補助金ガイド

IT導入補助金でRPAツールは対象?補助金額と申請の流れを解説

2024/04/09

2023/6/21

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

RPAツールの導入を検討している人の中には、IT導入補助金でRPAツールが対象なら、利用したいと考えている人もいますよね。その際、「RPAツールがいくらまで補助されるのか」「補助率はどのぐらいなのか」などと気になる人もいるでしょう。

当記事では、IT導入補助金で対象となるRPAツールの名称と、補助される金額を解説します。IT導入補助金でRPAツールを申請する流れも紹介するので、IT導入補助金を利用してRPAツールを導入したい人は、参考にしてみてください。

当記事はIT導入補助金2024公式サイトにある「資料ダウンロード」の通常枠の公募要領をもとに作成しています。

IT導入補助金では複数のRPAツールが対象となる

IT導入補助金では複数のRPAツールが対象となります。IT導入補助金で対象のソフトウェアは公式サイトから調べられ、公式サイトにある「ITツール検索」で調べると、複数のRPAツールが登録されていることが分かります。

【IT導入補助金で対象のRPAツール(抜粋)】

会計ソフト名称 参考価格 概要
WinActor フル機能版 908,000円 Excel、ブラウザ、個別の業務システム等、Windows端末での操作を学習したシナリオを作成し、パソコン操作を自動化するソフトウェア型のロボット
Win Actor 実行版 248,000円 学習したシナリオを読み込み、パソコン操作を自動化するソフトウェア型のロボット
Ez Robot 600,000円 パソコン周りの業務手順を登録すると、Excel、Web、業務ソフトなどのあらゆるアプリで、作業を自動化できるロボット

ロボオペレータ

(端末ライセンス フル機能版)

1,440,000円 「挫折しないRPA」をコンセプトに、請求/受発注/給与計算等の業務を、日々の修正やトラブル対応を含め自動化できるロボット
おまかせRPA(基本メニュー) 900,000円
(1ライセンス:240,000円)
NTT東日本ならではの支援・サポートを利用できる、実績7,000社以上の「WinActor」をベースとする自動化ロボット
RPAロボパットDX 実行版 40,000円 PC上のウェブ・Officeソフト・企業の基幹システムなど、アプリケーションを問わず横断的に人の代わりに操作をするロボット
ナビ搭載 業務自動化RPA 1,188,000円 3つのナビゲーション機能がある、パソコン操作上の入力作業を自動化できるソフトウェア型ロボット
Robo TANGO 700,000円 生産性向上、業務効率のために、デスクワークの単純作業を正確かつ効率的に操作できるロボット

参考:「ITツール・IT導入支援事業者検索」|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、Win Actor フル機能版の場合、事業者がロボットに自動化させたい作業を「シナリオ」として登録できます。その際、Win Actor フル機能版では操作中のパソコン画面を録画する機能があるため、専門知識のない人でもシナリオ登録ができます。

一方、Ez Robotの場合も、人の代わりにロボットに作業させるシナリオ登録が可能です。ただし、Ez Robotでのシナリオ登録は人が操作画面にある機能ボタンを使って入力する方法のため、シナリオ作成の前には、Ez Robotの機能ボタンや入力方法を覚える必要があります。

IT導入補助金で対象のRPAツールは、いずれもパソコンでの作業をロボットに自動化させられますが、その機能や契約形態は異なります。RPAツールの中にはシナリオ作成ができない実行版もあるため、RPAツールを探す際には複数のメーカーを比較してみましょう。

IT導入補助金ではシステム開発や介護などでRPAツールの導入事例がある

IT導入補助金では、システム開発や介護などでRPAツールの導入事例があります。他の事業者のRPAツール導入事例をみて、RPAツールでどのようなことができるのかをイメージしてみましょう。

【IT導入補助金でRPAツールを導入した事例(抜粋)】

業界 目的 導入したRPAツール RPAツールの活用方法
IT 社内開発者の間接業務削減のため UiPath アプリケーション開発者の環境を把握させ、事務作業での二重入力や転記をなくす
介護 書類関連の事務作業での残業を減らすため Care-wing 介護の翼 「スマートフォン」「ICタグ」「RPAツール」を連携させ、正確な介護サービスの開始・終了時間を把握する
製造 手書きの帳票類の記入ミスや基幹システムへの再入力を改善するため Win Actor フル機能版 年間ライセンス 帳票類への記入をRPAツールに任せ、空いた時間をデータ分析に活用する
情報通信業 毎月月末に発生する大量のデータ入力を改善するため NEC Software Robot Solution 事務作業の中での単純作業をRPAツールのロボットに登録し、業務に関わりのない社員でも担当できるようにする

