IT導入補助金2024でパソコンを購入できる?注意点を交えて解説
2024/08/05
2024/6/24
IT導入補助金はパソコンやタブレットなど、ハードウェアの導入にも利用できる補助金です。企業だけでなく個人事業主も対象となる制度であり、パソコンやソフトウェアなどのITツールと、関連するオプションや役務費用の一部を補助してもらえる可能性があります。
当記事では、IT導入補助金2024におけるパソコン購入について注意点を交えてを解説します。パソコンの購入にIT導入補助金を利用したいと考えている人は参考にしてみてください。
なお、当記事はIT導入補助金2024の「インボイス枠(インボイス対応類型)」の公募要領をもとに作成しています。
目次
パソコンを購入できるのはインボイス枠(インボイス対応類型)のみ
IT導入補助金2024のインボイス枠(インボイス対応類型)では、パソコンやタブレットなどのハードウェアが補助対象となります。IT導入補助金では申請枠ごとに補助対象となる経費が異なるため、パソコンの購入にIT導入補助金を利用したい人は申請の際にインボイス枠(インボイス対応類型)を選択しましょう。
ハードウェア |
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ソフトウェア |
以下のいずれかの機能を有するもの
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オプション |
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役務 |
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インボイス対応類型では、パソコンやタブレット、POSレジなどハードウェアの購入費用が補助対象となっています。WindowsやMacのパソコンのほか、iPadやandroidのタブレットなどを導入することも可能です。
また、インボイス対応類型ではハードウェアだけではく「ソフトウェア」「オプション」「役務」の費用も補助対象です。機能拡張やセキュリティなどのオプション費用と、導入コンサルティングや保守サポートなどの役務費用もあわせて申請が可能です。
IT導入補助金2024において、パソコンが補助対象となる枠は原則としてインボイス枠(インボイス対応類型)のみです。IT導入補助金を利用してパソコンを購入したい人はインボイス枠(インボイス対応類型)へ申請しましょう。
なお、複数の事業者が連携してITツールを導入する「複数社連携IT導入枠」でもパソコンが補助対象となりますが、10社以上での申請が必要であり事業者単体では申請できません。その他の枠とは申請方法も異なるため、複数社連携IT導入枠について知りたい人は公式サイトの「複数社連携IT導入枠」を確認してください。
IT導入補助金に申請するためには、対象事業者となるための条件を満たす必要があります。無料診断では、IT導入補助金の対象事業者となるか、パソコンの導入でいくら受け取れるかなどを診断できますので、申請を検討している人はお試しください。
無料診断パソコンの購入で最大10万円の補助金を受け取れる
IT導入補助金はパソコンやタブレットなどのハードウェアも補助対象であり、最大10万円の補助金を受け取ることができます。IT導入補助金では申請枠や経費ごとに補助率と補助額が決められており、パソコンやタブレット等のハードウェアの補助額は「10万円以下」と定められています。
補助率 |
1/2以内 |
補助額 |
10万円以下 ※モバイルPOSレジとして使用するパソコンは20万円以下 |
参考:公募要領 インボイス枠(インボイス対応類型)P.14|IT導入補助金2024
パソコン購入に対して受け取れる補助額は「パソコンの金額」「補助率」「補助額」をもとに算出できます。「パソコンの金額×補助率」と「補助額」を比較し、いずれか低い方を補助対象経費として申請することが可能です。
たとえば、IT導入補助金を利用して20万円のパソコンを購入したい場合の計算式は「20万円×1/2=10万円」です。パソコンの補助額である10万円以下にあてはまるため、10万円の補助を受けられる可能性があります。
しかし、IT導入補助金を利用して30万円のパソコンを購入したい場合の計算式は「30万円×1/2=15万円」となりますが、補助額の上限を超えています。補助額は最大10万円のため10万円までが補助対象となり、超過した20万円は自己負担となります。
なお、モバイルPOSレジを利用するためのパソコンは最大20万円が補助されます。ハードウェアの補助額は「パソコン・タブレット等」と「レジ・券売機等」で異なり、モバイルPOSレジを利用するパソコンは「レジ・券売機等」として申請できることを予備知識として覚えておきましょう。
IT導入補助金2024を利用してパソコンを購入するときの注意点
