補助金ガイド

IT導入補助金における効果報告とは?枠ごとの内容と期間を解説

2024/02/01

2023/6/20

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

IT導入補助金において補助金を受け取った人の中には、効果報告の内容を知りたい人もいますよね。また、報告期間や報告しない場合にどうなるかを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、IT導入補助金における効果報告を解説します。報告期間や報告しない場合にどうなるのかも解説するので、これから効果報告を行う人は参考にしてみてください。

なお、当記事は「IT導入補助金2022事業実施効果報告の手引き」をもとに作成しています。

効果報告とは補助事業後の収益や成長率などを報告する申請者の義務

効果報告は、補助事業の収益や成長率などを報告する申請者の義務です。申請した枠ごとに報告する内容が異なるため、効果報告を行う申請者は、該当する枠の報告内容を確認しておきましょう。

【IT導入補助金2022における枠ごとの報告内容】
おもな報告内容
通常枠 ※1
(A/B類型)
【1~3年度目まで毎年】
  • 数値目標に関する情報
    ・売上や原価
    ・従業員数や年間平均労働時間など
  • 給与支給総額
  • 事業場内最低賃金
セキュリティ対策推進枠 【3年度目のみ】
  • 数値目標に関する情報
    ・売上や原価
    ・従業員数や年間平均労働時間など
  • 給与支給総額
  • 事業場内最低賃金
  • セキュリティ対策状況
デジタル化基盤導入枠 ※2
(デジタル化基盤導入類型)
【1年度目】
  • インボイス対応状況
  • ITツールを継続的に活用していること
【3年度目】
  • 賃上げ実施状況(賃上げによる加点を受けている場合)
  • 給与支給額
    ・事業所内最低賃金
※1 通常枠
賃上げ目標が必須要件の人は、目標値未達の場合「賃金台帳」の添付が必要
※2 デジタル化基盤導入枠
導入したITツールの画面キャプチャの添付が必要
(①ソフトウェアの名前②補助事業者名③2023年10月以降の日付がわかる画面キャプチャ
※詳細は「IT導入補助金2022事業実施効果報告の手引き(P47)参照」)

参考:「IT導入補助金2022事業実施効果報告の手引き」をもとに株式会社SoLaboが作成

通常枠の場合、1~3年度目まで毎年、交付申請時に決めた数値目標や給与支給額などを入力することで、伸び率の達成や労働生産性が向上していることを事務局に報告します。賃上げ目標が必須要件の人は、目標値が未達成の場合、賃金台帳の添付が必要です。

セキュリティ対策推進枠の場合、3年度目に、通常枠と同様に伸び率の達成や労働生産性が向上していることに加え、セキュリティ対策状況を事務局に報告します。

デジタル化基盤導入枠の場合、1年度目にインボイス対応や導入したITツールを継続的に使っていることを事務局に報告します。ITツールを継続的に使っていることを証明する際は、導入したITツールのソフトウェア名や利用者がわかるキャプチャの添付が必要です。

また、デジタル化基盤導入枠に申請し、賃上げによる加点を受けている場合、賃上げ実施状況の報告が必要です。賃上げ実施状況の報告は3年度目に実施し、1年度目の報告が不要となります。

報告する際は、IT導入支援事業者の確認が必要です。また、審査が完了したあとは報告内容を修正できないため、報告内容は正確に入力しましょう。効果報告の入力項目が詳しく知りたい人は「IT導入補助金2022事業実施効果報告の手引き」を参考にしてみてください。

効果報告をしなかった場合は補助金の返還を求められる可能性がある

効果報告をしなかった場合、補助金の全額または一部の返還が求められる可能性があります。効果報告の実施は、IT導入補助金において申請者の義務であるためです。

また、以下の項目にあてはまる場合は、補助金の全額または一部返還が求められます。補助金を受け取った事業者は、補助金の返還の対象でないかを確認しましょう。

【辞退とみなされ補助金の返還になる例】
  • 補助事業を実施していない事業者(やむを得ないと事務局が判断した場合を除く)
  • 通常枠のB類型の賃上げ目標が必須要件となる事業者で、以下にあてはまる場合
    ・要件未達の場合
    ・報告期間内に未報告または報告未完了の場合
    ・報告前や要件達成前に事業を辞退した場合

参考:「IT導入補助金2022事業実施効果報告の手引き」をもとに株式会社SoLaboが作成

賃上げ目標が必須要件である通常枠のB類型に申請した人は、賃上げ目標の要件を達成できない場合や要件達成前に事業を辞退した場合は、補助金の返還が必要です。また、報告期間内に報告がない場合や報告が完了しなかった場合も、補助金の返還の対象となります。

