IT導入補助金を飲食店が使うための申請方法を解説
2024/04/01
2023/1/26
飲食店を営む人の中には、IT導入補助金を使ってPOSレジやセルフレジを導入したいと考える人もいますよね。その際、具体的にいくらまで補助されるのか、どのように申請すればいいのか、と不明な点もある事でしょう。
当記事では、IT導入補助金を使いたい飲食店のために、具体的な申請方法を解説します。POSレジやモバイルオーダーなどのデジタル製品を導入したい飲食店は、この記事を参考にしてみてください。
なお、当記事はIT導入補助金2024の「通常枠」と「インボイス対応類型」の公募要領を参考にして作成しています。
目次
申請するには導入したいハードウェアとソフトウェアを選ぶことになる
飲食店がIT導入補助金に申請するには、POSレジやタブレットなどのハードウェアと共に、IT導入補助金で対象のソフトウェアを選ぶことになります。IT導入補助金は主にソフトウェアの購入を補助する補助金なので、ハードウェアのみの申請はできません。
たとえば、IT導入補助金で飲食店がハードウェアとソフトウェアを選ぶ場合、ハードウェアには「POSレジ」「券売機」「タブレット」「パソコン」があり、ソフトウェアには「POSシステム」「セルフオーダーシステム」「モバイルオーダーシステム」「キャッシュレス決済システム」などがあります。
飲食店がIT導入補助金を利用する場合、手持ちのパソコンやアプリで動作するソフトウェアのみ申請するパターンでも、POSレジやタブレットなどのハードウェアと付属のソフトウェアを申請するパターンでも、両方が補助されます。
POSレジやセルフレジはソフトウェアなしで動作しないので、ハードウェアとソフトウェアの両方を補助してほしい人は、IT導入補助金の利用を検討してみてください。
なお、POSレジやセルフオーダーで毎月のクラウド利用料もかかる場合は、レジ本体とソフトウェアの導入費用に加え、2年分のクラウド利用料も補助されます。飲食店がITツールを申請するなら、導入時にかかる関連費用もまとめて申請しましょう。
飲食店の課題を解決するハードウェアとソフトウェアを決める
IT導入補助金で飲食店が補助を受けるなら、まずは飲食店の課題を解決するハードウェアとソフトウェアを決めましょう。飲食店が抱える課題には人員不足やヒューマンエラーなどがあり、IT導入補助金では飲食店が課題解決のためのITツールを導入する場合、導入費の一部が補助されます。
【補助対象の飲食店向けハードウェアとソフトウェア】
課題例 | 飲食店向けハードウェア |
飲食店向けソフトウェア
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レジ業務の迅速化 |
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従業員の不足 |
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レジ前の行列 |
※顧客は手持ちのスマホで操作する |
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イートイン客の減少 |
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※IT導入補助金2024「インボイス対応類型の公募要領」を元に、株式会社ソラボが作成
たとえば、飲食店でアルバイトの確保が難しい場合、セルフオーダーシステムとタブレットを導入すれば、従業員が注文を取る必要がなくなり授業員の負担が減る可能性があります。
また、狭い店舗で入り口が混雑する場合、モバイルオーダーシステムの導入をすれば、店の入り口の混雑が解消され、混雑で離れた顧客層を新たに取り込める可能性があります。
飲食店がIT導入補助金を利用すれば、店舗の課題を解決するITツールの導入費用の一部が補助されます。飲食店でIT導入支援ツールの導入を検討している人は、まずはどのような課題を解決したいか検討してみましょう。
ただし、導入時に無料プランを選択する場合や初期費用無料の期間のみで解約する場合などは、IT導入補助金の補助の対象外です。無料プランは対象外となることに注意してください。
IT導入補助金に申請する際は、まず導入したいIT製品を扱うIT導入支援事業者を探す必要があります。当メディアを運営する株式会社SoLaboもIT導入支援事業者として約450のITツールを取り扱っています(2024年4月時点)。導入したいツールが対象となるか、取り扱いがあるか等を知りたい人は下記無料診断フォームよりお問い合わせください。
無料診断POSレジとセルフレジの場合
飲食店でインボイス対策をしたい業者や、POSレジやセルフレジを導入したい事業者は、IT導入補助金の導入を検討してみましょう。POSレジやセルフレジを導入すると、売上分析データ機能や勤怠管理機能など、会計以外の機能を使えるという利点もあります。