IT導入補助金を利用してパソコンを購入するときには、いくつかの注意点があります。注意点を知らずに補助金の申請やパソコンの購入をおこなった場合、補助金を受け取れなくなる恐れがあります。
【IT導入補助金を利用してパソコンを購入するときの注意点】
- パソコンのみでの申請はできない
- インターネットや量販店を通じて購入したパソコンは申請できない
- 購入済みのパソコンは申請できない
申請者は「パソコンのみでは申請できないこと」「インターネットや量販店で購入したパソコンは申請できないこと」「購入済みのパソコンは申請できないこと」に注意が必要です。指定された条件を満たしていない場合は補助対象外となるため、パソコンの購入にIT導入補助金の利用を検討している人は申請における注意点を押さえておきましょう。
パソコンのみの申請はできない
IT導入補助金では、パソコンのみを対象経費として申請することはできません。パソコンの購入にIT導入補助金を利用したい人は、インボイス対応類型の対象となるソフトウェアとともに導入する必要があることを覚えておきましょう。
パソコンが補助対象となるインボイス対応類型では、「会計」「受発注」「決済」のいずれかの機能を含むインボイスに対応したソフトウェアを導入することが前提です。ソフトウェアを導入せず、パソコンのみを申請した場合は補助対象外となります。
また、IT導入補助金を利用して導入するパソコンは、ともに申請するソフトウェアの使用を目的としたものでなければなりません。導入するパソコンがソフトウェアの使用に資すると認められない場合は、補助金を受給できない可能性があります。
パソコンのみを導入する場合には、IT導入補助金を利用できません。パソコンのみでの申請を考えていた人は、「会計」「受発注」「決済」機能を含むソフトウェアをあわせて導入することも検討してみましょう。
パソコンと共に導入するソフトウェアの補助率と補助上限額
パソコンと共に導入するソフトウェアも、IT導入補助金の対象経費として申請ができます。IT導入補助金を利用してパソコンを購入予定の人は、パソコンと共に導入するソフトウェアの補助率と補助上限額も確認しておきましょう。
機能要件 |
補助額 |
補助率 |
1機能 |
50万円以下 |
3/4以内 ※小規模事業者は4/5以内 |
2機能以上 |
350万円以下 |
2/3以内 ※50万円以下の部分には「1機能」の補助率を適用 |
参考:公募要領 インボイス枠(インボイス対応類型)P.14|IT導入補助金2024
インボイス対応類型では、申請するソフトウェアの機能数に応じて補助額の上限が異なります。「会計」「受発注」「決済」のうち1機能のみのソフトウェアを申請する場合は50万円、2機能以上のソフトウェアを申請する場合は350万円が上限です。
また、申請するソフトウェアの機能数に応じて補助率も異なります。「会計」「受発注」「決済」のうち1機能のみのソフトウェアを申請する場合は3/4(小規模事業者は4/5)、2機能以上のソフトウェアを申請する場合は2/3の補助率が適用されます。
ただし、2機能以上のソフトウェアを申請する場合でも、補助額が50万円以下の部分には1機能の場合と同じ補助率が適用されます。機能数にかかわらず、補助額が50万円以下の部分については中小企業が3/4、小規模事業者が4/5の補助率となります。
なお、インボイス対応類型における補助額の計算には「補助金シミュレーター」を利用できます。条件を指定して申請可能額をシミュレーションできるため、いくらの補助金を受け取れるのか気になる人は参考にしてみてください。
インターネットや量販店を通じて購入したパソコンは申請できない
IT導入補助金では、インターネットや量販店で購入したパソコンは補助対象外です。パソコンの購入にIT導入補助金を利用したい人は、IT導入支援事業者を通してパソコンを購入する必要があることを覚えておきましょう。
IT導入補助金において、申請する経費の購入はすべてIT導入支援事業者を通しておこなわなければなりません。IT導入補助金の申請者をサポートする者として事務局の認定を受けているIT導入支援事業者は、申請の相談や手続きの補助だけでなくITツールを提供する役割も担っています。
なお、事業実施後の実績報告において、補助対象として申請するITツールをIT導入支援事業者から購入したことを証明する納品書の提出を求められます。IT導入支援事業者が取り扱うものと同じ種類のパソコンであっても、IT導入支援事業者を介さずに購入した場合は補助対象外となる点に留意しましょう。
パソコンを取り扱うIT導入支援事業者の探し方
IT導入支援事業者によって取り扱うITツールが異なり、パソコンの提供をおこなっていない場合があります。IT導入補助金を利用してパソコンを購入予定の人は、パソコンを取り扱うIT導入支援事業者の探し方も確認しておきましょう。
