いくらもらえる?IT導入補助金の補助率と補助額を解説
2024/08/05
2024/7/26
IT導入補助金は、ITツール導入費用の一部を返済不要の支援金として受け取れる制度です。IT導入補助金を利用してITツールを導入したい人は、交付申請を行いIT導入補助金事務局による審査を通過することにより補助金を受け取ることができます。
当記事では、IT導入補助金へ申請した場合にいくら補助金を貰えるのかを解説しています。申請枠ごとに補助率や補助額を解説しているため、IT導入補助金をどのくらい受け取れるのかを知りたい人は参考にしてみてください。
なお、この記事は、IT導入補助金2024の公式サイトにある各枠の公募要領をもとに作成しています。
目次
ITツール導入費用の1/2から4/5の金額を補助金として受け取れる
受け取れるIT導入補助金の金額は、ITツール導入費用に対して「補助率1/2〜4/5」を掛けた金額です。ITツール導入費用に対して受け取れる補助金の割合を補助率といい、「ITツール導入費用×補助率」から計算した金額をIT導入補助金として受け取れます。
補助率 | 1/2~4/5 |
補助額 | 最大450万円 |
補助対象経費 | ITツール
|
計算方法 | 「ITツール導入費用×補助率=受け取れる補助額」 ①導入するITツールの総額を算出する ②該当する申請枠の補助率を掛ける ③算出した金額が補助額の範囲内か確認する |
IT導入補助金をいくら受け取れるかを計算する際は、導入するITツールの導入費用を把握する必要があります。ITツールの導入費用に対して、申請を検討している申請枠の補助率を掛けることにより、いくら補助金を受け取れるかを算出することができます。
また、いくら受け取れるのかを算出したら、補助下限額と補助上限額の範囲内かを確認する必要があります。算出した金額が補助下限額に満たない場合は申請できず、補助上限額を超える場合は上限までの支給となります。
IT導入補助金では、申請枠によって対象経費だけでなく補助率や補助額が異なります。いくらIT導入補助金をもらえるのかは申請枠ごとに異なるため、いくら補助金をもらえるか知りたい人は申請する枠の補助率と補助額を確認しましょう。
なお、下記無料診断では導入したいツールからどの枠で申請すればよいか、申請した場合いくら受け取れるかがわかります。これからIT導入補助金の申請を検討している人はお試しください。
無料診断通常枠の上限は450万円
通常枠へ申請した場合は、最大450万円のIT導入補助金を受け取れます。通常枠では、補助額上限が「150万円未満」と「450万円以下」に分かれており、導入するソフトウェアの機能数に応じて補助上限額が異なります。
補助対象経費 | 補助額 | 補助率 | |
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①~⑦において1機能以上の場合 「5万円〜150万円(未満)」 |
1/2以内
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①~⑦において4機能以上の場合 「150万円〜450万円(以下)」 |
参考:通常枠の公募要領(P15)|IT導入補助金 2024
たとえば、会計機能を有する200万円のソフトウェアを導入する場合、最大100万円の補助金を受け取れます。「会計のソフトウェア200万円×補助率1/2」の計算式により、100万円の補助金を受け取れることがわかります。
また、会計機能を有する400万円のソフトウェアを導入する場合、補助率1/2を掛けると200万円となりますが、受け取れる金額は150万円です。1機能のみのソフトウェアを導入する場合の補助上限額は150万円のため、計算上200万円になったとしても上限額である150万円までの支給となります。
通常枠はソフトウェアと導入関連費の合計金額に対して、最大で半額の補助金を受け取れます。補助上限額はソフトウェアの機能数ごとに異なるため、通常枠への申請を検討している人は導入するソフトウェアの機能数を確認してから補助額を計算しましょう。
インボイス枠(インボイス対応類型)の上限は350万円
インボイス枠(インボイス対応類型)に申請した場合は、最大350万円の補助金を受け取れます。インボイス枠(インボイス対応類型)では補助上限額350万円ですが、補助率は条件に応じて「2/3〜4/5」となり、補助額50万円を境に補助率が変わります。
補助対象経費 | 補助額 | 補助率 | ||
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下限なし
〜350万円 |
0円~50万円の部分
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中小企業 | 3/4以内 |
小規模事業者 | 4/5以内 | |||
50万円(超) 〜350万円の部分 | 2/3以内 |
参考:インボイス枠(インボイス対応類型)の公募要領(P14)|IT導入補助金 2024
たとえば、中小企業に該当する人が100万円のソフトウェアを導入する場合は、約72万円の補助金を受け取れます。100万円のソフトウェアに対して、補助額の50万円までは「補助率3/4」で計算し、補助額50万円を超えた部分からは「補助率2/3」で計算します。
なお、補助率の分岐点となる50万円とは、ソフトウェアの金額を指すのではなく、補助額のことを指します。中小企業の例で説明すると、補助額が50万円となるのはソフトウェアの金額が約66万6667円のときであり、66万6668円以上の部分から補助率が2/3となります。
インボイス枠(インボイス対応類型)は補助率が複雑なため、公式サイトにて自動計算をするためのシステムが設けられています。インボイス枠(インボイス対応類型)に申請するといくら補助金を受け取れるか知りたい人は「補助金シミュレーター」を利用してみましょう。
なお無料診断では「いくら補助金が受け取れるか」のほかに、IT導入補助金の対象となるか、どのようなITツールに使えるかなどがわかります。これからIT導入補助金の申請を検討している人はお試しください。
無料診断ハードウェアの上限は20万円
インボイス枠(インボイス対応類型)申請した場合は、ハードウェアの導入費用も補助対象です。ハードウェアの補助上限額は「10万円」と「20万円」に分かれており、ハードウェアの種類ごとに補助上限額が異なります。