【IT導入補助金で対象のレジの種類】
店舗規模 | POSレジの種類 | 対応するソフトウェア |
その他のオプション
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大規模~中規模向け | ターミナル型のPOSレジ | POSシステム | タブレット |
中規模~小規模向け | パソコン型POSレジ | POSシステム | パソコン |
小規模店舗向け | クラウド型POSレジ | クラウド型POSレジサービス | タブレット |
大規模~中規模向け | セルフレジ | POSシステムセルフ機能 | タブレット |
たとえば、ターミナル型のPOSレジの場合、天気や時間帯別の売れ筋や売れなかったメニューが把握できるので、店のメニュー開発や客の単価アップへの戦略に活かすことができます。
また、セルフレジの場合、顧客がメニューの選択から決済まで行うため、ランチタイムに忙しい店舗や従業員をなかなか採用できない飲食店に向いています。
飲食店がIT導入補助金でPOSレジやセルフレジを導入すると、POSレジ本体だけでなく、あわせてシステムの費用も補助されます。小規模な飲食店に向いているクラウド型POSレジも対象なので、POSレジに興味のある人はIT導入補助金の利用を検討してみてください。
なお、ハードウェアの補助額は、POSレジやセルフレジを購入する場合が20万円以下、PCやタブレットを購入する場合が10万円以下となっており、最大で30万円が補助されます。システムを導入する際にハードウェアも購入したい人は、インボイス対応類型への申請を検討してみてください。
オーダーシステムとタブレットの場合
IT導入補助金では、顧客がテーブルから直接注文できるセルフオーダーシステムだけでなく、一緒に使うタブレットも補助の対象です。また、自宅や職場から座席予約やテイクアウトの予約ができるモバイルオーダーの導入も、IT導入補助金で補助されます。
牛丼屋や定食屋などではで食券式、ファミリーレストランではタッチパネル式など、既にセルフオーダーシステムを採用する店舗も増えています。セルフオーダーシステムを導入すると、店員が注文をとる必要がなくなるため、その分キッチンや清掃に人員を移動させることも可能です。
【オーダーシステムの種類】
種類 | 端末 | 内容 | ソフトウェア |
セルフオーダー
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券売機 | 券売機と厨房内のシステムが連携し、厨房へオーダーが入る |
●食券番号呼び出しシステム
●チケット発券POSシステム |
タッチパネル(タブレット) | 顧客は店内にあるタブレット端末からメニューを選択肢、注文ができる |
●セルフオーダーシステム
● スマートフォン用セルフオーダーシステム |
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スマートフォン | 顧客はスマートフォンでQRコードを読み込み、店内レジかスマートフォンで決済する | ||
モバイルオーダー
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店内への注文向けシステム | 顧客はスマホやPCから座席やコースを予約し、 当日に来店する |
●モバイルオーダーシステム
●スマートフォン用モバイルオーダーシステム |
テイクアウトの注文向けシステム | ● 顧客がモバイルオーダー画面からメニューを選び、注文する ● 決済は注文と同時にクレジット決済か、来店時に支払う |
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デリバリーシステム
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他社デリバリーシステムを利用する | 1.デリバリーシステムを選ぶ 2.登録を行う 3.管理画面へログインする 4.デリバリー用メニューと価格設定をする |
● デリバリーシステム
●スマートフォン用デリバリーアプリ |
他社デリバリーシステムを自社用にカスタマイズする | 1.デリバリーシステムを選ぶ 2.利用したい機能や希望をまとめ、相談する 3.契約する 4.利用方法を確認して設定する |
たとえば、タッチパネル式のセルフオーダーを導入する場合、初期費用、2年分の月額費用、タブレット端末までがすべて補助の対象です。また、既存のタブレットにアプリを入れて利用できるセルフオーダーシステムの場合、初期費用と2年分の月額費用が補助されます。
IT導入補助金で飲食店にオーダーシステムとタブレットを導入することで、新たな層の顧客を取り込める可能性があります。飲食店でイートインの売上が落ちてきたら、売上分析やデリバリーができるシステムの導入を検討してみましょう。
