補助金ガイド

IT導入補助金で建設業が使えるITツールを解説

2024/08/30

2023/1/18

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

建設業で使える補助金を探している人の中には、IT導入補助金に関心がある人もいますよね。その際、建設業はどのような「ITツール」と呼ばれるソフトウェアが対象になるのかを、具体的に知りたい人もいることでしょう。

当記事では、建設業が使えるIT導入補助金のITツールを解説します。建設業者がITツールを導入した事例や一人親方についても触れるので、建設業でIT導入補助金を利用したい人は、当記事を参考にしてみてください。

なお、当記事はIT導入補助金2024の公募要領と各種資料を参考にして作成しています。

IT導入補助金ではCADや積算ソフトなどのITツールも申請できる

IT導入補助金では、一般的なITツールだけでなく、建設業向けのITツールも補助されます。ITツールで生産性が上がる可能性もあるため、生産性や労働力不足に悩んでいる建設業の人は、IT導入補助金の利用を検討してみましょう。

【 IT導入補助金の過去のITツール導入事例】

導入したITツールの種類 事例
建設CAD 工務店が3次元の図面を作成、表示させるため、AutoCADを導入した
建設CAD 一級建築士の事務所が、保育園や幼稚園の設計をするため、BIM(ビルディング インフォメーション モデリング)に対応したVector works Architectを導入した
積算ソフト 建設会社が土木工事書類作成の生産性を上げるため、Gaia Cloudを導入した
給与計算ソフト 現場と事務所で共通の勤怠管理をするため、freee人事労務を導入した
会計ソフト  経理を自動化するため、マネーフォワードクラウド会計を導入した

たとえば、建設CADの場合、これまで2次元の図面のみを作成していた工務店が、IT導入補助金でAutoCADを購入した事例があります。Auto CADの導入により、3次元の図面を作成、表示させられるので作業時間の短縮が見込めます。

また、積算ソフトの場合、これまで土木工事書類の作成を外注していた建設会社が、IT導入補助金で自社へGaia Cloudを導入した事例があります。Gaia Cloudは設計書や仕様書のデータを読み込み、土木積算を全自動化できるので、外注費を節約することが可能です。

IT導入補助金のツール選びは、自社の抱えている課題と共に、自社社員の扱いやすさを考慮して決定しましょう。建設業での生産性や労働力不足に悩んでいる人は、IT導入補助金の利用を検討してみてください。

建設業向けのCADや積算などのITツール

IT導入補助金では、建築に特化した専門的なITツールや、建設業のDX化を推進できるITツールなどが補助の対象です。建築のITツールを導入すると、現場の業務効率があがる可能性や、建築資材の原価管理を一元化できるなどの利点特徴があります。

【IT導入補助金が利用できる建設業向けのITツール】

種類 内容(例)
工務店向け業務効率化システム
  • 工務店の要望を聞いてアップデートを繰り返したシステムなので、エクセルでの作業に比べ、見積と粗利の誤差が少ない
  • 営業の商談の状況がひとめで共有できるため、部下も上司も共通の営業進捗を認識できる
建設業向け原価管理ソフト 下請けや改修工事などの大量の案件を同時進行する際、項目ごとの原価が入力済なので、スピーディーに入金管理と請求管理ができる
積算ソフト 電気工事業・水道工事業など、工事ごとの標準単価を登録済みだから、スピーディーに見積を作成できる
建築CADソフト 平面図から自動的に3D図が生成されるため、提案資料の作成時間を減らし、顧客の意思決定にかかる時間を短縮できる

たとえば、建設業向け原価管理ソフトを導入する場合、経理部門の負担を改善できる可能性があります。多数の工事を請け負っている事業者であれば、複数の案件を一括管理でき、経理担当が案件ごとに請求と支払いを確認しやすくなるためです。

また、建設業でDXをしたい場合、人材の採用や営業、原価管理や設計など、日々の業務プロセス全体をデジタル化することもできます。IT導入補助金では複数のITツールが補助の対象なので、DXしたい業務のIT化に幅広く利用できます。

IT導入補助金では、建築業の業務効率や設計などの専門的なITツールが補助の対象です。建設業の業務効率や提案力アップに関心のある人は、IT導入補助金を使ってITツールを購入することを検討してみましょう。

一般的な業務用ITツール

IT導入補助金では、人事や給与計算など、一般的な業務に向けたITツールも補助されます。IT導入補助金でITツールを購入するなら、「営業での機会損失をなくしたい」「人事労務の負担を軽減したい」などの悩みを解決する、一般的な業務用ITツールも検討しましょう。

