補助金ガイド

IT導入補助金に申請するための条件を解説

2024/07/18

2024/7/18

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

IT導入補助金は、全ての人が利用できる補助金ではありません。定められた条件を満たした人のみが申請を許可され、審査を通過した場合に補助金を受け取れる仕組みになっています。

当記事では、IT導入補助金に申請するための条件を解説しています。IT導入補助金の申請枠ごとに異なる条件も解説しているため、IT導入補助金の条件を知りたい人は参考にしてみてください。

なお、当記事はIT導入補助金2024の公式サイトをもとに作成しています。

対象者の条件に該当していないとIT導入補助金を利用できない

IT導入補助金を利用するためには、規定されている対象者の条件に該当している必要があります。IT導入補助金の利用を検討する上で対象者の条件に該当していない人は、IT導入補助金へ申請できません。

【IT導入補助金の対象者】
業種 資本金(以下) 従業員(以下)
中小企業
製造業、建設業、運輸業 3億円 300人
卸売業 1億円 100人
サービス業 5,000万円 100人
小売業 5,000万円 50人
ゴム製品製造業 3億円 900人
ソフトウェア業、情報処理サービス業 3億円 300人
旅館業 5,000万円 200人
その他の業種(上記以外) 3億円 300人
医療法人、社会福祉法人、学校法人
300人
商工会、都道府県商工連合会、商工会議所 100人
“中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体
特別の法律によって設立された組合、連合会
財団法人、社団法人(一般、国益)
特定非営利法人”
主たる業種に
記載の従業員規模
小規模事業者
商業、サービス業(宿泊業、娯楽業除く)
5人
“サービス業のうち宿泊業、娯楽業
製造業その他”
20人

参考:公式サイト(補助対象者)|IT導入補助金2024

IT導入補助金の対象者の条件は「中小企業」か「小規模事業者」に該当することです。業種ごとに「資本金額」と「従業員数」の条件が定められているため、対象者の条件を確認することにより、自社が対象者に該当するかを確認できます。

たとえば、「資本金3,000万円」「従業員100人」の製造業に該当する事業者は、中小企業として対象者になります。中小企業の条件は業種ごとに定められている資本金額と従業員数から、対象者に該当するかを確認できます。

また、「従業員0人」のサービス業に該当する個人事業主は、小規模事業者として対象者になります。小規模事業者の条件は業種ごとに定められている従業員数から、対象になるかを確認できます。

IT導入補助金の対象者の条件は、IT導入補助金の利用する上での前提条件になります。対象者の条件はあくまでも前提条件にあたるため、IT導入補助金への申請を検討している人はその他の条件も満たさないと申請できないことを留意しておきましょう。

対象外の事業者の条件も確認しておく

IT導入補助金に申請したい人は、対象外の事業者の条件の確認も必要です。中小企業や小規模事業者の対象者に該当する人であっても、対象外の事業者の条件に該当する可能性もあるため、対象者の条件と合わせて対象外の事業者についても確認しておきましょう。

【IT導入補助金の対象外の事業者】

  • みなし大企業として扱われる事業者
  • IT導入支援事業者に登録されている事業者
  • 補助金等指定停止措置か指名停止措置が講じられている事業者
  • 風俗営業等の規定する営業を営む事業者
  • 労働関係法令違反により送検処分を受けている事業者
  • 反社会的勢力に関係する事業者
  • 宗教法人
  • 法人格のない任意団体
  • 補助金等の不正行為等を行った事業者
  • 本事業の目的や趣旨から適切でない事業者

参考:各枠の公募要領(申請の対象外となる事業者)|IT導入補助金2024

たとえば、中小企業が大企業からの事業における大半の出資を受けている場合は、対象外になります。IT導入補助金は実質大企業にみなされる事業者が使えない支援制度のため、株式総数や出資価格に関して大企業が関与している場合は対象外になる可能性があります。

また、法令違反や不正行為、指名停止措置などの不都合を抱える事業者は、対象外になる可能性があります。IT導入補助金は国の政策のひとつのため、中小企業や小規模事業者であっても不都合を抱える事業者は、対象外になる可能性があります。