補助対象経費 | 補助額 | 補助率 |
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下限なし~10万円 |
1/2以内
|
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下限なし~20万円 |
たとえば、10万円のパソコンを導入した場合は「パソコン10万円×補助率1/2」の計算ができるため、5万円の補助金を受け取れます。また、50万円のPOSレジを導入した場合は、「POSレジ50万円×補助率1/2」の計算により、25万円の計算になりますが、上限があるため20万円を補助金として受け取れます。
インボイス枠(インボイス対応類型)では、パソコンやPOSレジなどのハードウェア購入価格の半額を補助金として受け取れます。導入するハードウェアがレジに使用するものか否かで補助上限額が異なるため、申請を検討している人はハードウェアの種類を確認しましょう。
なお、導入するハードウェアの台数に関わらず、補助上限額は「10万円」または「20万円」です。一回の申請においてパソコンを複数台購入し、総額100万円掛かったとしても、受け取れる補助金は10万円までとなります。
インボイス枠(電子取引類型)の上限は350万円
インボイス枠(電子取引類型)に申請した場合は、最大350万円の補助金を受け取れます。インボイス枠(電子取引類型)ではソフトウェアの導入費用と取引先企業のアカウントの利用料に対して、補助金を最大で350万円受け取れます。
補助対象経費 | 補助額 | 補助率 | |
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下限なし~350万円
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中小企業 小規模事業者 |
2/3以内 |
その他の事業者 | 1/2以内 |
参考:インボイス枠(電子取引類型)の公募要領(P14) |IT導入補助金 2024
たとえば、中小企業が「ソフトウェア」と「中小企業の3社アカウント利用料」を合計300万円で導入する場合は、最大200万円の補助金を受け取れます。「ソフトウェアとアカウント利用料300万円×補助率2/3」の計算により、200万円の補助金を受け取れることがわかります。
また、取引先企業のアカウントを「中小企業4社」と「大企業1社」の計5社に付与する場合は、大企業1社を除く中小企業4社分のアカウント利用料が補助対象です。アカウント利用料がそれぞれ20万円ずつの場合は、中小企業4社分の80万円を補助対象経費となります。
インボイス枠(電子取引類型)は、ソフトウェアと取引先企業のアカウントの利用料に対して「補助率1/2〜 2/3」の補助金を受け取れます。補助率は申請者の事業規模ごとに異なるため、受け取れる補助額が知りたい人は該当する事業規模の補助率を用いて計算しましょう。
セキュリティ対策推進枠の上限は100万円
セキュリティ対策推進枠に申請した場合は、最大100万円の補助金を受け取れます。セキュリティ対策推進枠は、セキュリティを強化するためのサービスに対して最大で100万円の補助金を受け取れる申請枠です。
補助対象経費 | 補助額 | 補助率 |
・「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」 に掲載されているサービス |
5万円~100万円 | 1/2以内 |
参考:セキュリティ対策推進枠の公募要領(P12)|IT導入補助金 2024
たとえば、セキュリティ強化サービスが100万円の場合は、最大50万円の補助金を受け取れます。ネットワークの監視や問題発生時の駆付け、サイバーインシデントの保険などサービスが対象となり「サービスの金額100万円×補助率1/2」の計算により、50万円の補助金を受け取れることがわかります。
セキュリティ対策推進枠は、サービスの利用料に対して最大半額の補助金を受け取れます。セキュリティを強化したい人は「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスの導入費用を確認した上で、いくら補助金を受け取れるかを計算しましょう。
補助額の見積もりはIT導入支援事業者に依頼する
補助額の見積もりはIT導入支援事業者に依頼しましょう。IT導入補助金をいくら受け取れるかを計算する際、IT導入支援事業者へ見積もりを依頼することにより、自身で予想する補助額よりも正確な補助額を知ることができるからです。
IT導入支援事業者とは、申請者に対して「ITツールの提供」や「申請サポート」を行う事業者のことです。IT導入補助金の申請は、申請者とIT導入支援事業者が共に手続きを行う必要があるため、申請する際はIT導入支援事業者への見積もり依頼も行うことになります。
見積もりを依頼するIT導入支援事業者を探すには、「ITツール・IT導入支援事業者検索」を利用します。「ITツール・IT導入支援事業者検索」から導入したいITツールまたは、依頼したいIT導入支援事業者の条件を絞り込むことにより、IT導入支援事業者を探せます。
見積もりを依頼したいIT導入支援事業者を見つけたら、電話やメール等を利用して相談します。IT導入支援事業者へ相談する準備ができた人は、IT導入支援事業者に申請を検討している旨や見積もりを依頼したい旨を伝えましょう。
なお、IT導入支援事業者によってサポート内容や料金が異なります。IT導入支援事業者の選び方を知りたい人は「IT導入支援事業者とは?IT導入補助金の申請における選び方と探し方を解説」の記事を参考にしてみてください。
この記事のまとめ
IT導入補助金を利用する場合にいくらもらえるのかは「ITツール導入費用×補助率=受け取れる補助額」の計算式から求められます。それぞれの申請枠ごとに「補助率」「補助下限額」「補助上限額」などが規定されているため、申請枠ごとに確認が必要です。
正確な補助額を知りたい場合は、「ITツールの提供」や「申請サポート」を行うIT導入支援事業者に見積もりを依頼します。見積もりを依頼したいIT導入支援事業者を見つけたら、申請を検討している旨や見積もりを依頼したい旨を伝えましょう。