補助金ガイド

IT導入補助金は農業でどのように利用できる?

2024/04/04

2023/5/26

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

農業で補助金を上手に利用したい人の中には、IT導入補助金とはどんな補助金なのか気になる人もいますよね。その際、利用したいITツールがIT導入補助金の対象かを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、農業でIT導入補助金をどのように利用できるのかを解説していきます。IT導入補助金の対象経費や補助金額などの概要も解説しているため、農業でIT導入補助金をどのように利用できるかが知りたい人は参考にしてみてください。

この記事は、IT導入補助金2024の公式サイトにある公募要領を元に作成しました。

IT導入補助金は生産性を向上させるITツールに利用できる

IT導入補助金は、生産性を向上させるITツールに利用できます。IT導入補助金は、賃上げやインボイス導入など、国の制度変更に対応し、生産性を向上させるために利用できます。そのため、中小企業や小規模事業者は、目的に沿うITツールの導入にIT導入補助金を利用できます。

【IT導入補助金の概要】

項目 概要
対象者
中小企業・小規模事業者
・通常枠
・インボイス枠
・セキュリティ対策推進枠
補助金額
100万円〜450万円
補助率 1/2や3/4以内など
対象経費
・ITツール導入費
(ソフトウェア、ハードウェア、セキュリティサービス)
・導入関連費
(機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ、導入コンサルティング、導入設定・マニュアル作成・導入研修、保守サポート)

参考:「IT導入補助金とは」|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、農業体験のサービスを始めたい農家がIT導入補助金を利用して、予約管理システムを導入することができます。食品を生産している農家の場合、生産管理や製品情報管理システムを導入することも可能です。

IT導入補助金は、ITツールを導入して生産性を向上させるための補助金です。IT導入補助金を受け取るには、申請し採択される必要があるためIT導入補助金の概要の詳細も確認しましょう。

農業で対象経費となるITツールを活用すると業務の効率化につながる

農業で対象経費となるITツールを活用すると、業務の効率化につながります。ITツールを導入することで、農作業の遠隔操作やデータ収集、入力作業などの業務をソフトウェア上で行えるため、従業員の業務が簡略化されるからです。

【農業で対象となるITツールの例】

ITツール
会計ソフトウェア
(インボイス対応)
作物や植物を育てる農家の場合、道の駅や農協との取引の際に、インボイス(適格請求書)に対応できるため、会計業務の効率化ができる。
予約管理のソフトウェア
一般のお客さんを相手にする観光農業の場合、農園やレストランの予約をネット上で管理できるため、電話予約や予約状況の確認に掛かる時間を削減できる。
給与計算のソフトウェア
従業員が複数人在籍する農業を営む場合、会社で働く従業員のシフトに合わせて給与計算をシステム上で行ってくれるため、給与計算を行う従業員が削減できる。
農業固有業務のソフトウェア
作物や植物を育てる農家の場合、作物の管理をシステム上でできるため、作物の管理にかかる時間と業務が削減できる。

たとえば、稲作を営む農家の場合、水門開閉のITツールを導入することで田んぼ内の水量をタブレットで遠隔操作できるようになりました。田んぼ間の往復がなくなったことにより、田んぼの水量の調整にかかる時間が1/2程度に短縮し、他の業務に割く時間が増えました。

農業でITツールを利用すると、作物の管理や作物の取引、従業員の管理などで業務の効率化が見込めます。業務効率化をすることで、手の空いた従業員に別の業務に従事してもらえるため、ITツールで効率化ができそうな業務を探してみましょう。

なお、ITツールは、業務の効率化以外にも、集客や従業員の教育などで生産性を高める施策につなげることもできます。どんなITツールを導入したらいいかわからない人は「ITツールの活用事例」を参考にしてみてください。

また、当サイトを運営する株式会社SoLaboはIT導入支援事業者として、IT導入補助金の申請サポートを行っています。農業においてどのようなITツールを活用すればいいのか、IT導入補助金に申請していくらぐらいの補助を受けられるのかを無料診断しますので、農業でIT導入補助金を利用してみたい人は以下の無料診断からお問い合わせください。

無料診断

導入できるITツールは枠ごとに確認する

IT導入補助金で導入できるITツールは、枠ごとに確認しましょう。「通常枠は生産性向上」「デジタル化基盤導入枠はインボイス対応」「セキュリティ対策推進枠はセキュリティ強化」と、枠ごとに特性が異なるため、対象となるITツールも異なります。

【枠ごとの対象経費】

対象経費
通常枠
以下の①〜⑦の機能を持つソフトウェア
①顧客対応・販売支援
②決済・債権責務・資金回収
③供給・在庫・物流
④会計・財務・経営
⑤総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
⑥業種固有プロセス※農業の固有プロセス
・生産管理、自動データ収集、天候や生育環境記録・作業管理・飼育管理・設備管理・資産管理など
⑦汎用・自動化・分析ツール
インボイス枠
インボイス対応類型
・ソフトウェア(会計・受発注・決済)
・ハードウェア ※ソフトウェアと共に利用する場合に対象
(PC・タブレット・プリンター・複合機・POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機)
電子取引類型
・ソフトウェア
※既に持っているインボイス対応機器に利用する場合に対象
セキュリティ対策推進枠
・サイバーセキュリティお助け隊サービス

