報、薬局内の出納情報を一元管理できるPOSレジシステム

 参考:「ITツール・IT導入支援事業者検索」|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、薬局の過発注や欠品を在庫管理で防ぎたい場合、「ASKAN」という対象のITツールは需要予測ができるため、候補となります。ASKANは正確な在庫管理をもとに自動発注ができるITツールのため、薬局の業務を効率化する効果も期待できます。

また、薬の過剰在庫を他社へ売却したい場合は、「MEDISTORY」というIT導入補助金で対象のITツールが候補になります。MEDISTORYでは薬局で余った在庫の売却や在庫の共同仕入れなどができるため、薬局の仕入れ時の経費をコントロールできます。

IT導入補助金では、さまざまな業種で使える専門的なITツールが補助の対象です。また、複数の業種で使える業種「オンライン会議ツール」や「インボイス対応の会計ソフト」も対象です。IT導入補助金に関心のある薬局は、まず業務での課題を洗い出してみましょう。

なお、IT導入補助金で薬局向けのITツールを検索したい人は、公式サイトへアクセスします。IT導入補助金2024の場合「ITツール・IT導入支援事業者検索」を表示させ、検索窓に「薬局」や「レセコン」などのキーワードを入力してみてください。

レセコン一体型の電子薬歴も申請できる

レセコン一体型の電子薬歴も申請できます。ただし、「IT導入支援事業者」がIT導入補助金のITツールとして登録していない製品は、補助の対象外です。IT導入支援事業者とは、ITツールを販売し、IT導入補助金への登録が許可された事業者のことです。

【IT導入補助金を使って購入できるレセコン関連製品の例】

製品名 概要
電子薬歴・レセコン一体クラウド型薬局向け業務支援システム
「MAPs for PHARMACY DX」
薬局業務をテレワーク化する電子処方箋、オンライン服役指導、在宅処方箋受付機能で薬局DXが実現できる
レセコン一体型電子薬歴システム「P-CUBE n」 1画面で処方とニーズに合った薬歴を入力するため、処方箋受付から服役指導、トラブル時の保守対応までが一元化できる
調剤レセコン連携POS「ONレジ」 基本のレジ機能があるPOSレジに調剤薬局向けの機能があるため、売掛計上と領収書発行を自動化できる

 参考:「ITツール・IT導入支援事業者検索」|IT導入補助金2024公式サイト

IT導入補助金では、電子薬歴一体型や調剤用のレセコンも補助対象です。その際、IT導入支援事業者から購入することが条件です。レセコンを購入したい人は、「IT導入補助金で医療法人やクリニックの対象条件と申請方法を解説」を参考にしてみてください。

IT導入補助金を申請する際は、導入したいITツールを取り扱っているIT導入支援事業者に依頼する必要があります。当メディアを運営している株式会社SoLabo(ソラボ)もIT導入支援事業者で申請のサポートを行っていますので、申請を検討している人や上記以外で導入できるITツールを知りたい人は下記無料診断フォームよりお問い合わせください。

無料診断

インボイス対応類型はITツールとの同時申請でハードウェアも対象になる

インボイス対応類型はソフトウェアとの同時申請でハードウェアも対象になります。インボイス対応類型とは、IT導入補助金の申請時に選べる類型のひとつです。薬局のパソコンやタブレットなども一新したいなら、インボイス対応類型に申請しましょう。

【インボイス対応類型の概要】

目的
  • 生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者等を支援する
  • インボイス制度への対応として支援する
  • 企業間取引のデジタル化を強力に推進するため、「通常枠」よりも補助率を引き上げて優先的に支援する
補助対象経費 ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大 2 年分)、
ハードウェア関連費(PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機、
POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機)、導入関連費

参考:「インボイス対応類型の公募要領」|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、iPadを購入したい薬局の場合、インボイス対応類型でクラウド型のITツールを申請するなら、iPadも補助の対象になります。インボイス対応類型では、事業者が導入するITツールの利用に必要な場合に限り、ハードウェアも補助対象となるからです。

ハードウェアを申請したい人は、インボイス対応類型を選択しましょう。その際、申請するハードウェアとITツールに「クラウド型在庫管理システムを動かせるタブレット」のような関連性が必要だと覚えておきましょう

オンライン資格確認のカードリーダー費用はIT導入補助金で補助されない

オンライン資格確認のカードリーダー費用は、IT導入補助金で補助されません。「オンライン資格確認」の補助金は「社会保険診療報酬支払基金」が実施していて、IT導入補助金とは別の管轄が実施しています。

【オンライン資格確認の補助金とIT導入補助金の制度の違い】

オンライン資格確認の補助金 IT導入補助金

管轄:社会保険診療報酬支払基金

 補助対象経費:

  • 顔認証付きカードリーダーの費用
  • オンライン資格確認のために
    院外ネットワークを敷設し、
    そのネットワークをオンライン請求と
  • 共用する場合の初期費用

管轄:経済産業省/中小企業庁

補助対象経費:

  • インボイス対応会計ソフトの費用
  • 請求書自動発行ツールの費用
  • パソコン/タブレットの費用 など

参考:オンライン資格確認の導入について|厚生労働省(医療機関・薬局、システムベンダ向け)

たとえば、「オンライン資格確認の補助金」の場合、「社会保険診療報酬支払基金」という組織が運営しています。補助対象経費は主に「顔認証付きカードリーダー」の費用です。

