補助金ガイド

IT導入補助金の2回目に申請できる条件と注意点を解説

2024/03/28

2022/11/10

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。


IT導入補助金を一度受給し、できれば2回目も申請して受給したいという人もいますよね。その際、IT導入補助金は何回まで受給できるのか、気になる人もいるでしょう。

当記事では、IT導入補助金を一度もらった人でも2回目に申請できる条件と懸念点を解説します。過去のIT導入補助金に申請したものの不採択だった人が、2回目に申請したい場合についても紹介しているので参考にしてみてください。

なお、当記事はIT導入補助金2024の各公募要領をもとに作成しています。

条件を満たせばIT導入補助金に2回目の申請もできる

IT導入補助金は、条件を満たせば、2回目の申請も可能です。IT導入補助金で2回目に申請したい人は、2回目に申請できる条件を満たせるかどうかを確認してみましょう。

【IT導入補助金に交付決定を受けた人が2回目に申請できる条件】

  • 別の枠へ申請する
  • 交付決定を受けてから12か月が経過した後に申請する
  • 別の事業者として申請する

たとえば、IT導入補助金2024で通常枠の交付決定を受けた事業者の場合、要件を満たせば、IT導入補助金2024の別の枠であるインボイス枠(インボイス対応類型および電子取引類型)やセキュリティ対策推進枠に申請できます。

また、過去に交付決定を受けた申請枠と同じ申請枠を希望する人も、交付決定を受けてから12か月が経過していれば、同じ事業者として同じ申請枠で2回目の申請が可能です。

IT導入補助金では、条件を満たせば2回目の申請もできるので、2回目のIT導入補助金を申請したい人は、条件を踏まえて再申請を検討してみましょう。

なお、国が運営している他の助成金や補助金で交付決定されている場合は、助成金や補助金で補助を受けた内容がIT導入補助金の補助内容と重複していると申請はできないため、注意してください。

また、当サイトではIT導入補助金に申請できるかどうかを無料で診断できます。2回目以降の申請で、導入したいITツールの活用ができるかも診断できるので、自社の状況で再申請が可能か確認したい人は無料診断よりお問い合わせください。

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別の枠であれば同じ期間中に申請できる

IT導入補助金2024で一度交付決定された事業者でも、別の申請枠であれば2回目もIT導入補助金2024に申請できます。IT導入補助金2024によると、申請枠と別の申請枠で申請する場合は、複数の枠で申請が可能である旨が記載されています。

IT導入補助金20241回目に申請した枠と2回目に申請できる枠】

1回目に申請(交付決定)した枠 2回目に申請できる枠
通常枠 ・インボイス枠(インボイス対応類型および電子取引類型)
・セキュリティ対策推進枠
インボイス枠(インボイス対応類型) ・通常枠
・セキュリティ対策推進枠
インボイス枠(電子取引類型) ・通常枠
・セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠 ・通常枠
・インボイス枠(インボイス対応類型および電子取引類型)
・複数社連携IT導入枠
複数社連携IT導入枠 ・インボイス枠(インボイス対応類型)
・セキュリティ対策推進枠
※ 1度に複数の枠に申請することも可能(ただし、複数社連携IT導入枠はセキュリティ対策推進枠のみ可能)

参考:IT導入補助金2024「公式サイト」の各枠の公募要領をもとに株式会社SoLaboが作成

IT導入補助金2024において、2回目に申請する場合は、1つの枠に対して1事業者1申請(交付決定)までであれば認められます。その際、2回目に申請する事業や経費は、1回目に申請した事業と異なる内容である必要があります。

ただし、1回目に申請した枠によって、2回目に申請できる枠は決められています。通常枠に申請した人の場合は複数社連携IT導入枠、複数社連携IT導入枠に申請した人は通常枠に申請できないため、あらかじめ自社が申請できる枠の確認が必要です。

IT導入補助金ですでに交付決定を受けた人も、別の申請枠であれば2回目の申請が可能です。申請枠ごとに公募要領が異なるため、必ず該当する申請枠の直近の公募要領で自社が要件を満たせるかどうかを確認してください。

