IT導入補助金を利用して勤怠管理システムを導入するには?事例を交えて解説
2024/06/19
2024/6/18
IT導入補助金は経営課題の解決につながるITツールの導入を支援する制度です。その際、勤怠管理システムは経営課題を解決することにつながるITツールになりうるため、IT導入補助金を利用できる場合があります。
当記事では、IT導入補助金を利用して導入できる勤怠管理システムの扱いを解説しています。IT導入補助金を利用して勤怠管理システムの導入を検討している人は参考にしてみてください。
なお、当記事はIT導入補助金2024通常枠の「公募要領」をもとに作成しています。
目次
IT導入補助金にて勤怠管理システムを導入した事例を参考にする
IT導入補助金は勤怠管理システムの導入に活用できる補助金です。IT導入補助金の公式サイトにて「ITツール活用事例」が公開されており、勤怠管理システムを導入した事例もあるため、IT導入補助金を利用して勤怠管理システムを導入したい人は確認してみましょう。
「ITツール活用事例」には、IT導入補助金の審査に採択された事例が掲載されています。それぞれの事例には、どのような「課題」を持つ事業者が、どのような「ITツール」を導入して採択され、どのような「効果」を得たのかを確認できます。
労働時間超過を解決したい保育業の事例 | |
課題 | 現場勤務の従業員がタイムカードを打つためだけに本社へ立ち寄って打刻している |
導入したITツール | 勤怠と労務をオンラインで管理できるITツール ・スマホからの遠隔打刻機能 |
効果 | 打刻のための本社立ち寄りがなくなり、残業時間が3分の1に削減できた |
労務管理を効率化したい建設業の事例 | |
課題 | 職員の出退勤を紙のタイムカードから行っていた 園児の登園をパソコンから打刻していた |
導入したITツール | 職員と園児の勤怠をまとめて管理できるITツール ・ICカードによる勤怠管理機能 |
効果 | 従業員の入力作業がなくなり、労務管理の作業時間が7割も軽減できた |
参考:ITツール活用事例|IT導入補助金2024
勤怠管理システムを導入することにより、業務を遂行するための時間削減につながります。従業員がシステムを利用して打刻した内容が自動的にシステムへ反映されるため、管理者による入力作業が不要となり業務の効率化につながります。
活用事例から、勤怠管理システムの導入により業務の効率化につながる事業が審査を通過できる傾向にあることがわかります。自社の課題に合った勤怠管理システムを導入することにより、業務の効率化につなげることができる事業計画を立てましょう。
IT導入補助金を利用できる勤怠管理システムの具体例
IT導入補助金はすべての勤怠管理システムの導入に利用できるわけではありません。IT導入補助金を利用できる勤怠管理システムは、「ITツール・IT導入支援事業者検索」から検索できるもののみです。
勤怠管理システム | 概要 |
KING OF TIME | 勤怠管理以外にも、人事労務、給与、データ分析などにも対応している |
Touch On Time | 指静脈やICカード、モバイルなどの豊富な打刻方法に対応している |
奉行Edge 勤怠管理 | 打刻や分析、マネジメントなどの勤怠管理業務のデジタル化に対応している |
ジョブカン 勤怠管理 | フレックスや雇用形態などのさまざまな勤務形態に合わせて運用できる |
ジンジャー 勤怠 | webやスマホ、タブレット打刻ができシンプルな操作画面になっている |
参考:ITツール・IT導入支援事業者検索|IT導入補助金2024
これらは「ITツール・IT導入支援事業者検索」から検索できる勤怠管理システムの一部であり、ほかにもさまざまな勤怠管理システムが補助対象となっています。導入したい勤怠管理システムが決まっている場合は、勤怠管理システムの名称から検索することも可能です。
IT導入補助金を利用できる勤怠管理システムは、「ITツール・IT導入支援事業者検索」に登録されているもののみです。登録のないITツールはIT導入補助金では導入できないため、勤怠管理システムを探す際は必ず「ITツール・IT導入支援事業者検索」から探しましょう。
勤怠管理システムを導入する場合は通常枠に申請する
IT導入補助金を利用して勤怠管理システムを導入したい人は、通常枠に申請しましょう。IT導入補助金の4種類の申請枠において、勤怠管理システムを導入できるのは通常枠のみだからです。
通常枠は、生産性の向上につながるITツールを導入することにより、国の制度変更に対応することを目的としている申請枠です。被用者保険の適応拡大や賃上げなどに対応するために、生産性の向上につながる勤怠管理システムの導入に利用できます。
通常枠は勤怠管理システムを含む生産性の向上につながるITツールを導入できる申請枠です。勤怠管理システムを導入したい人は、通常枠の「補助対象経費」および「補助額と補助率」を確認しておきましょう。
補助対象経費