【一般的な業務用のソフトウェア】

種類 内容(例)
営業支援ツール(SFA) 各営業の顧客データと案件が一元管理でき、Googleカレンダーやクラウドで連携されるため、提案やフォローアップがしやすくなる
人事労務システム 従業員の給与明細や年末調整、入社・退職手続きをクラウド上で行うため、紙の印刷や郵送する手間が減る
請求書発行ツール 取引先を登録し、自動で請求書を作成、メール添付で送付できる。ツールによっては、売上管理や郵送業務の代行ができる
会計システム 日々の会計処理を記録し、決算書類をスピーディーにできるソフト。会社の財務状況の把握や報告書の作成機能もある

たとえば、営業支援ツール(SFA)の場合、営業支援ツールは複数の営業担当の顧客情報や提案を営業同士で共有できます。営業担当の不在時にも別の担当者がフォローアップしやすくなるので、見込み客の取りこぼしが減る効果も期待できます。

また、人事労務システムの場合、ブラウザとネット環境があれば場所を選ばず作業できるので、リモートワークも実現できます。給与明細や入社手続きなどもクラウド上でするため、遠隔地に住む社員に出社を促す必要もなくなります。

中小企業向けのソフトウェアでも、建設業の現場で利用できるソフトウェアは複数あります。事業実態に合わせて、利用できるソフトウェアを知りたいときは、無料診断で確認してみましょう。

無料診断

IT導入補助金では最大450万円までITツールの導入費が補助される

IT導入補助金は「ITツール」と呼ばれるソフトウェアやハードウェアが最大450万円まで補助してもらえる補助金です。IT導入補助金で定義されている「ITツール」には、さまざまな種類があります。また、従業員のいない一人親方や個人事業主もIT導入補助金の対象です。

【IT導入補助金2024の概要】

目的 事業者がITツールを導入することにより、事業の生産性を高めること
対象事業者 中小企業、個人事業主、大企業、NPO法人、有限会社、一般社団法人など
枠・類型の種類
  • 通常枠
  • インボイス枠(インボイス対応類型、電子取引類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • 複数社連携IT導入枠
補助金額 最大450万円。選ぶ枠により異なる
補助率 1/2や3/4など。選ぶ枠や事業規模により異なる
申請方法 J Grantsによる電子申請。申請には無料で取得できるGビズIDプライムアカウントが必要
締め切り <通常枠とセキュリティ対策推進枠、インボイス枠(電子取引類型)>
約1か月半に1度の頻度で公募中
<インボイス枠(インボイス対応類型)>
約2週間に1度の頻度で公募中
<複数社連携IT導入枠>
約2か月に1度の頻度で公募中

参考:「各枠の公募要領」|IT導入補助金2024の公式サイト

たとえば、IT導入補助金2024の対象者の場合、資本金が3億円以下で常に雇う従業員数が300人以下の中小企業や個人事業主が対象です。また、IT導入補助金の対象者は従業員数の下限や「営利」「非営利」に関する規定がないので、一人親方やNPO法人なども対象です。

IT導入補助金2024は、おもに中小企業や個人事業主の工務店や土木会社などが対象です。IT導入補助金を使うと、ITツールに支払う経費を節約できます。電子取引類型は、大企業も対象となるので、IT導入補助金に関心のある人は利用を検討してみましょう。

受け取れる補助金額は補助対象経費に補助率をかけて計算する

IT導入補助金で建設業者が受け取れる補助金額は、補助対象経費に補助率をかけて計算します。IT導入補助金でいくらもらえるか知りたい人は、導入したいITツール総額でいくらになるか確認し、その上でIT導入補助金の補助率をかけてください。

【IT導入補助金で受け取れる補助金額の計算方法】

条件(①従業員数:100人の工務店、②インボイス対応類型で申請)
手順 事業者が支払う補助対象経費×補助率= 補助金額
実際の計算 300万円×2/3 =200万円

たとえば、従業員数が100人の工務店がインボイス対応類型で申請した場合、IT導入補助金で受け取れる補助金額を計算するなら、計算式は「300万円×2/3」となるので、補助金額は200万円となることがわかります。

IT導入補助金で実際にいくら補助されるかを知りたい人は、事業者が支払う補助対象経費に適用される補助率をかけると、試算できます。IT導入補助金は補助事業の期間が短いので、約1か月~4か月後には補助金額が事業者に振り込まれることも覚えておきましょう。

ITツールだけでなく設定やマニュアル作成も対象

IT導入補助金では、ITツールそのものの費用だけでなく、導入時に設定やマニュアル作成費用も補助の対象です。ITツール以外の補助対象経費のことを、IT導入補助金の公式サイトでは「役務」「オプション」と表現しています。

【IT導入補助金の補助対象経費のカテゴリの種類】​

大分類Ⅰ ソフトウェア カテゴリー1 ソフトウェア
大分類Ⅱ オプション カテゴリー2 機能拡張
カテゴリー3 データ連携ツール
カテゴリー4 セキュリティ
大分類Ⅲ 役務 カテゴリー5 導入コンサルティング
カテゴリー6 導入設定・マニュアル作成・導入研修
カテゴリー7 保守サポート

