IT導入補助金を利用してCADソフトを導入するときのポイントを解説
2024/06/13
2024/6/6
IT導入補助金は経営課題の解決につながるITツールの導入を支援する制度であり、CADソフトの中にも補助対象となるものがあります。IT導入補助金を利用すればツール導入費の最大8割を補助金として受け取れるため、CADソフトの購入における自己負担を軽減できます。
当記事では、IT導入補助金を利用してCADソフトを導入するときのポイントを解説します。CADソフトの導入にIT導入補助金を利用したいと考えている人は参考にしてみてください。
なお、当記事はIT導入補助金2024の公式サイトを参考に作成しています。
目次
ポイントは補助対象となるCADソフトを選ぶこと
IT導入補助金を利用してCADソフトを導入するときのポイントは、補助対象となるCADソフトを選ぶことです。IT導入補助金ではすべてのCADソフトが補助対象となるわけではないため、申請予定の人はその前提を踏まえておきましょう。
補助対象となるCADソフトは、IT導入補助金において申請者の支援をおこなう「IT導入支援事業者」が補助金事務局へ事前に登録しているもののみです。申請者はIT導入支援事業者を通じてCADソフトを購入する必要があり、登録のないCADソフトは補助対象外となります。
補助対象となるCADソフトは「ITツール・IT導入支援事業者検索」を利用して探すことができます。導入したいCADソフトが決まっている場合は、CADソフトの名称を入力して取り扱っているIT導入支援事業者があるかどうかの確認が可能です。
なお、CADソフトの中には、バージョンやライセンスの種類が指定されているものがあります。登録されている内容と異なるツールは補助対象外となる可能性があるため、希望のCADソフトを導入できるかどうかを事前にIT導入支援事業者へ確認しておきましょう。
補助対象となるCADソフトの具体例
IT導入補助金2024において、補助対象となる「ITツール」として登録されているCADソフトの具体例を紹介します。CADソフトにはさまざまな種類があるため、IT導入補助金を利用した場合にどのようなCADソフトを導入できるのかを確認してみましょう。
【補助対象となるCADソフトの具体例】
CADソフト | 詳細 |
AutoCAD |
2Dと3Dの両方に対応したCADソフト。幅広い分野の設計・製図に対応しており、世界各国において高いシェアを誇る |
Vector Works |
2Dと3Dの両方に対応したCADソフト。建築・内装業界向けの「Architect」、エンタメ業界向けの「Spotlight」などさまざまな種類を展開している |
CATIA |
3Dに特化したCADソフト。高度な機能を持つ「ハイエンドCAD」のひとつであり、航空機・自動車・家電業界など複雑な設計を必要とする分野でも利用されている |
RADAN |
3次元板金CAD/CAMソフト。レーザー加工機やパンチング機械のCAD/CAMとして世界各国の金機械工場で使用されている |
実寸法師 |
2次元汎用CAD/CAMソフト。専用CADでは難しい「R物」や「寄棟」にも対応可能であり、専用CAD図面の修正用としても利用されている |
hyper MILL |
「CAMのためのCAD」としてつくられたオールインワンCAD/CAMソフト。2D・3D ・5軸・複合加工等に対応でき、幅広い業界において利用されている |
参考:ITツール・IT導入支援事業者検索|IT導入補助金2024
IT導入補助金の対象となるCADソフトには、世界各国において高いシェアを誇る「AutoCAD」や各業界に特化したCADソフトを展開する「VectorWorks」などがあります。過去には建築CADや墓石用CADなど、業界に特化したCADソフトを導入した企業の事例もあります。
また、IT導入補助金の対象となるCADソフトには、CADによって作成した図面をもとに設計のプログラムを作成するCAMの機能を兼ね備えた「CAD/CAM」も含まれています。CADソフトと比べ種類は少ないものの、複数のCAD/CAMシステムが対象となっています。
これらはあくまで一例であり、ほかにもさまざまなCADソフトがITツールとして登録されています。「2D CAD」「3D CAD」「専用CAD」「汎用CAD」を問わず幅広いCADソフトが対象となっており、申請者は自社に合ったCADソフトを選ぶことができます。
なお、対象となるCADソフトであっても、IT導入支援事業者以外から購入した場合は補助対象外となります。ネットショップや家電量販店から申請者が独自で購入したCADソフトは申請ができないため、かならずIT導入支援事業者を通じて購入してください。
ポイントを押さえた人はIT導入補助金の注意点を確認しておく
IT導入補助金には、いくつかの注意点があります。注意点を知らずに申請をすることにより、補助金を受け取れなくなることや希望のCADソフトを導入できなくなることがあるため、ポイントを押さえた人はIT導入補助金における注意点も確認しておきましょう。
【IT導入補助金における注意点】
- 審査に通過しなければ補助金を受給できない
- CADソフトの購入時には自己資金が必要となる
- 導入費用の全額が補助されるわけではない
IT導入補助金に申請するときには「審査があること」「ツールの購入は自費でおこなうこと」「全額は補助されないこと」に注意しなければなりません。申請準備を始めてから期待と違っていたということにならないよう、それぞれの注意点を確認してみましょう。
審査に通過しなければ補助金を受給できない
IT導入補助金は審査に通過しなければ受給できません。申請者すべてが受給できるものではなく、審査において「要件を満たすこと」と「補助金の目的に沿った事業計画を策定すること」が求められるため、申請を検討している人はその前提を踏まえておきましょう。
申請者は、IT導入補助金の公募要領において定められている申請要件を満たす必要があります。「事業者」「事業内容」「経費」それぞれに満たすべき要件が定められており、要件を満たせない場合にはIT導入補助金に申請できません。