これに対し、IT導入補助金の場合は、経済産業省と中小企業庁が運営しています。補助対象経費は幅広く、インボイス対応の会計ソフトやPC導入時の費用などがあります。

IT導入補助金の補助対象はソフトウェアやシステム(ITツール)で、顔認証カードリーダーは補助の対象外であると理解しておきましょう。

過去の採択事例には薬歴管理や保険適用薬局業務サポートシステムの導入がある

過去の採択事例には、薬歴管理や保険適用薬局業務サポートシステムの導入があります。IT導入補助金の公式サイトが公開している採択事例があるので、薬局向けITツールを申請したい人は、参考にしてみてください。

【薬局向けITツールで採択された過去事例】

経営課題
  • かかりつけ薬局の登録数を増やす
  • 健康保険適用薬局は、保険規約の変更で売上を左右される可能性があるため、薬の送料無料といったサービスを提供し、地域の高齢者に選ばれる工夫をする
IT導入の経緯・きっかけ
  • 使用中の薬歴システムの動作が遅くなった
  • 調剤薬の提供時、前回の薬歴を紙に印刷していたため時間のロスがあった
導入したITツール ハイブリッジ株式会社の「Hi-Story」と「Redeposit」
担当したIT導入支援事業者 ハイブリッジ株式会社

参考:「取材事例一覧」|IT導入補助金2023

たとえば、IT導入補助金で「Hi-Story」と「Recepro-i」を導入した薬局の場合、経営課題には「周囲の薬局との差別化」や「売上の安定」がありました。IT導入補助金をきっかけに、紙で管理していた薬歴を即座に見ることができ、医薬品の売り上げも増加しました。

IT導入補助金の公式サイトには、さまざまな業種の事業者がITツールを導入したきっかけや効果が掲載されています。薬局の事例は多くありませんが、過去の事例をみることでITツールの導入がイメージしやすくなるので、過去事例を参考にしてみましょう。

薬局はIT導入補助金を使うと最大450万円まで補助を受けられる

薬局はIT導入補助金を使うと最大450万円まで補助を受けられます。IT導入補助金には「通常枠」や「インボイス枠」などの複数の枠があり、それぞれの枠ごとに補助金額と補助率、補助対象の経費が異なります。

【IT導入補助金の枠ごとの補助金額と補助率】

通常枠
プロセス数 1プロセス以上 4プロセス以上
補助金額  5万円~150万円未満 150万円~450万円以下
補助率  1/2以内 1/2以内
補助対象経費 ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大 2 年分)、導入関連費
インボイス枠(インボイス対応類型)  
補助金額  ITツール
PC/タブレット レジ/券売機
(下限なし)~350万円  (下限なし)~10万円  (下限なし)~20万円
補助率  ~50 万円部分 50 万円超~350万円部分 1/2以内

3/4以内
(小規模事業者は4/5)

 2/3以内
補助対象経費 ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大 2 年分)、ハードウェア関連費、導入関連費
インボイス枠(電子取引類型)
補助金額 (下限なし)~350 万円
補助率 中小企業・小規模事業者等
その他の事業者等
2/3以内
 1/2以内
補助対象経費 ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大 2 年分)、導入関連費
セキュリティ対策推進枠
補助金額 5万円~100万円未満
補助率  1/2以内
補助対象経費 独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービスサービス利用料
(最大 2 年分)

参考:「資料ダウンロード」にある各枠の公募要領|IT導入補助金2024

たとえば、通常枠の場合、補助金額は5万円~150万円未満で、補助率は1/2です。事業者が税込み110万円の在庫管理システムを導入すると、IT導入補助金では税抜き価格が補助の対象のため、50万円が補助されることになります。

一方、電子取引類型の場合は、補助金額は下限なし~350万円未満で、補助率は1/2です。電子取引類型の補助対象経費は受発注システムなので、レセコンのみのシステムは補助の対象外です。

薬局はIT導入補助金に申請できますが、申請する枠により、補助される経費や金額は異なります。各種システムを導入したいなら「通常枠」か「インボイス対応類型」、ハードウェアも導入したいなら「インボイス対応類型」から申請しましょう。

なお、通常枠に関連する「プロセス」とは、事業者が業務をする際の工程/機能のことで、それぞれ1プロセス、2プロセスとカウントします。プロセスを知りたい人は「IT導入補助金で利用できるITツールとは?主なツールの一覧も紹介」も参考にしてみてください。

この記事のまとめ

薬局はIT導入補助金を使って服薬指導やクラウド薬歴システムを導入できます。IT導入補助金はその名の通り、中小企業者や小規模事業者がITを事業に取り入れる際に利用できる補助金です。薬局の場合も、IT導入補助金を使ってさまざまなITツールを導入できます。

ただし、オンライン資格確認のカードリーダー費用はIT導入補助金で補助されません。「オンライン資格確認」の補助金は「社会保険診療報酬支払基金」が実施していて、IT導入補助金とは別の管轄が実施しています。

薬局はIT導入補助金を使うと最大450万円まで補助を受けられます。IT導入補助金には「通常枠」「インボイス枠」などの複数の枠があります。申請するには、まず各枠の補助金額と補助率、補助対象の経費などを確認しましょう。

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次回公募締切2024年8月23日(金)

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