なお、一度に複数の枠に申請する複数申請も可能です。複数申請する場合も、申請できる枠は2回目に申請する枠と同様であるため、複数申請を考えている人も、自社が申請できる枠を確認しておきましょう。

交付決定を受けてから12か月経過した後なら同一の枠にも申請できる

IT導入補助金2023の交付決定を受けてから12か月を経過した場合は、同じ事業者でも、2回目の申請ができます。そのため、IT導入補助金2024の通常枠で2回目の申請を希望する人は、前回交付決定を受けたのが何年の何月だったのか、交付決定された時期を確認してみましょう。

【IT導入補助金に2回目の申請ができる時期の例】

過去のIT導入補助金で交付決定を受けた時期 2回目のIT導入補助金に申請できる時期
2023年4月1日 2024年4月2日以降
2023年5月15日 2024年5月16日以降
2023年6月30日 2024年7月1日以降
※以下①②に該当する事業者は、IT導入補助金2024において複数社連携IT導入枠のみ申請可能。
①IT導入補助金2022および2023のセキュリティ対策推進枠に申請した事業者
②IT導入補助金2022および2023で「サイバーセキュリティお助け隊サービス」に掲載しているITツールを申請した事業者[4]
※以下①②に該当する事業者は、12か月経過後にIT導入補助金2024の枠に申請可能となる。
①IT導入補助金2022、2023の通常枠(A・B類型)で交付決定を受けた事業者
申請可能な枠:IT導入補助金2024インボイス枠(インボイス対応類型および電子取引類型)とセキュリティ対策推進枠
②IT導入補助金2022、2023のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型、商流一括インボイス対応類型および複数社連携IT導入類型)で交付決定を受けた事業者
申請可能な枠:IT導入補助金2024インボイス枠(インボイス対応類型、電子取引類型)

参考:IT導入補助金2024「公式サイト」の各枠の公募要領をもとに株式会社SoLaboが作成

たとえば、2023年8月に交付決定を受けた場合は、2024年9月に同じ事業者で2回目の申請ができます。また、2022年11月までにIT導入補助金で交付決定を受けた場合でも、2024年1月に同じ事業者として2回目の申請が可能です。

IT導入補助金2024では、交付決定から12か月を経過していれば、一度交付決定を受けた事業でも2回目の申請が可能です。以前のIT導入補助金で交付決定を受けた事業者は、交付決定から12か月を経過しているか確認してみましょう。

なお、IT導入補助金2022、2023の通常枠やデジタル化基盤導入枠で交付決定を受けた事業者は、12か月を経過した後であれば2回目の申請できる枠があります。また、IT導入補助金2022、2023でセキュリティ対策推進枠に申請した事業者は、複数社連携IT導入枠のみ申請可能です。

別の事業者としてなら申請できる

IT導入補助金に交付決定された事業者と別の事業者として申請する場合、要件を満たせば、すぐに2回目の申請が可能です。なぜなら、別の事業者としての申請は、2回目の申請として認識されないからです。

たとえば、個人事業主として飲食業、NPO法人として町おこしを営んでいる場合、1回目に個人事業主として交付決定されても、要件を満たせばNPO法人でもう一度申請できます。

一度IT導入補助金で交付決定された場合も、他の事業者として事業をしているときは、別の事業者として2回目の申請が可能です。他の事業者として事業をしている場合は、他の事業でIT導入補助金が使えないかを検討してみましょう。

交付決定された人が2回目に申請するときの注意点

IT導入補助金に交付決定された人が2回目の申請をするときの注意点を紹介します。1回目に申請したときと2回目に申請するときでは、審査や事業計画の目標が異なることがあるため、2回目の申請をする人は注意点を確認しておきましょう。

【交付決定された人が2回目に申請するときの注意点】

  • 公募要領が変更されていることがある
  • 申請要件の目標値が1回目より高くなることがある
  • 審査で減点措置されることがある

たとえば、IT導入補助金2024の公募要領の場合、インボイス枠が新設され、デジタル化基盤導入枠は廃止されました。枠の変更にともない、各枠の公募要領も一部変更されています。