たとえば、ITベンダーの場合、社内エンジニアが開発作業以外に取られる時間を削減するためにRPAツールを導入しました。対象のRPAツール「UiPath」を導入した結果、事務作業での二重入力や転記を削減でき、間接作業を行う時間も短縮できました。

また、介護事業の場合、サービス提供責任者の残業時間を減らすためにRPAツールを導入しました。対象のRPAツール「Care-wing 介護の翼」を導入した結果、ICタグでヘルパーの稼働時間を自動取得できたため、サービス提供責任者の残業時間は削減されました。

IT導入補助金には、異なる業界が「作業時間の短縮」や「入力ミスの削減」のためにRPAツールを導入した事例があります。パソコンやシステム入力を行う作業があるならば、RPAツールで生産性を向上できる可能性もあるので、RPAツールの導入を検討してみましょう。

通常枠への申請で最大450万円が補助される

IT導入補助金では、事業者が通常枠へ申請する際に、RPAツールが最大450万円まで補助されます。その際、通常枠ではソフトウェアの機能が多いほど業務のプロセスを向上させられるため、補助金額も高額になる仕組みとなっています。

【IT導入補助金の通常枠の概要】

項目 概要 要件
補助金額 5万円~450万円未満 <1プロセス以上>5万円~150万円未満
<4プロセス以上>150万円~450万円以下
補助率 1/2以内
補助対象経費
  • ソフトウェア購入費
  • 導入するソフトウェアに関連する費用
    (オプション、役務 )

ソフトウェアの機能による工程を意味する「プロセス」を含むこと

  • 業務プロセス工程の例:顧客対応、決済、供給、会計、総務など
  • 汎用プロセス工程の例:汎用、自動化、分析など

参考:「通常枠の公募要領」|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、RPAツールの場合、パソコン上の作業を自動化するため、「汎用プロセス」に該当します。RPAツールは「1プロセス」とカウントされ、補助金額は5万円~150万円未満となります。

また、RPAと共に顧客管理や会計、決済管理ができるシステムを導入する場合は、3つの業務プロセスが追加されます。そのため「4プロセス以上」となり、補助金額は150万円~450万円以下となります。

IT導入補助金で対象のITツールは、1プロセスのみの場合は5万円~150万円で、4プロセス以上の場合は150万円~450万円が補助されます。RPAツールをIT導入補助金で申請する際は、ソフトウェアのプロセスで補助金額が異なる点に留意しましょう。

なお、RPAツールは「汎用プロセス」に該当するため、「顧客対応」「決済」「供給」などの業務プロセスと呼ばれる他のITツールと共に申請する必要があります。IT導入補助金でRPAツールを申請する際は、他のITツールの導入も検討してみましょう。

RPAツールを申請する際は申請の流れを確認しておく

RPAツールを申請する際は申請の流れを確認しておきましょう。IT導入補助金の申請は、IT支援事業者と呼ばれるRPAツールを販売するベンダー(販売会社)と共に行います。IT導入支援事業者の一部は、コンソーシアムと呼ばれる組織を形成しています。

【IT導入補助金でRPAツールを導入するまでの流れ】

RPAツールを導入する事業者の手続き IT導入支援事業者およびコンソーシアムの手続き
①希望のRPAツールを探す
②希望のRPAツールを取り扱うIT導入支援事業者に問い合わせる ①RPAツールを導入したい事業者の相談に乗る
③IT導入補助金を利用したいと相談する ②IT導入補助金の利用方法を教える
④IT導入支援事業者から渡されるIT導入補助金に申請する ③IT導入補助金に申請するためのマイページのURLを事業者に送る
⑤IT導入補助金に採択される ④事業者よりIT導入補助金に採択されたと連絡を受ける
⑥⑤事業者とIT導入支援事業者がRPAツールの導入について契約を交わす
⑦⑥IT導入支援事業者が事業者のもとでRPAツールの導入に関わる説明や設定、サポートなどを行う