パソコンを取り扱うIT導入支援事業者は、IT導入補助金2024の公式サイトにある「ITツール・IT導入支援事業者検索」から検索できます。ITツール名やIT導入支援事業者名を入力するだけでなく、条件を指定してIT導入支援事業者を探すことも可能です。
パソコンを取り扱うIT導入支援事業者を探す場合、「IT導入支援事業者を探す」を選択します。インボイス枠のタブから「PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機販売予定ありの事業者で絞り込む」にチェックを入れます。
検索ボタンを押下すると、ハードウェアを取り扱うIT導入支援事業者が一覧で表示されます。申請者は複数の中から自社の条件にあうIT導入支援事業者を探すこととなるため、選び方のポイントを知りたい人は「IT導入支援事業者とは?IT導入補助金の申請における選び方と探し方を解説」の記事も参考にしてみてください。
なお、MacbookやiPadといったハードウェアの種類や機種ごとの詳細はITツール・IT導入支援事業者検索からは確認できません。導入できるパソコンの詳細を知りたい人は、検索結果の中から自社の希望に合いそうなIT導入支援事業者へ直接問い合わせましょう。
購入済みのパソコンは申請できない
IT導入補助金では、購入済みのパソコンを対象経費として申請することはできません。パソコンの購入にIT導入補助金を利用したい人は、申請するパソコンを購入できるタイミングに決まりがあることを覚えておきましょう。
IT導入補助金において、パソコンやソフトウェアなど申請する経費を購入できるタイミングは採択されたあとです。すでに使用しているパソコンを申請することや、採択結果が出る前に契約や支払いをおこなったパソコンは補助対象外となります。
パソコンの購入にIT導入補助金を利用したい人は、審査において採択されるまではパソコンの購入ができません。申請時点においてすでにパソコンを購入している場合や、すぐにパソコンの購入が必要となる場合にはIT導入補助金を利用できない点に留意しましょう。
IT導入補助金を利用するときの流れ
IT導入補助金では、経費として申請するパソコンやソフトウェアなどのITツールを購入できるタイミングが指定されています。IT導入補助金を利用してパソコンを購入予定の人は、IT導入補助金の利用の流れに沿ってパソコン購入するタイミングを確認しておきましょう。
手順 |
詳細 |
①導入するITツールを選ぶ |
依頼するIT導入支援事業者と相談しながら導入するパソコンやその他のITツールを選ぶ |
②補助金へ申請する |
公募要領に記載されている申請要件を満たし、事業計画を策定したうえで申請をおこなう |
②採択結果を確認する |
審査において採択されたことを確認する |
③ITツールを購入する |
IT導入支援事業者を通して申請したパソコンやその他のITツールを購入する |
④事業の実施と実績報告をおこなう |
購入したパソコンやITツールを用いて、策定した事業計画に沿って事業を実施する |
⑥補助金が入金される |
効果報告の内容により補助額が決定し、指定の口座へ補助金が入金される |
⑦効果報告をおこなう |
事業における1年度目の実績を事務局へ報告する ※賃上げによる加点を受ける場合は3年度目の報告も必要となる |
IT導入補助金を利用する場合、パソコンを購入できるタイミングは審査において採択されたあとです。採択日より前に契約や支払いをおこなったITツールはすべて申請の対象外となる点に留意しなければなりません。
また、補助金が入金されるのはITツールを購入したあとです。IT導入補助金は後払いの制度であり、ITツールの購入時にはすべてのツールを自己資金によって支払うことになるため、申請者はパソコンの代金を含む申請経費の全額を用意する必要があります。
IT導入補助金ではITツールの購入や申請の手続きなどを行う際に、指定された手順に従わなかった場合は補助金を受け取ることができません。IT導入補助金の利用を検討している人はパソコンを購入できるタイミングを確認し、流れに沿って不備のないように申請をしましょう。
この記事のまとめ
IT導入補助金は中小企業や個人事業主が利用できる制度であり、パソコン購入も対象となります。IT導入補助金には5つの申請枠がありますが、ハードウェアの導入に利用できる枠は原則として「インボイス枠(インボイス対応類型)」のみのため、パソコンを購入したい人はインボイス対応類型への申請が必要です。
IT導入補助金において、パソコンの購入費用は最大10万円までが補助されます。補助金として申請できる金額を知るには、パソコンの価格に補助率の1/2を掛けて算出し、補助上限額である10万円と比較していずれか低い方を申請します。
なお、IT導入補助金を利用してパソコンを購入するときの注意点は「パソコンのみの申請」「インターネットや量販店で購入したパソコンの申請」「購入済みのパソコンの申請」は補助対象外となることです。指定の条件を満たしていない場合は補助金を受給できない点に留意しましょう。