なお、IT導入補助金ではモバイルオーダーや決済の手数料は補助の対象外となっています。IT導入補助金で補助されるのは主にITツール導入の初期費用で、ランニングコストで補助されるのは2年分のクラウド利用料のみと覚えておきましょう。
キャッシュレス決済と決済端末機の場合
IT導入補助金では、飲食店がキャッシュレス決済を導入する際の経費も補助されます。
キャッシュレス決済を導入したい事業者は、IT導入補助金を上手に利用し、キャッシュレス決済導入時の負担を減らしましょう。
【IT導入補助金で対象のキャッシュレス決済の種類】
種類 | ハードウェア | ソフトウェア |
QRコード決済 | ●パソコン ※飲食店の管理画面閲覧用 ※QRコードの読み取りは手持ちのスマートフォンで可能 |
スマホアプリやブラウザで利用できるため、不要
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電子マネー決済 | ※いずれもIT導入補助金では補助対象外 |
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複合型決済 | ※決済端末単体はIT導入補助金では補助対象外。POS機能があれば対象 |
〈店舗での決済〉
POSレジシステム 〈オンライン決済の場合〉各オンライン決済システム |
たとえば、飲食店がキャッシュレス決済を導入する場合、基本的には決済サービスの利用料と、決済端末やバーコーリーダーなどのハードウェア購入費用がかかります。
電子マネーやクレジットカードなど複数の決済ができる複合型決済の場合、POSレジやPOSシステムと同時にキャッシュレス決済を導入すれば、キャッシュレス決済の補助を受けられます。
IT導入補助金で対象のキャッシュレス決済は、POSシステムおよびPOSレジと連携するキャッシュレス決済サービスです。スマートフォンやタブレットで利用でき、専用端末が不要の無料プランの場合、IT導入補助金の補助の対象外となりますので、注意しましょう。
飲食店向けITツールを導入する際の自己負担額の計算例
IT導入補助金でITツールを導入するなら、自己負担額を計算してきましょう。IT導入補助金では全額補助されるのではなく、補助率が決まっています。
【IT導入補助金の補助率】
枠 | 補助金額 | 補助率 |
通常枠 | ①1プロセス以上:5万円~150万円未満 ②4プロセス以上:150万円~450万円以下 |
1/2以内 |
インボイス対応類型
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・ソフトウェア ①50万円以下 ②50万円超~350万円以下 |
①3/4以内 (小規模事業者は4/5) ②2/3以内 |
・ハードウェア ①PCやタブレットなど:10万円以下 ②レジや券売機など:20万円以下 |
1/2以内 |
※IT導入補助金2024「通常枠」「インボイス対応類型」の公募要領を元に、株式会社ソラボが作成
たとえば、飲食店が1台20万円のPOSレジを導入する場合、デジタル化基盤導入類型の補助率が2/3だとすると、POSレジ代の20万円のうち約12万円が補助されます。
また、POSレジの利用料として月額1万円がかかる場合、IT導入補助金ではクラウド利用料の最大2年分も補助されるため、月額1万円×24ヶ月として24万円も補助されます。
IT導入補助金では、飲食店が購入するソフトウェアとハードウェアの全額が補助されるのではなく、3/4や1/2などの補助率をかけた額が補助金額となります。IT導入補助金で交付決定を受けた場合、事業者は補助金を受け取る前にITツールの費用を支払うので、事前に資金繰りについても確認しておきましょう。
導入したい製品を扱うIT導入支援事業者を探す
IT導入補助金で導入したいツールが決まったら、IT導入補助金の公式サイトにある「IT導入支援事業者・ITツール検索」でIT導入支援事業者を探しましょう。IT導入補助金では、IT導入支援事業者経由で購入するITツールのみ、補助の対象になるからです。
【IT導入支援事業者とは】
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たとえば、神奈川県のIT導入支援事業者を探している場合、 検索画面で「神奈川県」を選択して検索しましょう。また、既に導入したい製品の商品名や型番がわかる場合は、「ツール名」の欄に入力して検索することもできます。
IT導入補助金は飲食店が単独で申請する補助金ではなく、IT製品を扱うIT導入支援事業者とともに申請する補助金です。IT導入支援事業者と飲食店は、申請に関わる作業を一緒にするパートナーです。IT導入支援事業を探す際は、担当エリアやハードウェアの取り扱いなどで条件を絞り、最適なIT導入支援事業者を見つけましょう。