IT導入補助金で2回目の申請をすることは可能ですが、1回目の申請時と公募要領が異なる場合があります。最新版の公募要領で対象事業者や要件をよく確認してから申請しましょう。

通常枠と複数社連携IT導入枠は目標値が高くなる

過去にIT導入補助金の交付決定を受けた人は、申請要件の1つである「労働生産性の伸び率の向上」の目標値が高く設定される場合があります。そのため、過去に交付決定を受けた人がIT導入補助金に申請する場合は、目標値設定の値や条件を確認してみましょう。

【2回目の申請で申請要件の目標値が高くなる場合】

1回目に交付決定を受けた公募 2回目に申請する場合
IT導入補助金2021
・通常枠
【1年後の伸び率】
3%以上→4%以上
【事業計画期間の年平均の伸び率】
3%以上→4%以上
・複数社連携IT導入枠
【1年後の伸び率】
5%以上→6%以上
【事業計画期間の年平均の伸び率】
5%以上→6%以上
IT導入補助金2022
・通常枠
【1年後の伸び率】
3%以上→4%以上
【事業計画期間の年平均の伸び率】
3%以上→4%以上
・複数社連携IT導入枠
【1年後の伸び率】
5%以上→6%以上
【事業計画期間の年平均の伸び率】
5%以上→6%以上
IT導入補助金2023
・通常枠
【1年後の伸び率】
3%以上→4%以上
【事業計画期間の年平均の伸び率】
3%以上→4%以上
・複数社連携IT導入枠
【1年後の伸び率】
5%以上→6%以上
【事業計画期間の年平均の伸び率】
5%以上→6%以上
※IT導入補助金2021、2022、2023の通常枠(A・B類型)もしくはデジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)の交付決定を受けた事業者が対象

参考:IT導入補助金2024「公式サイト」の各枠の公募要領をもとに株式会社SoLaboが作成

たとえば、IT導入補助金2021において通常枠Aでの交付決定を受けた場合、IT導入補助金2024の複数社連携IT導入枠へ申請するなら、公募要領に記載のとおり、申請要件「労働生産性の伸び率の向上」の目標数値は1回目の申請よりも1%高く設定されます。

IT導入補助金で過去に交付決定を受け、2回目に通常枠または複数社連携IT導入枠へ申請予定の人は、申請要件「労働生産性の伸び率の向上」の数値が1回目と異なります。誤った数値で事業計画を作成すると不採択になる可能性もあるので、正しい目標数値を確認しましょう。

2回目の申請をする事業者は審査で減点される場合がある

2回目の申請をする事業者は、審査で減点される場合があります。枠によって減点される対象者が異なるため、2回目の申請を検討している人は、自身が減点対象となるかを確認しておきましょう。

【2回目の申請で減点対象となる交付決定者】

2回目に申請する枠 減点の対象となる交付決定者
通常枠
  • IT導入補助金2022、2023において、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)で交付決定を受けた事業者
  • IT導入補助金2024において、インボイス枠(インボイス対応類型及び電子取引類型)で申請を行っている、もしくは交付決定を受けた事業者
インボイス枠
(インボイス対応類型)
  • IT導入補助金2021において交付決定を受けた事業者
  • IT導入補助金2022、2023において、通常枠(A・B 類型)、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型および複数社連携IT導入類型)で交付決定を受けた事業者
  • IT導入補助金2024において、通常枠で申請を行っている、もしくは交付決定を受けた事業者
インボイス枠
(電子取引類型)
  • IT導入補助金2021において交付決定を受けた事業者
  • IT導入補助金2022、2023において、通常枠(A・B 類型)、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型および複数社連携IT導入類型)で交付決定を受けた事業者
  • IT導入補助金2024において、通常枠で申請を行っている、もしくは交付決定を受けた事業者
セキュリティ対策推進枠 なし
複数社連携IT導入枠 なし

