IT導入補助金の事業実績報告とは？

IT導入補助金を利用する事業者は、補助金事務局に対してさまざまな報告を行う必要があります。「事業実績報告」はさまざまな報告のひとつとして、IT導入補助金を受給するために実施しなければならない報告です。

この記事では、IT導入補助金の事業実績報告をわかりやすく解説しています。事業実績報告の内容やタイミングについても解説しているため、事業実績報告について知りたい人は参考にしてみてください。

なお、この記事はIT導入補助金2024の公式サイトの「事業実施・実績報告の手引き」や「事業実施・実績報告にあたっての重点確認事項」をもとに作成しています。

実績報告とは補助金事業を実施したことを証明するための報告

事業実績報告とは、補助金事業を実施したことを証明するための報告です。IT導入補助金へ申請した事業者は、ITツールの導入を実施したら、ITツールの導入を証明するための情報を補助金事務局に報告する必要があります。

【事業実績報告において報告する内容】

• ITツールの導入手続きに関する書類を提出する
• ITツールを利用したことを確認できる書類を提出する
• 補助金の受取口座情報を提出する

実績報告では、必要書類や口座情報の提出を求められます。ITツールの導入手続きに関する書類やITツールを利用したことを確認できる書類、補助金の受取口座情報を実績報告として、補助金事務局へ提出しなければいけません。

また、実績報告を実施する際は、交付申請時と同様に「申請マイページ」を利用します。申請マイページに書類の添付や情報の入力を行い、提出する報告内容にミスがないことを確認した上で、補助金事務局に提出する流れになっています。

実績報告は、IT導入補助金を受給するために必ず実施しなければいけない手続きのひとつです。実績報告は必ず実施する上で、規定に沿った正しい内容の報告でなければいけないため、実績報告の内容を詳細に知りたい人は実績報告の各内容を確認してみましょう。

なお、「事業実績報告」とは別に、ITツール導入による効果を補助金受給後の数年にわたり報告する「事業実施効果報告」もあります。事業実施効果報告を詳しく知りたい人は「IT導入補助金における効果報告とは？枠ごとの内容と期間を解説」の記事を参考にしてみてください。

ITツールの導入手続きに関する書類を提出する

実績報告の内容のひとつは、ITツールの導入手続きに関する書類を提出することです。ITツールの導入を正しく実施したことを報告するために、補助金事務局に対してITツールの導入手続きの詳細が記載されている資料を提出する必要があります。

参考：事業実施・実績報告の手引き（p33）|IT導入補助金2024

ITツールの導入手続きに関する書類は、ITツールの契約から支払までを証明するためのものです。ITツールの請求書類や支払い書類、納品書類などのITツール導入手続きに関する書類を提出することにより、補助金事務局にITツールを正しく導入していることを確認してもらいます。

なお、提出した書類にITツールの導入手続きの日時や金額などの情報が欠けている場合は、再提出を求められます。ITツールの導入手続きに関する書類を準備する事業者は、書類が揃っているかだけでなく、日時や金額などの情報が欠けていないかも確認しましょう。

ITツールを利用したことを確認できる書類を提出する

実績報告の内容のひとつは、ITツールを利用したことを確認できる書類を提出することです。ITツールの利用を開始していることを報告するために、補助金事務局に対してITツールを利用したことがわかる写真やキャプチャなどの資料を提出する必要があります。

参考：事業実施・実績報告の手引き（p33）|IT導入補助金2024

ITツールを利用したことを確認できる書類は、ITツールを利用していることを写真やキャプチャなどを用いて証明します。ソフトウェアの利用画面やハードウェアの設置写真などの情報を電子データ化して提出することにより、補助金事務局にITツールを利用していることを確認してもらいます。

なお、ITツールを利用したことの写真やキャプチャは、ITツールの利用がはっきり認識できる状態でない場合は再提出を求められます。ITツールの利用を証明するための写真やキャプチャのイメージを知りたい人は「事業実施・実績報告の手引き」から確認してみましょう。

補助金の受取口座情報を提出する

実績報告の内容のひとつは、補助金の受取口座情報を提出することです。申請者はIT導入補助金を受け取るために、補助金事務局に対して受取口座の情報を提出する必要があります。 