参考:各枠の「公募要領」|IT導入補助金2024公式サイト 

たとえば、通常枠は対象となるソフトウェアの種類が一番多く、農業に特化したITツールを選ぶことができます。農作業用の作業管理システムを導入する場合、スマホひとつで作業状況を入力や確認ができ、作業もれや出荷もれを防ぐことができます。

また、インボイス枠はインボイスに対応するため、会計・受発注・決済のソフトウェアとハードウェアが対象です。POSレジ機器とPOSシステムが補助対象になるため、直売所でPOSレジを導入する際でも導入費用を抑えることができます。

対象のITツールは枠ごとに異なり、農業に特化したソフトウェアを導入する場合は通常枠で申請ができます。導入したいITツールが決まったら「ITツール検索」を利用して、導入したいITツールがどの枠に当てはまるのかを確認してみましょう。

補助上限額は最大で450万円

IT導入補助金の申請枠ごとに補助上限額は異なりますが、最大で450万円の補助が受けられます。IT導入補助金では、導入したいITツールの合計金額に対して、補助率を掛けた金額が補助金として受け取れます。

【枠ごとの補助上限額と補助率】

項目 補助上限額 補助率
通常枠 ソフトウェア 450万円 1/2以内
インボイス枠
インボイス対応類型
ソフトウェア 350万円 3/4(※)〜2/3以内
PC・タブレット等 10万円
1/2以内
POSレジ・券売機等 20万円
電子取引類型 ソフトウェア 350万円 2/3〜1/2以内
セキュリティ対策推進枠 サービス 100万円 1/2以内
※小規模事業者は4/5以内

たとえば、通常枠は100万円のITツールを導入した場合、補助率が1/2のため、半分の50万円が補助金の対象となります。インボイス対応類型は、補助率が3/4〜2/3と他の枠よりも高く、100万円のITツールを導入した場合だと約72万円が補助されます。

IT導入補助金は、枠ごとに1/2〜3/4の補助率が設定されており、補助上限額以内の補助金額が受け取れます。補助金額は「ITツールの合計(税抜)×補助率」で計算できるので、補助金額が知りたい人は計算してみましょう。

従業員300人以下の農業従事者が対象者となる

IT導入補助金では、おもに従業員300人以下の農業従事者が対象者となります。IT導入補助金では、中小企業と小規模事業者の定義として、農業を営む人は公募要領に明記されている「その他の業種」に含まれるためです。

【農業(その他の業種)の対象者】

項目 資本金 従業員
中小企業 ~3億 ~300人
小規模事業者 ~20人

たとえば、レストランが併設された農園や畜産を行う農家や、作物を育てて出荷する農家は「従業員数300人、資本金3億円」の範囲内であればIT導入補助金の対象です。そのため、個人事業主として家族経営している農家や、会社として数十人の従業員を抱える会社も対象になります。

ただし、電子取引類型は、中小企業と取引している大企業も対象となります。インボイス制度への対応のために受発注システムを導入したいと考えている農業を営む大企業は、IT導入補助金の活用を検討してみてください。

IT導入補助金は、おもに農業を行う個人事業主や会社として農業を営む中小企業が対象です。耕種や観光、果樹、畜産などの農業を営なみ、IT導入補助金の対象者かどうかが知りたい人は、その他の業種の従業員数と資本金を確認しましょう。

なお、従業員をカウントする際、日雇いアルバイトの1ヶ月以内の場合や季節的業務で4ヶ月以内の場合は従業員としてカウントできません。農業は、種まきや収穫シーズンの季節によって業務が増える場合も考えられるため、従業員のカウントには注意が必要です。

IT導入補助金を利用するにはIT導入支援事業者と共に申請する

IT導入補助金を利用するには、IT導入支援事業者と共に申請する必要があります。IT導入補助金で申請を行えるITツールは、IT導入支援事業者が取り扱うITツールのみが対象になるためです。

ITツールを探す際は、IT導入補助金2024の公式サイトの「ITツール・IT導入支援事業者検索」を利用することで、対象のITツールとITツールを取り扱うIT導入支援事業者を探せます。導入したいITツールがわからない場合には、まずIT導入支援事業者に相談することもできます。

IT導入補助金に申請する際は、ITツールを見つけ、IT導入支援事業者に相談することになります。IT導入支援事業者の選び方がわからない人は「IT導入補助金のIT導入支援事業者とは?サポート内容や選び方を解説」も参考にしてみましょう。

なお、IT導入補助金は、申請の締切のタイミングが決まっており、申請の締切に間に合うようにIT導入支援事業者と打ち合わせをする必要があります。IT導入支援事業者と打ち合わせをする前に、公式サイトに記載がある事業スケジュールの確認をしましょう。

この記事のまとめ

IT導入補助金は、農業でも利用できる補助金です。3つの申請枠「通常枠」「インボイス枠」「セキュリティ対策推進枠」の中から、導入したいITツールに合わせて申請する枠を選択します。

ITツールを導入することで業務の効率化が見込め、従業員の業務が軽減されます。業務が軽減されることで、他の業務へ人手を回すことができ、以前と同じ時間で対応できる業務量が増え、生産性の向上につながります。

IT導入補助金への申請の際は、IT導入支援事業者が取り扱うITツールを申請する必要があります。そのため「ITツール・IT導入支援事業者検索」でIT導入支援事業者を探し、相談しましょう。

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