また、申請者はIT導入支援事業者の協力を得ながら、補助金の目的に沿った事業計画を策定する必要があります。事業計画の内容を踏まえて審査が行われ、IT導入補助金による支援の妥当性が認められた場合のみ補助金を受給できます。
基本要件を満たすことに加え、事業計画の内容が審査に影響します。IT導入補助金の目的である生産性向上や業務効率化につながらないCADソフトの導入は不採択となる可能性があるため、CADソフトの導入により得られる効果を見据えた事業計画をたてましょう。
なお、申請者は補助金の受給後も1年〜3年に渡り「事業実施効果報告」をおこなう義務があります。事業実施効果報告において、策定した事業計画に沿った事業を実施していないことが判明した場合は補助金の返還を求められる可能性がある点に留意しましょう。
CADソフトの購入時には自己資金が必要となる
IT導入補助金において、CADソフトの購入時には自己資金を用意しなければなりません。IT導入補助金は後払いの制度のため、CADソフトの購入時には一度費用の全額を自費によって立て替える必要があるためです。
IT導入補助金では、補助金を受け取るよりも先に申請する経費を用いて事業を実施することが求められます。ツールの購入時点では補助金が振り込まれていないため、購入にかかる費用は自己資金によって支払う必要があります。
IT導入補助金を受け取るためには、申請する経費を用いた事業による実績報告をおこない、事務局が内容を確認したあと申請する経費を事前に自費で購入し、購入したツールを用いて事業を実施してからでないと補助金を受け取ることができないためです。
なお、IT導入補助金を利用する場合、CADソフトを購入するタイミングは審査において採択された後でなければなりません。採択結果が出る前に契約や支払いをおこなった場合は、採択されていても補助金を受け取ることができない点に留意しましょう。
導入費用の全額が補助されるわけではない
IT導入補助金では、CADソフトの導入費用の全額が補助されるわけではありません。IT導入補助金はITツールの導入費用の一部を支援する制度であり、申請枠ごとに定められた補助率と補助額の範囲に基づき受け取れる補助額が決まります。
IT導入補助金の申請枠においてCADソフトを導入できるのは原則として通常枠のみのため、通常枠の補助率と補助額の範囲を確認しておきましょう。
【通常枠の補助率と補助上限額】
補助率 |
1/2以内 |
補助額 |
5万円以上150万円未満 【4機能以上のツールを導入する場合】 150万円以上450万円以下 |
IT導入補助金の通常枠において、補助金額は補助率1/2または補助上限額のいずれか低い方が適用されます。受け取れる補助金額は最大でも導入する経費の半額であり、補助額を超える部分の支払いは自己負担となります。
たとえば、通常枠において100万円のCADソフトを導入する場合、受け取れる補助額は経費の金額に補助率1/2を掛けて算出するため 「100万円×1/2=50万円」となります。100万円のCADソフトのうち50万円を補助金として受け取ることができ、残りの50万円は自己負担となります。
また、通常枠において400万円のCADソフトを導入する場合、計算上は「400×1/2=200」となりますが、補助額の上限を超えています。受け取れる補助額は上限である150万円未満の範囲のため、約250万円が自己負担となります。
ただし、通常枠では導入するソフトウェアの機能数に応じて補助額の範囲が異なります。申請するソフトウェアの機能数の合計が4機能以上の場合は補助額の範囲が最大450万円となるため、必要に応じてほかのソフトウェアも合わせて導入を検討してみましょう。
申請に不安がある人はIT導入支援事業者へ相談してみる
申請に関する不安がある人は、IT導入支援事業者へ相談してみましょう。IT導入支援事業者はIT導入補助金の申請においてさまざまな場面で申請者をサポートする事業者ですが、申請を検討している段階から相談を依頼できる場合があります。
【IT導入支援事業者の支援内容の具体例】(※太字は依頼が必須の項目)
- 自社の条件における申請の可否の相談
- 自社の条件における受給額の見積もり
- 事業計画策定のサポート
- 電子申請のサポート
- ITツールの提供
- 採択後の実績報告や効果報告のサポート
たとえば、IT導入補助金の利用を迷っている段階の人は、自社の条件において申請が可能かどうかの診断や、受け取れる補助額の見積もりを出してもらうことなどが可能です。IT導入支援事業者によっては、申請時だけでなく申請前の無料相談を受付けている場合があります。
また、IT導入補助金の申請において、事業計画の策定や電子申請の一部、ITツールの購入はIT導入支援事業者からのサポートが必須です。IT導入補助金へ申請することになった場合は、IT導入支援事業者がパートナーとして申請者をサポートしてくれます。
なお、IT導入支援事業者によってサポート内容や依頼費用が異なります。依頼するIT導入支援事業者の探し方や、選ぶときのポイントを知りたい人は「IT導入支援事業者とは?IT導入補助金の申請における選び方と探し方を解説」の記事を参考にしてみてください。
まとめ
IT導入補助金は経営課題の解決につながるITツールの導入を支援する制度であり、CADソフトの導入にも利用できる可能性があります。IT導入補助金ではツール導入費の最大8割を補助金として受け取れるため、CADソフトの購入における自己負担を軽減できます。
IT導入補助金を利用してCADソフトを導入する時のポイントは、補助対象となるCADソフトを選ぶことです。補助対象となるのはIT導入支援事業者が取り扱うITツールのみであり「ITツール・IT導入支援事業者検索」から対象となるCADソフトを検索できます。
また、IT導入補助金の申請者は「審査があること」「ツールは自費で購入すること」「全額は補助されないこと」に注意が必要です。申請のサポートだけでなく、申請の可否や受け取れる補助額の無料診断をおこなっているIT導入支援事業者もあるため、申請に不安がある人はIT導入支援事業者に相談してみてください。