通常枠のB類型において補助事業を実施した人は、他の枠と比べて補助金の返還の対象となる条件が多い点に留意しましょう。

なお、補助金を返還する場合の手順は「IT導入補助金2022事業実施効果報告の手引き」を参考にしてみてください。

報告期間や回数は枠によって異なる

IT導入補助金では、枠ごとに要件の達成条件が異なるため、効果報告の報告期間や回数も申請した枠によって異なります。

【IT導入補助金2022における枠ごとの報告期間と回数】
報告が必要な年度 報告する事業実績の期間と報告期間(期限)
通常枠(A/B類型)
【報告回数:合計3回】
1年度目 【報告する事業実績の期間】
2023年4月1日~2024年3月31日
【報告期間(期限)】
2024年4月1日~2024年7月31日
2年度目 【報告する事業実績の期間】
2024年4月1日~2025年3月31日
【報告期間(期限)】
2025年4月1日~2025年7月31日
3年度目 【報告する事業実績の期間】
2025年4月1日~2026年3月31日
【報告期間(期限)】
2026年4月1日~2026年7月31日
セキュリティ対策推進枠
【報告回数:合計1回】
3年度目のみ 【報告する事業実績の期間】
2025年4月1日~2026年3月31日
【報告期間(期限)】
2026年4月1日~2026年7月31日
デジタル化基盤導入枠
(デジタル化基盤導入類型)
【報告回数:合計1回】
1年度目のみ 【報告する事業実績の期間】
ITツール導入後~※1
【報告期間(期限)】
2023年10月1日~2023年10月31日
3年度目のみ ※2 【報告する事業実績の期間】
2025年4月1日~2026年3月31日
【報告期間(期限)】
2026年4月1日~2026年7月31日
※1 ITツールを継続活用している証明のため、ITツール導入後からの実績を報告する
※2 賃上げによる加点を受けている場合、3年度目に1回報告をする(1年度目の報告は無し)

参考:「IT導入補助金2022事業実施効果報告の手引き」をもとに株式会社SoLaboが作成

通常枠は、1~3年度目まで毎年報告が必要です。IT導入補助金2022において補助事業を実施した場合、1年度目は「2023年4月1日~2024年3月31日」の事業実績を対象とし、翌年度の「2024年4月~2024年7月31日」の間に報告を提出する必要があります。

セキュリティ枠は1、2年度目の報告は不要で、3年度目のみの報告となります。IT導入補助金2022において補助事業を実施した場合、3年度目は「2025年4月1日~2026年3月31日」の期間の事業実績を「2026年4月1日~2026年7月31日」の間に報告します。

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の場合、採択時に賃上げの加点を受けているかによって、報告年度が異なります。賃上げの加点を受けていない場合は、1年度目のみの報告となりますが、賃上げの加点を受けている場合、3年度目のみの報告となります。

また、採択時に賃上げの加点を受けていない事業者は「2023年10月1日~2023年10月31日」の報告期間内に、ITツールを使い続けていることを証明するため、導入したソフトウェア名と使用者、日付が分かる画像を添付し報告をします。

なお、効果報告期限当日の締切時間は17:00となります。効果報告を行うときは、スケジュールに余裕をもって行いましょう。

効果報告の流れ

IT導入補助金における効果報告は、以下の流れで行います。申請者の入力した内容は、IT導入支援事業者の確認を受けた後に、事務局へ提出します。

【IT導入補助金2022における報告の手順】
入力者 流れ
申請者
①申請マイページにログイン
②宣誓事項の確認・同意
③実績入力(書類添付)
④IT導入支援事業者へ確認を依頼
IT導入支援事業者
①IT事業者ポータルにログイン
②宣誓事項の確認・同意
③実績や添付書類確認
④申請者へ提出を依頼
(訂正が必要であれば訂正依頼)
申請者 ⑤事務局へ提出

参考:「IT導入補助金2022事業実施効果報告の手引き」をもとに株式会社SoLaboが作成

効果報告におけるおおまかな流れは、すべての枠で共通しています。入力内容は枠ごとに異なるため、具体的な入力項目が知りたい人は「IT導入補助金2022事業実施効果報告の手引き」を参考にしてみてください。

なお、効果報告の内容に不備があった場合、事業者への不備差戻しメールやIT導入支援事業者への訂正依頼メールなどが送られます。IT導入支援事業者に確認依頼を送る際は、事前に連絡を入れておくと、提出までの手続きがスムーズに行えます。

この記事のまとめ

効果報告は、補助事業の収益や成長率などを報告する申請者の義務です。申請した枠ごとに報告する内容や報告期間および回数が異なります。効果報告をしなかった場合、補助金の全額または一部の返還が求められる可能性があるため注意しましょう。

効果報告では、提出前にIT導入支援事業者の確認が必要です。IT導入支援事業者に効果報告の確認依頼をメールで送った際は、その旨をIT導入支援事業者に連絡し、提出をスムーズに行えるようにしましょう。

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