たとえば、RPAツールを導入する事業者の手続きの場合、①希望のRPAツールを探し、次に②RPAツールを扱うIT導入支援事業者を探します。その際、納期や料金などの要望に応えるため、IT導入支援事業者はコンソーシアム内の別の事業者を紹介することもあります。

また、IT導入支援事業者およびコンソーシアムの手続きの場合は、事業者からの依頼を受け、RPAツールの機能や料金の説明を行います。その際、IT導入補助金の利用方法も同時に説明し、事業者へ申請のためのマイページのURLを事業者へ送信します。

IT導入補助金の申請は、事業者とIT導入支援事業者が協力して行います。また、IT導入支援事業者から購入したRPAツール以外は補助されません。IT導入補助金でRPAツールを導入したい人は、RPAツールを扱うIT導入支援事業者にについて情報を集めておきましょう。

なお、IT導入支援事業者の概要を知りたい人は「IT導入補助金のIT導入支援事業者とは?サポート内容や選び方を解説」も参考にしてみてください。

RPAツールを申請する際はスケジュールを確認して計画を立てる

RPAツールを申請する際は、スケジュールを確認して計画を立てましょう。IT導入補助金は事業者が単独で申請できる補助金ではないので、IT導入支援事業者を探す時間が必要です。また、電子申請で使う「GビズIDプライムアカウント」の取得も必要です。

IT導入補助金2024の通常枠の今後のスケジュール】

公募回 申請締切日 交付決定予定日 事業実施期間
2次 2024年4月15日 2024年5月27日 2024年11月29日
3次 2024年5月20日 2024年6月26日 2024年11月29日
4次 2024年6月19日 2024年7月29日 2024年11月29日

参考:「事業スケジュール」|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、3次公募の場合、申請締切の5月20日までに「GビズIDプライムアカウント」や「税務署で発行された直近分の納税証明書」などが必要です。IT導入補助金の申請方法は電子申請となり、IT導入支援事業者からマイページのURLを受け取り申請する仕組みです。

IT導入補助金は電子申請なので、GビズIDプライムアカウントの取得や、IT導入支援事業者との連携にも時間が必要です。余裕をもってIT導入補助金への準備をするため、事前にIT導入補助金2023の公式サイトで「事業スケジュール」を確認しておきましょう。

RPAツールはものづくり補助金や自治体の補助金でも対象になる

RPAツールはものづくり補助金や自治体の補助金でも対象になります。複数の補助金から選びたい人は、RPAツールが対象になるIT導入補助金以外の補助金も検討してみましょう。

【IT導入補助金以外でRPAツールが対象になる補助金】

  • ものづくり補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 事業再構築補助金
  • 自治体の補助金

たとえば、ものづくり補助金の場合、単価50万円以上のRPAツールを「機械装置・システム構築費」として申請できます。その際、RPAツールの導入で事業者が革新的サービスや製品などを産み出し、生産性向上につながることを事業計画書で説明する必要があります。

また、小規模事業者持続化補助金の場合は、従業員数が5名~20名以下の小規模事業者が販路開拓に取り組む際、RPAツールを導入できます。その際、RPAツールが「販路開拓に必要」で「通常の事業に使用されない」ことを事業計画書で説明する必要があります。

RPAツールを対象とする補助金には「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「事業再構築補助金」の他、自治体の補助金があります。これらの補助金の目的に沿った事業計画を立案すれば、機械装置費として補助される可能性があるので、覚えておきましょう。

なお、RPAツールの補助金についてもっと情報が欲しい人は、「RPAツールを国と自治体の補助金を使って導入できるのかを解説」も参考にみてください。

この記事のまとめ

IT導入補助金では複数のRPAツールが対象となり、具体的には「Win Actor」や「Ez Robot」などがあります。IT導入補助金ではRPAツール単体では補助対象外となり、会計ソフトや決済ソフトと共に通常枠から申請すると、補助の対象となります。

IT導入補助金からRPAツールを申請する際は、IT導入支援事業者共に「IT導入補助金への申請」と「RPAツールの導入」を同時進行します。RPAツールを導入する人は、通常枠の公募要領で「交付申請に必要な書類」をあらかじめ確認しておきましょう。

RPAツールを対象とする補助金には「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「事業再構築補助金」の他、自治体の補助金があります。これらの補助金の目的に沿った事業計画を立案すれば、機械装置費として補助される可能性があるので、覚えておきましょう。

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