IT導入補助金の通常枠において、勤怠管理システムはソフトウェアとして導入できます。勤怠管理システムの導入にIT導入補助金の通常枠を利用する場合は、補助対象経費を確認しましょう。
ソフトウェア
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[対象になるソフトウェアのプロセス]
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オプション |
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役務 |
|
参考:通常枠 公募要領(P14)|IT導入補助金2024
通常枠において補助対象となる経費は「ソフトウェア」「オプション」「役務」の導入費用です。勤怠管理システムは、ソフトウェアのプロセス「⑤総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス」に該当するため、補助対象経費に含まれます。
勤怠管理システムのソフトウェアは、購入費用や利用料が補助対象経費になります。買い切り型のソフトウェアを導入する場合は購入費用が補助対象経費となり、サブスプリクション型のソフトウェアを導入する場合は利用料の最大2年分が補助対象経費となります。
通常枠では勤怠管理システムだけでなく、オプションや役務も補助対象経費に含まれます。勤怠管理システムの機能拡張や導入設定なども補助対象のため、通常枠を利用して勤怠管理システムの導入を考えている人はオプションや役務の導入も検討してみましょう。
補助額と補助率
IT導入補助金の通常枠において受給できる補助金の金額は、「補助額」と「補助率」から計算できます。通常枠を利用して勤怠管理システムを導入する場合に、受給できる補助金の金額を知りたい人は補助額と補助率を確認してみましょう。
補助額
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[ソフトウェアのプロセス(機能)]
|
1プロセス 以上 |
5万円~ 150万円未満 |
4プロセス 以上 |
150万円~ 450万円以下 |
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補助率 | 1/2以内 |
参考:通常枠 公募要領(P15)|IT導入補助金2024
受給できる補助金額は、導入する経費の金額に補助率を掛けて求めることができます。通常枠において100万円の勤怠管理システムを導入する場合の計算式は「100万円×1/2」となり、最大50万円を補助金として受け取れます。
また、補助上限額は導入するITツールのプロセス(機能)の数によって150万円未満か450万円に分けられます。導入する勤怠管理のソフトウェアに会計機能や顧客管理機能などの勤怠管理以外の機能(プロセス)が4つ以上ある場合は450万円までの補助を受けられます。
ただし、補助額や補助率をもとに算出した金額は受給額の上限であり、必ずしも算出した金額の全額を受け取れるとは限りません。申請後の審査の結果によっては、算出した金額よりも受給できる金額が低くなる可能性がある点に留意しましょう。
申請を検討する人は勤怠管理システムを扱うIT導入支援事業者に相談する
IT導入補助金への申請を検討する人は、導入するITツールを扱うIT導入支援事業者に相談する必要があります。IT導入補助金の申請手続きは申請者本人と導入するITツールを扱うIT導入支援事業者の両者が協力しなければならないからです。
まずは、「ITツール・IT導入支援事業者検索」から導入したい勤怠管理システムを探します。導入したい勤怠管理システムの名称の入力や条件の絞り込みにより、IT導入補助金の対象となる勤怠管理システムを検索できます。
次に、導入したい勤怠管理システムを扱うIT導入支援事業者へ、IT導入補助金の利用を検討している旨を伝えます。IT導入支援事業者に相談することにより、IT導入補助金の利用に関するサポートを受けることができます。
IT導入補助金へ申請するには、IT導入支援事業者からのサポートを受けることが必須の要件となっています。申請者のみでは申請の手続きを開始できないため、IT導入補助金を利用したい人は、導入したい勤怠管理システムを扱うIT導入支援事業者へ相談してみましょう。
この記事のまとめ
IT導入補助金を利用して勤怠管理システムを導入するには、課題に対しての効果が見込めるものを選び申請する必要があります。活用事例からも、生産性の向上につながる効果を見込める勤怠管理システムを導入した人が、審査を通過できる傾向にあることがわかります。
勤怠管理システムを導入したい人は、IT導入補助金の通常枠に交付申請を行うことになります。IT導入補助金における4種類の申請枠の中から、勤怠管理システムを導入できるのは通常枠のみだからです。
勤怠管理システムの導入にIT導入補助金を利用する際は、IT導入支援事業者への相談を行うことにより、申請の手続きを開始できます。IT導入補助金を利用したい人は勤怠管理システムを扱うIT導入支援事業者へ相談しましょう。