対象外の条件のいづれかひとつにでも該当する事業者は、IT導入補助金へ申請できません。自社が対象外の条件に該当するかが不安な事業者は、IT導入補助金に関するさまざまなサポートを行う「IT導入支援事業者」へ相談してみましょう。

申請枠ごとに異なる条件がある

IT導入補助金の条件は「通常枠」「インボイス枠(インボイス対応類型)」「インボイス枠(電子取引類型)」「セキュリティ対策推進枠」の申請枠ごとに異なります。IT導入補助金への申請を検討している人は、申請手続きを行う枠の条件を確認しましょう。

IT導入補助金の条件は「補助対象経費」「補助額と補助率」「申請要件」があり、申請枠ごとに異なる部分があります。申請枠ごとに導入できるITツールの種類や受給できる補助額、申請する際のルールなどが異なります。

IT導入補助金へ申請するには、申請枠ごとに定められた条件すべてを満たさなければいけません。IT導入補助金へ申請したい人は、申請枠ごとに異なる条件と共通する条件のすべて満たす必要があることに留意しておきましょう。

補助対象経費

申請枠ごとに異なるIT導入補助金の条件のひとつは、補助対象経費です。IT導入補助金を利用する上での補助対象となるITツールは申請枠ごとに異なるため、申請を検討している枠の補助対象経費を確認しましょう。

【IT導入補助金における申請枠ごとの補助対象経費】
補助対象経費 内容
通常枠
ソフトウェア
  • 顧客対応、販売支援
  • 決済、債権債務、資金回収管理
  • 供給、在庫、物流
  • 会計、財務、経営
  • 総務、人事、給与、労務、教育訓練、法務、情報システム
  • その他業務固有のプロセス
  • 汎用、自動化、分析ツール
オプション
  • 拡張機能
  • データ連携ツール
  • セキュリティ
役務
  • 導入コンサルティング
  • 導入設定、マニュアル作成、導入研修
  • 保守サポート
インボイス枠(インボイス対応類型)
ソフトウェア
  • 会計
  • 受発注
  • 決済
オプション
  • 拡張機能
  • データ連携ツール
  • セキュリティ
役務
  • 導入コンサルティング
  • 導入設定、マニュアル作成、導入研修
  • 保守サポート
ハードウェア
  • PC、タブレット、プリンター、スキャナー、複合機
  • POSレジ、モバイルPOSレジ、券売機
インボイス枠(電子取引類型)
ソフトウェア
  • 受発注(クラウド利用費)
※発注側のアカウントだけでなく、受注側のアカウントの利用料も対象
セキュリティ対策推進枠
サービス
  • サイバーセキュリティお助け隊サービスリストのサービス
(サービス利用料最大2年分)

参考:公式サイト(補助対象について)|IT導入補助金 2024

IT導入補助金は申請枠ごとに補助対象経費の条件が異なります。IT導入補助金はITツールの導入に利用できる補助金ですが、補対象経費は申請枠ごとにソフトウェアやハードウェア、セキュリティサービスなどさまざまです。

たとえば、通常枠は対象となるソフトウェアの種類が豊富な申請枠です。他の申請枠では補助対象にならない、顧客対応や供給、総務などの機能を持つソフトウェアも補助対象になります。

また、インボイス枠(インボイス対応類型)は、ソフトウェア以外にハードウェアも対象となる申請枠です。会計や受発注などの機能を持つソフトウェアだけでなく、ソフトウェアを操作するためのパソコンも補助対象になります。

IT導入補助金の補助対象経費は申請枠ごとに異なるため、導入したいITツールが補助対象になる申請枠を選ぶ必要があります。ITツールの導入にIT導入補助金を利用したい人は、申請枠ごとに定められている補助対象経費を確認しましょう。

補助額と補助率

申請枠ごとに異なるIT導入補助金の条件のひとつは、補助額と補助率です。IT導入補助金の受給額はITツールの種類や申請枠ごとに異なるため、申請を検討している枠の補助額と補助率を確認しましょう。