参考：事業実施・実績報告の手引き（p33）|IT導入補助金2024

補助金を受け取る口座情報に関する書類は、口座情報の写真やキャプチャなどで提出します。通帳の表紙写真や表紙裏面写真、インターネットバンキングの口座情報の画面などを、電子データ化して提出することにより、補助金事務局に口座情報を共有します。

なお、口座情報は「法人の場合は法人名義」「個人事業主の場合は代表者名義」で提出します。規定に反する口座では補助金の交付を受けることができないため、規定通りの口座情報を準備してください。

実績報告を実施するのはITツールの導入が完了した後

実績報告を実施するタイミングは、導入したITツールを用いて事業を実施した後です。実績報告はITツールを正しく導入したことを証明するための報告なので、ITツールの導入が完了することにより、ITツールの導入を証明する書類を揃えたら報告ができます。

【事業実績報告を含むIT導入補助金の流れ】

1. 交付申請
2. 審査
3. 交付決定
4. 事業実施（ITツールを導入）
5. 事業実績報告
6. 確定検査
7. 補助金の交付（入金）
8. 事業実施効果報告

参考：公式サイト（新規申請・手続きフロー）|IT導入補助金2024

たとえば、実績報告前の流れとしては、交付申請の審査により、交付決定通知を受けられるかが決まります。交付申請において採択された場合は、交付決定通知を受け取ることにより、ITツールの導入ができるようになります。

また、実績報告後の流れとしては、実績報告の内容を補助金事務局により確定検査として確認されます。実績報告の確定検査において問題がないと判断された場合は補助金の入金手続きが行えるようになり、入金手続きから約1か月後に補助金が入金される流れとなります。

IT導入補助金を利用するにあたって、実績報告を提出したら、補助金事務局による確定審査を通過する必要があります。実績報告を実施する事業者は、確定検査時に交付申請の審査の様に補助金事務局によるチェックが入ることを留意しておきましょう。

実績報告に不備があると補助金を受給できない可能性がある

実績報告に不備があるとIT導入補助金を受給できない可能性があります。実績報告の内容は補助金事務局の確定検査として確認され、IT導入補助金の規定に反していた場合は補助金を受け取れなくなります。

【事業実績報告において不備とみなされる場合の例】

• ITツール導入の際に「契約・発注」を最初に行っていなかった場合
• ITツールの支払いの際に「請求」より先に支払いをしていた場合
• 事業実績報告までにITツールの運用を開始していない場合
• 事業実績報告期限を過ぎてしまった場合

実績報告の確定検査では、提出した書類をもとに不備の確認をされます。ITツールの導入に関する書類から「契約・発注を最初に行っているか」や「請求の手続き後に支払いをしているか」などを確認できるため、不備があれば指摘され補助金を受け取れなくなります。

また、実績報告は締切ごとに期限が指定されており、少しでも期限を過ぎると補助金を受け取れなくなります。実績報告をいつまでに実施したらいいかを知りたい人は、「事業スケジュール」から事業実施期間や事業実績報告期限を確認できます。

実績報告に不備があると、交付申請の審査を通過した人であっても補助金を受け取れなくなる可能性があります。IT導入補助金を受給するには必ず実績報告の確定検査も通過する必要があるため、ITツール導入手続きを開始するまでに実績報告の内容を把握しておきましょう。

実績報告の不明点はIT導入支援事業者に相談できる

実績報告の不明点がある事業者は、補助金事業を共にしたIT導入支援事業者に相談してみましょう。IT導入支援事業者は補助金事務局に代わって、申請者の不明点の相談に乗ってくれる事業者のため、IT導入補助金のすべての手続きはIT導入支援事業者に相談できます。

たとえば、実績報告の際に「申請マイページ」の操作がわからない事業者は、IT導入支援事業者に相談できます。経験豊富なIT導入支援事業者の場合は、経験則から実績報告時に注意した方がいい点を教えてもらえる可能性もあります。

また、実績報告の手続きにおいて申請者が「申請マイページ」に記載した内容は、IT導入支援事業者からのチェックを受ける仕組みになっています。交付申請の手続きと同様に、申請者が記載した内容はIT導入支援事業者側で確認をしてもらえます。

実績報告は、申請者とIT導入支援事業者が共に行う手続きです。IT導入支援事業者として活動している事業者には、補助金事務局に代わって申請者をサポートする旨の規定があるため、実績報告の不明点がある人は気兼ねなく相談してみましょう。