参考:IT導入補助金2024「公式サイト」の各枠の公募要領をもとに株式会社SoLaboが作成

たとえば、IT導入補助金2022においてデジタル化基盤導入枠のデジタル化基盤導入類型で交付決定を受けた事業者が、IT導入補助金2024の通常枠に申請する場合は減点対象となります。

また、IT導入補助金2024において通常枠で申請もしくは交付決定を受けた事業者が、2回目の申請で、インボイス枠のインボイス対応類型に申請する場合も減点対象となります。

IT導入補助金の減点措置がどの程度の減点なのかは、審査基準として公開されていません。しかし、1回目より条件が厳しい中での申請となることを理解して、2回目の申請ではより慎重に申請書類を作成しましょう。

辞退をする場合や不採択だった場合も再申請できる

IT導入補助金で交付決定を受けて交付決定の取り下げをした場合や、過去に申請して不採択だった場合は、IT導入補助金に再申請できます。そのため、何らかの事情でIT導入補助金の別の公募回に申請したい場合は、交付決定の取り下げや不採択の原因の確認など、2回目の申請に備えて準備をしましょう。

たとえば、介護事業者が1回目の申請で交付決定を受けた場合、資金繰りの悪化で購入予定の訪問介護支援システムの支払いが予定通りにできないと判明したら、1回目の申請を取り下げるか事務所に相談した方がよいでしょう。

また、IT導入補助金2024の1次締切で不採択になったとしても、不採択の理由を改善すれば2次締切分に申請することができます。

IT導入補助金で1回目の申請を取り下げたとしても、2回目の申請は可能です。IT導入補助金に不採択になった場合は、前回と同じ内容で申請するのではなく、不採択となった原因を調べ、内容を修正して再申請しましょう。

ただし、2回目の申請は、交付申請を取り下げる手続きが完了するまで行うことができません。交付決定を取り下げて2回目の申請を検討している人は、スケジュールが間に合うかどうかを事務所に問い合わせてみてください。

交付決定後に途中で辞退する場合は全額返還となることがある

IT導入補助金で交付決定後に辞退する場合、事務局から補助金の全額返還を求められることがあります。そのため、IT導入補助金の辞退を考えている人は、事務局に相談してから辞退を検討するようにしましょう。

IT導入補助金に申請する際、事業者は要件を満たす3年の事業計画を提出します。そのため、IT導入補助金で交付決定を受けた人は、3年の事業計画を実施する前提で交付決定を受けています。

【交付決定後1年前後での辞退と全額返還の有無】

交付決定後の辞退のタイミング 全額返還の有無
ITツールの導入前
ITツールの導入後1年未満
※加算金含む
ITツールの導入後1年以上経過 一部返還の可能性あり

参考:IT導入補助金2022の「令和元年度補正 ・令和2年度補正(特別枠含む)サービス等生産性向上IT導入支援事業 後年手続きの手引き」をもとに株式会社SoLaboが作成

たとえば、交付決定後に補助事業を開始した場合、約半年後に補助金が振り込まれてから辞退をすると、ITツール導入後1年未満の交付決定辞退となるため、補助金の全額返還と辞退届の提出が必要です。

一方で、交付決定後すぐに辞退届を提出した場合、まだ補助事業を開始していないため、補助金の全額返還はありません。

交付決定後に何らかの事情で申請した補助事業ができなくなった場合はITツールを導入して1年経過しているかが全額返還への判断軸となります。交付決定の辞退をする際は、辞退届を出す前に、まずはIT導入補助金の事務局へ相談してみましょう。

この記事のまとめ

IT導入補助金で過去に交付決定を受けた人でも、申請する枠を変えるときや交付決定から12か月以上経過したときなど、一定の条件下で2回目の申請ができる場合があります。2回目の申請をしたい人は、申請に必要な条件を確認してみましょう。

ただし、過去にIT導入補助金で交付決定を受けた人の場合、審査で減点措置がとられたり、事業計画の目標値が高くなったりします。2回目の申請をする際は、注意点を確認してから申請してみてください。

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