【IT導入補助金における申請枠ごとの補助率と補助額】
項目 補助額 補助率
通常枠
・ソフトウェア
・オプション
・役務
1プロセス(機能)以上 5万円〜150万円未満
1/2以内
4プロセス(機能)以上 150万円〜450万円以下
インボイス枠(インボイス対応類型)
・ソフトウェア
・オプション
・役務
下限なし
〜350万円
下限なし〜50万円までの部分 「小規模事業者」4/5以内
「中小企業」3/4以内
50万円超 〜350万円の部分 2/3以内
・ハードウェア
「PC、タブレット等」~10万円
1/2以内
「レジ、券売機等」~20万円
インボイス枠(電子取引類型)
・ソフトウェア
下限なし
〜350万円
「中小企業・小規模事業者」
2/3以内
「その他の事業者」1/2以内
セキュリティ対策推進枠
・サービス 5万円〜100万円 1/2以内

参考:公式サイト(補助対象について)|IT導入補助金 2024

IT導入補助金は申請枠ごとに補助額と補助率の条件が異なります。IT導入補助金の受給額は「ITツールの導入費用×補助率」から計算でき、定められた補助額の範囲内での支給となります。

たとえば、通常枠において100万円のソフトウェアを導入した場合は、最大50万円を補助金として受け取れます。「ソフトウェアの導入費用100万円×補助率1/2」から計算することにより、補助金の受給額が50万円となります。

また、インボイス枠(インボイス対応類型)において、小規模事業者が100万円のソフトウェアを導入した場合は、最大80万円を補助金として受け取れます。「ソフトウェアの導入費用100万円×補助率4/5」から計算することにより、補助金の受給額が80万円となります。

IT導入補助金の補助額と補助率は申請枠ごとに異なるため、申請する枠ごとに補助金の受給額が異なります。IT導入補助金を利用してITツールを導入する際の補助金の受給額を知りたい人は、申請枠ごとに定められている補助額と補助率を確認しましょう。

申請要件

申請枠ごとに異なるIT導入補助金の条件のひとつは、申請要件です。IT導入補助金の申請要件は「すべて申請枠に共通する要件」と「申請枠ごとに異なる要件」があるため、申請を検討している枠の申請要件を確認しましょう。

【IT導入補助金における申請枠ごとの申請要件】
共通の申請要件
  • 日本国内で事業を営む法人または個人であること
  • 事業場内の最低賃金が地域別最低賃金以上であること
  • 「gBizIDプライム」を取得していること
  • 「SECURITY ACTION」の宣言を行うこと
  • 交付申請の必要情報と添付資料を提出すること
  • 申請者の携帯電話番号を登録し、事務局からの連絡に応じること
  • 他の補助金等と重複する事業は、補助事業の対象に含まれないこと
  • 事務局に提出した情報は事務局等が利用することに同意すること

①審査や選考、事業管理のため
②本事業実施期間中、実施後の事務連絡、資料送付、効果分析等のため
③統計データを作成し公表するため
④各種事業に関するお知らせのため
⑤法令に基づき必要になったときのため
⑥申請者の同意を得ることが困難になったときのため
⑦本事業に必要な手続き等を行うため