当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)もIT導入支援事業者です。ハードウェアや会計ソフトなどのツール導入のほか、LINE公式アカウントの導入にも対応していますので、弊社サービスに興味がある人は以下の無料診断よりお問い合わせください。
無料診断IT導入支援事業者とともに電子申請する
IT導入補助金の申請方法は電子申請です。IT導入補助金の電子申請は、事業者が単独で入力して送信できるものではなく、IT 導入支援事業者が入力しなければならない項目と、申請者が入力しなければならない項目の両方があると覚えておきましょう。
IT導入補助金に電子申請するには、IT導入支援事業者が「申請マイページ」への招待リンクを事業者に送信します。事業者は受け取ったリンクから72時間以内に申請マイページを開設します。事業者が申請マイページを開設すると、そのページからIT導入補助金への申請が可能となる仕組みです。
【電子申請の事業者側の手順】
手順 | 入力例 |
1.IT導入支援事業者から申請マイページのURLを受け取る | ― |
2.申請者が申請マイページを開設する | 1.GビズIDのログイン 2.交付申請枠の選択(例:インボイス対応類型) |
3.交付申請内容の入力 | 1.基本情報の入力(例.事業者名、本社所在地、事業内容、従業員情報など) 2. SECURITY ACTIONの自己宣言IDの入力 3.申請要件の入力(例.業種の選択) 4.財務情報の入力 など |
※IT導入補助金2024「交付申請の手引き 通常枠・セキュリティ対策推進枠・インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)共通」を元に、株式会社ソラボが作成
たとえば、申請者が申請マイページを開設する場合、GビズITプライムアカウントでログインし、「申請マイページを開設しますか?」と質問にチェックを入れると、開設できます。
また、交付申請内容の入力の場合、IT導入補助金で事業者がIPA(独立行政法人情報処理推進機構)の実施する「SECURITY ACTION」への宣言をする必要があるため、自己宣言IDを入力する必要があります。
IT導入補助金の電子申請では、事業者は複数の情報を入力します。事前に入力する項目がわかっているとスムーズなので、電子申請をする前には、交付申請の手引を確認し、不明点があればIT導入支援事業者に相談してみましょう。
交付決定を受けたらIT導入支援事業者からハードウェアとソフトウェアを購入する
IT導入補助金に申請後、交付決定を受けたらIT導入支援事業者から申請済のハードウェアとソフトウェアを購入しましょう。飲食店がIT導入支援事業者へITツールの支払いをする際は、客観性の担保のため、現金の銀行振込かクレジットカード一括払いのみとされているので注意してください。
IT導入補助金では、各公募回の締切のあと約1ヶ月半後に交付決定の発表があります。交付決定の発表は、申請時に使用した「申請マイページ」へ通知があります。もし飲食店が交付決定を受けたら、申請済のITツールをIT導入支援事業者へ報告し、手続きを進めましょう。
【交付決定後の流れ】
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※IT導入補助金2024「交付申請の手引き」を元に、株式会社ソラボが作成
たとえば、飲食店が6月にITツールの契約をした場合、10月にIT導入支援事業者と実績報告をすると、11月頃に確定検査と補助金の交付があります。
また、飲食店が実績報告をする場合は、請求書や通帳のコピーだけでなく、管理画面のスクリーンショットや利用者情報がわかる画面も必要なので忘れずに保存しておきましょう。
IT導入補助金でPOSレジやモバイルオーダーを実際に導入するタイミングは、申請締め切りの約1ヶ月半後の交付決定後となります。交付決定をしたらすぐに支払いができるよう、飲食店はITツールの支払い代金の準備もしておきましょう。
なお、交付決定前に購入したハードウェアとソフトウェアは、IT導入補助金の補助の対象となりませんので注意してください。
この記事のまとめ
IT導入補助金で主に補助されるのはソフトウェアなので、POSレジやタブレットなどのハードウェアのみで補助は受けられません。しかし、POSシステムやセルフオーダーシステムなどのソフトウェアと共に申請する場合は、POSレジ、券売機、タブレットなどが補助されます。
IT導入補助金で補助を受けられるソフトウェアは、POSシステムやセルフオーダーシステムの他に、モバイルオーダーやキャッシュレス決済など、複数あります。IT導入補助金を使ってこれらのソフトウェアを導入する場合は、IT導入支援事業者へ相談し、申請しましょう。
IT導入補助金の申請方法は、電子申請です。IT導入補助金は、飲食店の事業者が単独で申請できる補助金ではなく、IT導入支援事業者と連携して申請する補助金となっています。IT導入補助金でPOSレジやセルフオーダーシステムを導入する場合は、交付決定を受けたあとでIT導入支援事業者と契約してください。