引用:「通常枠の公募要領」|IT導入補助金公式サイト

たとえば、大分類Ⅱオプションの場合、建築用3DCADの「機能拡張モジュール」やWEBサーバなどの「ミドルウェアパッケージ」が該当します。機能拡張には、ソフトウェアの機能を拡張するソフトウェアが含まれます。

また、大分類Ⅲ役務の場合、「導入設定・マニュアル作成・導入研修」や、ITツール導入後の「保守サポート」が該当します。導入設定・マニュアル作成・導入研修には、ITツールの販売者であるIT導入支援事業者による、サポートが含まれます。

社内にITツールに詳しい担当者がいない場合でも、ITツールのサポートを使えば、ITツールを社内に導入することは可能です。建設CADや積算ソフトを導入したいけれど不安な人は、IT導入補助金でITツール導入時のサポートも依頼しましょう。

IT導入支援事業者なら申請とITツールの導入を両方してもらえる

IT導入補助金を「IT導入支援事業者」と共に申請すると、申請サポートとITツールの導入を両方してもらえます。IT導入補助金は、かならずIT導入支援事業者と申請するルールの補助金だからです。

【IT導入補助金の申請手続きの流れ】

IT導入支援事業者が行う申請手続き(抜粋)  IT導入支援事業者が行うITツールの導入
①申請者が申請要件を満たすかWチェック 1.事業者から欲しいITツールの相談を受ける
②申請者が準備した書類の確認、相談、アドバイス 2.IT導入支援事業者が登録しているITツールで対応できるか確認する
③申請マイページへの招待 3.IT導入支援事業者が該当のITツールを提供できるか返答する
④申請画面の操作方法の教示、確認 4.ITツールの導入担当を決める
⑤申請者が入力した情報の確認 5.ITツール導入計画と契約書を作成する
⑥IT導入支援事業者担当者情報・計画・数値と導入するITツール情報の入力 6.事業者へITツール導入提案書を提示する

たとえば、建築業者がIT導入支援事業者に「IT導入補助金を使いたい」と相談した場合、IT導入支援事業者は建築業者が申請要件を満たすかを確認します。その際、建設業者はIT導入支援事業者から「従業員数」や「GビズIDプライムの有無」などを聞かれます。

また、建築業者が建築CADの導入を相談した場合、IT導入支援事業者は自社が相談された建築CADを登録しているかを確認します。IT導入支援事業者が建築CADを登録していないと、建築業者はIT導入補助金を使って建築CADを購入できないからです。

IT導入補助金では、IT導入支援事業者から購入するITツールでないと補助されません。IT導入補助金への申請は、希望のITツールを販売するIT導入支援事業者と共に行いましょう。

過去に採択された事業者も要件を満たせば2回目の申請ができる

過去に採択された事業者も、要件を満たせば2回目の申請ができます。一度採択された事業者も、別のITツールを導入したいなら、申請要件を確認してみましょう。

【IT導入補助金に交付決定を受けた人が2回目に申請できる条件】

  • 別の枠で申請する
  • 交付決定を受けてから12ヶ月以降に申請する
  • 別の事業者として申請する

たとえば、1回目の申請で2023年6月にデジタル化基盤導入枠で交付決定を受けた場合、通常枠であれば申請は可能です。加えて、同じ枠から12か月以内に申請はできないので、2024年6月からはインボイス枠へ申請できます。

また、複数の事業を持つ複数の事業者として行う人の場合、別の会社や事業者名義であれば、IT導入補助金にもう一度申請できます。IT導入補助金の申請は、どの事業者がどの補助事業で採択されたかが確認されるので、別の事業者としての申請なら可能です。

IT導入補助金に一度採択された人も、条件を満たせば、2回目の申請ができます。1回目の申請時で導入したITツールとは別のITツールを申請したい人は、2回目の申請ができるのかを確認してみましょう。

この記事のまとめ

IT導入補助金では、建築に特化した専門的なITツールや、建設業のDX化を推進できるITツールなどが補助の対象です。また、IT導入補助金では、人事や給与計算など一般的な業務に向けたITツールも補助されます。

建築のITツールを導入すると、現場の業務効率が上がる可能性や、建築資材の原価管理を一元化できるなどの特徴があります。IT導入補助金では、中小企業者や個人事業主に加え、一人親方やNPO法人なども対象です。

IT導入補助金では、ITツールの導入費用が設定やマニュアル作成も含め、最大450万円まで補助してもらえます。ITツールで生産性が上がる可能性もあるため、建設業での生産性や労働力不足に悩んでいる人は、IT導入補助金の利用を検討してみましょう。

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2024 最終公募締切2024年10月15日(火)

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