  • 事例の調査協力に協力をすること
  • 申請マイページのログインIDとパスワードは第三者に渡さずに管理すること
  • 訴訟や法令遵守上において、補助事業に支障をきたす問題を抱えていないこと
  • 不正な行為を行っていないこと
  • 事務局等の立入調査協力を要請されたら協力すること
  • 申請の対象外の事業者でないこと
  • 事業の情報は申請者の承認があれば支援機関に提供されることに同意すること
通常枠の申請要件
  • 導入するITツールに対して、役務費用が著しく高額でないこと
  • 生産性向上に関わる情報をIT導入支援事業者と確認し報告すること
  • 「みらデジ経営チェック」を実施していること
  • 労働生産性における3年間の事業計画を立て実行すること
①年平均成長率を1%以上向上させること
②実現可能かつ合理的な目標であること
  • 150万円以上の補助金を申請する場合は、3年の事業計画を立て実行すること
①賃金引上げ計画を立て、従業員に表明していること
②給与支給総額を年平均成長率1.5%以上向上させること
③事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること
※小規模事業者、保険医療機関、介護サービス事業者等は適応外
インボイス枠(インボイス対応類型)の申請要件
  • 導入するITツールに対して、役務費用が著しく高額でないこと
  • ITツール活用に関わる情報をIT導入支援事業者と確認し報告すること
インボイス枠(電子取引類型)の申請要件
  • インボイス制度のITツール活用に関わる情報を取引先と確認し報告すること
  • 取引先が適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者であること
  • 取引先が対象外の事業者でないうえ、本事業の同意を得ること
セキュリティ対策推進枠の申請要件
  • 労働生産性における3年間の事業計画を立て実行すること
①年平均成長率を1%以上向上させること
②実現可能かつ合理的な目標であること
  • 生産性向上に関わる情報をIT導入支援事業者と確認し報告すること

参考:各枠の公募要領(申請要件)|IT導入補助金 2024

IT導入補助金の申請要件には、すべての申請枠において共通する要件と申請枠ごとに特有の要件があります。申請を検討している枠のすべての申請要件を満たすことにより、申請を検討している枠への申請ができるようになります。

たとえば、IT導入補助金における共通する申請要件は、約15の要件があります。申請要件には、日本国内の事業者であることや事務局からの協力を求められたら応じることなどがあり、共通する申請要件のすべてを満たす必要があります。

また、申請枠ごとの申請要件には、特有の要件を設けています。特有の申請要件には、計画目標を立て実行することや事務局に報告する内容に異なる点があるなど、申請枠ごとの特有の申請要件もすべて満たす必要があります。

IT導入補助金の申請要件は、申請を検討している申請枠の要件すべてを満たす必要があります。申請要件をすべて満たすことにより、IT導入補助金へ申請できるため、IT導入補助金への申請を検討している人はすべての申請要件を満たせるかを確認しましょう。

IT導入補助金の条件に関するQ&A

IT導入補助金の条件は「公募要領」や「交付規定」に定められています。「補助対象経費」「補助額と補助率」「申請要件」以外に、条件となりうる点をQ&A方式にしたため、IT導入補助金の条件を調査している人は参考にしてみてください。

【IT導入補助金の条件におけるQ&A】
質問 回答
個人事業主も申請できますか? 個人事業主も申請できます。対象となるのは事業規模が中小企業か小規模事業者に該当する個人事業主です。
IT導入支援事業者へサポートを依頼せず自社のみで申請できますか? 事業者のみでの申請はできません。交付申請やITツール導入の際にはIT導入支援事業者のサポートが必須となります。
申請の条件を満たしたら、申請後の審査を通過できますか? 申請の条件を満たしても審査に通過できるとは限りません。条件を満たすことは前提であり、取組内容や計画数値等の申請情報をもとに審査が行われます。
審査を通過したら、補助金を受け取れますか? 補助金を受け取れるのは、審査を通過し、ITツールを導入したことを報告した後です。
ECサイトやホームページ制作は補助対象経費に含まれますか? IT導入補助金2024では補助対象外になります。過去のIT導入補助金2023では補助対象経費に含まれていました。

IT導入補助金を受け取るには「交付申請」「審査」「ITツールの導入」「補助金の受給」「各種報告」などの手続きを規定通りに進める必要があります。IT導入補助金を利用するための条件は多岐に渡るため、申請の際はIT導入支援事業者へ相談しながら手続きを進めましょう。

この記事のまとめ

IT導入補助金に申請するためには、さまざまな条件を満たす必要があります。IT導入補助金では「対象者」「補助対象経費」「補助額と補助率」「申請要件」などの条件を満たした場合に申請が可能になります。

また、申請を検討している枠ごとに条件が異なるため、検討する申請枠の条件を押さえる必要があります。IT導入補助金の条件を含め、各種手続きを進める上で不安がある人は、IT導入支援事業者に相談しながら各種手続きを進めましょう。

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2024 最終公募締切2024年10月15日(火)

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